表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら無職で追放されたけど、実はチートだったので、とりあえず、魔王というやつをこの目で確めて来ます  作者: @SsRay
バベルの塔編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/91

ep12.バベルの塔編 六層 神々との決闘アレス (Ares)VSリン

 創夜達は戦いを観戦するため、くつろぎグッズをアイテムボックスからとりだし、それぞれ、優雅に座り、ドリンクや軽食や軽い調理器具まで戦いの舞台に用意した。創夜の障壁により衝撃なども多少は大丈夫なように観戦場所を確保していた。


 そんな中、リンとアレスは部屋の真ん中で同じ距離を保ちお互い向き合っていた。

 轟音とともに、二人の拳がぶつかり合った。

 瞬間――空間そのものが歪んだ。

「グォォォォォッ!!」

 アレスの咆哮が空を揺らし、地平線まで赤く燃える衝撃波が広がる。

 リンは一歩も退かず、龍気を爆発させるように押し返した。

 ――ダン!


 黄金のオーラが一瞬で膨れ上がり、アレスの炎を打ち消す。

 ふたりの拳が再び交わり、爆発音が十重に響く。

 創夜が思わず目を細めた。

「……アレスなかなかやるなぁ。リンと互角かもな」

 セリアが両手を組み、魔力の波を読み取る。

「純粋な気の衝突ね。魔力じゃなく、生命力そのものをぶつけ合ってる……!」

 ミーナが目を丸くする。

「うわ……え、あの火の玉みたいなのってパンチの軌跡!? え、ウソでしょ!?」

 ミリィが未来視の瞳を光らせ、唇を噛む。

「一撃でもかすれば危ないわ……! 二人とも、完全に神速領域に入ってるわ!」


 炎と雷の中、アレスが笑う。

「いいぞ龍娘! その拳、神を殴るに値するッ!!」

 リンが応えるように踏み込み――

 龍気が渦を巻き、拳が回転しながらアレスの顎をとらえる。

 轟音。アレスの巨体が空へと吹き飛ぶ。

 だがそのまま空中で姿勢を立て直し、炎の翼を広げた。


「ハハハ! まだまだだァッ!」

 アレスが拳を突き出す。炎が槍のように放たれ、一直線にリンへ。

 リンは腕を交差させ

 ――ドラゴニック・セーフティ

 黄金の障壁が瞬時に展開し、炎を完全に相殺。

 熱風の中でもリンの髪一本すら焦げない。

「……なるほどな」アレスが唸る。

「防御も龍の領域か。面白ェ!」

 次の瞬間、二人の姿が同時に消えた。


「なっ、どこに――!?」ミーナが目を見開く。

 だが次の瞬間、轟音が頭上から落ちる。

「上よっ!」フィーリアが叫ぶ。

 上空で、リンとアレスが拳を交わし続けていた。

 空気が破裂し、雷雲が生まれ、炎が渦を巻く。

 その光景は、まさに神話の再現。


 リンの拳がアレスの腹を打ち抜き、地上へ叩き落とす。

 アレスが大地を抉りながら着地し、口元を拭う。

「ククッ……楽しいぜ。拳でこんなに胸が躍るのは久しぶりだ」


 リンは拳を構え、龍気をさらに高めた。

「こっちもアル。もっと強くなれる気がするネ!」

 アレスが爆笑する。

「なら遠慮なく行くぞ――ゴッド・インパクト!」


 拳とともに神気が爆発。空間そのものが砕けるような衝撃。

 リンはその拳を迎え撃ち、叫ぶ。

「ドラゴニック・ブレイカー!!」

 両者の拳がぶつかり、天地が反転したかのような閃光が走る。

 大地が波打ち、周囲の神々が思わず距離を取る。


 創夜が腕をかざして風を防ぐ。

「……あれが、神と龍の『力』の衝突か」

 セリアが小声で呟く。

「どっちが勝ってもおかしくない……けど、リンの気が……まだ上がってる!?」


 リンの周囲に、金色の龍が姿を現した。

 神々の空を貫くような咆哮が響き渡る。

 地鳴りのような振動が、足元から天へと突き上げた。

 アレスが笑いながら突進――リンも同時に前へ出る。


 ドガァァァァァン!

 爆発のような拳圧。衝撃で大地がめくれ、石片が嵐のように舞い上がる。

 一瞬ごとに空気が悲鳴をあげ、重力すら歪んだ。

 創夜が叫ぶ。

「リン! アレスはまだ本気を出してないぞ!」


「ハハッ!創夜、言われなくても分かってるアル!」

 リンの声が風を裂く。拳と拳がぶつかるたび、龍気と炎が空に螺旋を描く。

 ミーナが両手を握りしめて跳ねるように叫ぶ。

「リンがんばれーっ! その火の人ぜったいムキムキ脳筋だよーっ!」


 アレスがその声に反応し、ニヤリと笑う。

「脳筋で悪かったな! 戦士とは拳で語るものだろうがァッ!」

 ズドン!

 地面を踏み砕く一撃。アレスの拳がリンのガードを押し込み、地面にクレーターが走る。

 しかし次の瞬間、リンがそのまま拳を握り返す。


「押し込めると思ったアルか!」

 彼女の瞳が金に輝き、龍気が爆発的に膨張。

 アレスの巨体が逆に押し上げられ――

 バゴォォォン!

