ep3.バベルの塔の入り口についての情報と新たな仲間エジス
「…で、エジス。俺たちはさっき、バベルの塔の外と上を調べてきたんだが、物理的な入り口は全くなかった。しかも、雲の上は壁みたいなバリアで、壊してもすぐ元通り。これ、ただの物理法則じゃない、概念レベルの仕組みがあると思うんだが、何か知ってるか?」
創夜は腕を組み、切れ長の目でエジスを見据える。
「へぇ、さすが旅の人だね!塔の上!?お兄さんたち、塔の上まで行ったのかい?雲の上って...」
エジスはそういうとミリィの背中に羽があるのを見て納得したようだったが、創夜が口を挟んだ。
「塔を切っても復元するし、中にはいれそうもなかったし、雲の壁みたいなのを破壊しても、連続破壊しても、直ぐにもとにもどるしどうみても通れそうにもなかった、塔には入り口も見当たらないし塔の回りは見た目がほとんど同じだったぜ。」
エジスはにこやかに笑う。
「お兄さんたちはバベルの塔を切ったり、雲の上までいったってのかい!?それだけじゃなく、塔の外側を見て回ったって何日調べてたんだい?」
リンが口を挟む
「創夜が拳から沢山の白虎の顔を沢山だして雲の上の壁を割ったネ!、塔の外側も創夜の足なら一瞬アル」
エジスは理解できていなかったが話を続けた。
「ま、それじゃあ、僕が知ってる話をしよう。あの塔の入り口には、石像が二体塔を守っていて挑戦するものへの石碑があるんだ。」
「石碑に石像が二体」創夜は塔の回りを思い出しながら問い返す。
「あったか?あー、そんな感じのが見たような気もするな。俺が早すぎて動かなかったのかもな、石碑かそりゃあ、読めないものは視界に入らないわけだな。」
リンは、串焼きを齧る手を止めて笑い出した。
「そ、そうアル!創夜、聞いてるネ!?一瞬で山一周できるのに、石像2体も見逃すなんて、目がついてないアルか!」
リンが目一杯、創夜をからかうように叫んだ。
「創夜の行動には驚かされるわ塔の上から情報収集しようとしたり、塔を切ったのよ。」セリアは、深めのスリットが入ったローブを優雅になびかせ、微笑む。
「私たちも塔の外周にいた時、創夜のあまりのスピードに、何も見えていなかったけど?」セリアは創夜を見つめ、セクシーな雰囲気を保ったまま続けた。
ミーナは紅茶を一口飲み、静かに皿に残ったクッキーを口に運んだ。パリパリ。
「創夜、ダサいネ!」
リンが腹を抱えて笑い出す。
「もう!創夜ったら、あたしのかわいい羽を見てかわいいって言ったのに、きっと一瞬すぎて見えてなかったんでしょ!」ミリィが膨れる。
「まあ、そこは仕方ないよな。塔がでかすぎて石碑がちっちゃかったら見えないのは当たり前だ。」
エジスと女性陣の笑い声が、酒場の一角に響き渡った。
「ところで、エジスその石像の魔神二体はどうやって倒すんだ?」
ミーナが紅茶を一口飲み、静かに尋ねる。彼女は白いワイシャツと短パン姿で、クッキーを優雅に食べ終えたところだ。
「あの魔神は全身がゴムのような質感で、額には一つ目があり、どんな攻撃も弾いてしまうって。そして、その二体の魔神の間には、古い石碑が立っているそうだ」
「石碑は、私が読んであげるわ」セリアが胸を揺らし、セクシーに答える。
「その魔神は創夜なら一瞬で倒せるわ。」
ミリィがビキニアーマーと、天使の羽を誇らしげに揺らした。
エジスは、身を乗り出すように創夜に言った。
「兄さん達!あの、タワー攻略、僕も一緒についてってもいいかな?僕、実は防御魔法と回復魔法にはかなり自信があるんだ!みんなが戦ってる後ろから、すっごい固いバリアで守ったり、一瞬で怪我を治したりするのは得意中の得意なんだ!」
創夜は、その熱意と、小柄だが力強さを感じさせる体躯を冷静に観察する。
「言っとくが俺のパーティはかわいい化物揃いだぞ。」
リンが食事をしながら、楽しそうに創夜に突っ込みをいれる
「ていうか、創夜の方がよっぽど化け物アル!いつも急に全然知らない技を出してるし、自分の強さを隠してるネ!」
セリアが胸を揺らし足を組み直しセクシーにワインを飲みながらさらに突っ込みをいれる。
「創夜は規格外よ。魔法もスキルも、召喚もできるのよ!」
ミリィが羽を揺らしながら会話にはいる。
「私の未来予知でも予測できないのよね!」
ミーナはクッキーをかじる。一つずつ美味しそうに食べている。
「防御と回復か。うちのパーティ、広域回復と防御魔法の専門家がいなくて、ちょっとバランス悪いと思ってたところなんだ、俺が戦ってる間に皆を守ってもらえるならありがたい。最強パーティになれそうだな。」
(来た……!男だ!初めての男仲間だ!今まで、パーティは女だらけで、それはそれで悪くなかったが、やはり同性の仲間というのは、全く違う満足度がある!よかった、俺は一人じゃなかったんだ…!)
創夜はクールな顔を保ちつつも、内心で歓喜の雄叫びを上げていた。
「さあ、皆、塔の外壁に向かうぞ!」
ミーナが紅茶を飲みながら待ったをかける。
「このクッキー食べてから!あと、塔の中で食べるクッキーも持って行きたいな。」
「そうだな、食料も買って準備してから行こう。いつもどれるかわからないからな。準備してからバベルの塔攻略だ!」
創夜は、内心の歓喜を悟らせないよう、クールに頷いた。
初めての同性の仲間を迎えた創夜は、静かな決意を胸に、バベルの塔攻略へ乗り出すのだった。
あとがき
キャラクターイメージ: エジス
その姿は、まるで精巧に作られた人形のように華奢で、思春期の少年特有のゴツゴツとした荒々しさとは無縁だった。長く伸びた髪は、時に風に揺れて、彼の中性的な顔立ちを包み込む。その線は細く、皮膚は薄く透き通るようで、初めて彼を見た者は、その性別を一瞬迷うだろう。
実際、彼は「男女おとこおんな」と揶揄されることが少なくないが、その非凡な知性を宿した瞳の冷たさは、年若い彼が持つ強烈な個性を示している。周囲にいる大柄な仲間たちに比べると、彼はひときわ背が低く、その幼い外見が、時に彼を子供のように見せる。人外の防御魔法と回復魔法の使い手である。




