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転生したら無職で追放されたけど、実はチートだったので、とりあえず、魔王というやつをこの目で確めて来ます  作者: @SsRay
バベルの塔編

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ep14.バベルの塔編 六層 神々との決闘モイライ(Moirai) vs ミリィ

 天を渡る風が止んだ。

 セリアの光が消えると同時に、次の戦場が静かに形を取っていく。

 大地が糸で編まれるように、白銀の線が走った。

 まるで運命の糸そのもの。


 中央に現れたのは――三つの影。

 運命を司る女神、モイライ。

 一人は『過去』を紡ぎ、

 一人は『現在』を計り、

 一人は『未来』を断ち切る。


 三つの声が、ひとつに重なって響く。

「運命は、抗えぬ流れ。だが――お前はどう抗う?安心しなさいあなたと退治するのは私たちの誰か一人よ」


 ミリィが剣を抜いた。

 細身の剣身が月光を映し、空気が震える。

「運命? そんなの、斬ればいいだけ」

 その声は静かで、しかし確信に満ちていた。

 三姉妹のうち『クロートー』が手を掲げる。

「過去の繋がり、記憶の糸よ――因果封鎖コーズ・ロック!」


 空間に銀糸が走り、ミリィの動きを縛ろうとする。

 だが、彼女の身体が霞のように溶けた。

幻歩ファントム・ステップ

 一瞬で背後へ。

 ミリィの剣が閃き、糸を断ち切る。


「過去なんて興味ないわ。私が斬るのは『いま』だけ」

 次の瞬間、『ラケシス』が糸車を回す。

「現在の秤を乱すものよ、揺らぎの檻に囚われなさい――定在結界プレゼンス・ケージ!」

 光の檻が閉じる――が、

 ミリィはその瞬間、微笑んだ。


「見えてるわ」

 彼女の瞳が蒼く光り、未来の軌跡を読む。

 剣を軽く回転させ、すれすれの隙間を通って抜け出す。

「未来視の私に、『今の罠』が通じると思う?」

 三姉妹がわずかに動揺する。


 最後のひとり――アトロポスが糸を引き抜いた。

 その糸は黒く、刃のように光る。

「未来はここで断ち切る。運命断絶フェイト・カット!」

 斬撃が、時空ごとミリィを切り裂かんと迫る。

 その速度は音よりも早い。

 しかし――


 カンッ!


 金属が鳴った。


 ミリィが片手で受け流していた。

 糸が剣を滑り、火花が散る。

「……私の未来を、勝手に切らないでくれる?」

 そして――カウンターの一閃。

「無音返し(サイレント・リバース)!」


 静寂の剣閃が走る。

 空間が遅れて裂け、三姉妹の結界が一部崩壊した。

 クロートーが叫ぶ。

「なぜ……避けられる!? あなた、私たちと同じ運命視を!?」

 ミリィは肩をすくめ、口元に笑みを浮かべる。

「違うわ。ただ、視えるだけじゃなく――選んでるのよ」


 剣を構え直す。

「未来はひとつじゃない。無数にある――なら、私は勝つ未来を選ぶだけ」

 三姉妹が同時に詠唱を始める。

三運命重奏トリニティ・デスティニー!」


 無数の糸が空を覆い、世界そのものが糸の檻になる。

 一筋でも触れれば即死――そんな圧倒的な空間。

 だがミリィの瞳がさらに輝く。

 時間が遅れ、音が止まり、糸が見える。

「未来視領域――アストラル・ヴェール」

 彼女は動いた。

 光の中を滑るように。

 剣が糸をはじき、踏み込み、回転し、すれ違いざまに一閃。


「はああああッ!!」


 音が追いついた瞬間、

 数百の糸が一斉に切断され、空が爆ぜた。

 運命の三姉妹が弾き飛ばされる。

 糸車が壊れ、未来の光が霧散した。


 ミリィは剣を肩に担ぎ、息を吐く。

「……その運命、斬ったわよ」

 アトロポスがかすかに笑った。

「まさか……私たちの糸を、断ち切る人間が現れるとは……」

「あなた、本当に運命の外側にいるのね……」

 とクロートー。

「見事よ、人の剣士」


 ミリィが剣を納め、静かに微笑んだ。

「運命なんて、怖くない。

 だって――私には、『未来を変える仲間』がいるから」


 リンが口を開けたままつぶやく。

「……今の、全部よけたの……?」

 ミーナが両手を上げて叫ぶ。

「ミリィやばすぎ! あんなの避けられる人類いる!?」

 セリアが穏やかに笑う。

「未来視を剣に応用する……あの子、やっぱり『戦の天才』ね」

 フィーリアはキョトンとしている。

「なになに?終り?、全くわからなかったわ」


 創夜が満足そうに頷く。

「……さすがミリィ。あの“運命の三姉妹”を一人で斬るとはな」

 ミリィはふっと笑って、肩をすくめた。

「だって……神様と戦うなんて、そう何度もできないでしょ?なら――思いっきり楽しんだほうが得よ」


 剣が月光を反射する。

 風が静かに吹き抜け、糸の残滓が消えていく。


 次の瞬間、空が再び揺れた。

 リッサの狂気が滲み、闇が広がる。


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