 炎の中をぶっ飛ばされる。

 アレスは空中で体を回転させ、足で大気を蹴ってすぐさま反撃。

 空が爆ぜ、稲妻のような衝突音が連続する。


 セリアが息を呑む。

「……どっちも手を抜いてない。あれ、少しでもバランス崩したら即死よ」

 ミリィがうなずきながら未来を読む。

「次……! アレスが裏拳でくるわ、リンっ!!」


 その瞬間、リンが顔をそむける。

 轟音。アレスの拳が空を裂き、わずかに頬をかすめる。

 そのすれ違いざま、リンが回し蹴りを叩き込む。

 ズガァァァァン!

 アレスの巨体が斜めに吹き飛び、空中で炎を噴き上げながら止まった。

 口元に血をにじませ、愉快そうに笑う。


「……今の、効いたぞ……! まさか拳だけで、ここまでとはなッ!」

 リンは拳を構えたまま、微笑む。

「拳で語るの、キライじゃないネ!」

 再び地が砕け、二人の拳がぶつかり合う。

 衝撃音。風圧。稲妻。爆光。

 連撃が続くたびに、塔の石床が沈み、空に裂け目が走る。


 ミーナが耳を塞ぎながら叫ぶ。

「これ絶対、人間の戦いじゃないーっ!」

 アレスが吼える。

「そうだ……もっと来い龍娘ァァァッ!!!」

 リンが跳躍。拳と拳がもう一度交わる。

 轟音。

 空中で光が弾け――その中心から、龍の咆哮が響き渡る。

「――まだ終わらないアルッ!」


 アレスも叫ぶ。

「むしろこれからだァッ!」

 拳の応酬は止まらない。

 一撃ごとに稲妻が走り、炎が広がり、金の龍が舞う。

 二人の戦士が、神と龍という枠を超え、ただ『闘う者』として互いをぶつけ合う。


 そして――

 空気が破裂するほどの一撃がぶつかった瞬間、世界が真っ白に染まった。

 ――静寂。

 轟音が再び空間を震わせる。

 拳と拳がぶつかり――炎が散る。

 だが、そこで異変が起きた。


 リンが、動かない……


 構えも取らず、ただ静かに立っている。

 黄金の光を放つ青龍の龍気が淡く漂い、瞳からは感情の光が消えていた。

 まるで世界そのものと溶け合ったかのように。


「……リン?」

 創夜が眉をひそめる。

 フィーリアが息を呑んだ。

「……これは……気の流れが止まってる……? 違う、止まってるんじゃない――全てと一体化してる……!」


 アレスが笑う。

「どうした龍娘、動かねぇのか? なら――俺から行くぞッ!」

 ズドン!

 アレスが拳を突き出す。

 炎が爆ぜ、地面が裂ける。

 だが――リンは、動かない。


 炎の槍が目前まで迫った瞬間、

 ふ、と一歩、体を傾ける。

 その拳は紙一重で空を切った。

「な……ッ!?」

 アレスの目が見開かれる。

 次の瞬間、もう一度、三度、五度――。

 アレスの怒涛の連撃が襲う。

 ドガッ、ドガッ、ズガァン、バゴォォッ!

 だが、リンは一切声を上げず、

 ほんの指先ひとつぶん、わずかな体重移動だけで、すべての拳を避け続けた。


 創夜が叫ぶ。

「リン! 何してんだ、攻撃しろ!」

 ミーナが半泣きで叫ぶ。

「やばいよ! 当たったら爆発するってあれぇぇ!」

 フィーリアが首を振る。

「違う……彼女は見てる。アレスの動き全部を、先に――!」


 アレスがさらに速度を上げる。

 八撃目、九撃目――炎が空を覆う。

 だがリンは、まるで風そのもののように身を滑らせた。

 髪の一本すら焦げない。


 アレスが咆哮する。

「どうなってやがるッ!」

 そして――十撃目。

 アレスの拳が真下から突き上げられる。

 炎の奔流。世界が赤に染まる。

 その刹那、リンがようやく動いた。


 足が、静かに地を蹴る。

 黄金の残光が一閃――

 ズドォォォォォンッ!!

 アレスの腹に直撃。

 重い衝撃が空気を潰し、炎が散る。

 アレスの巨体が宙を舞い、数十メートル先の岩盤を砕きながら倒れ込んだ。


 静寂。


 仲間たちは息を呑む。

 リンはただ、拳を下ろしたまま、微動だにしない。

 その背中から、ゆらりと黄金の龍が立ち昇る。

 アレスが、かすかに笑った。

「……クッ……ははっ……見事だ……。あの状態……まるで『神気』を越えてやがった……。龍娘、お前……本物の戦士だ……」


 ゆっくりと立ち上がろうとするが、足が震え、力が入らない。

「……まさか俺が……拳で倒されるとはな……」

 創夜が拳を握り、にやりと笑った。

「……よくやった、リン」

(無我の境地を意識を保って使うなんて、強くなったな。)


 フィーリアが静かにうなずく。

「今のは……完全な無我」

 ミーナが涙目で叫ぶ。

「リン師匠ー! かっこよすぎるぅぅぅぅ!」

 セリアが声をあげる。

「リン、よくやったわ!勝ちよ、勝ち!」

 アレスは笑いながら膝をつく。

「……この拳の痛み、悪くねぇ。――戦神、敗北を認める」


 その体がゆっくりと光へ還っていく。

 炎が静かに消え、風が吹き抜けた。


 リンは何も言わず、ただ空を見上げたまま、

 拳を握り、静かに息を吐いた。

「なかなか面白かったアル!」

 勝者リン!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