ep15.ポセイドンの宝
翌朝、創夜たちが乗り込んだのは、新たに具現化された**天空の飛空船**だった。飛空艇は魔力駆動の推進機により、風を切り裂きながら、遥か西の大陸、灼熱の砂漠地帯を目指して快進していた。
広々とした甲板で、創夜はセリアが解読した地図を広げる。
「ポセイドンの設計図にあった隠し座標だ。ここには、伝説の**『太陽神のピラミッド』**があるらしい。だが、地図に記された注意書きにはこうある。『奥には、神話の時代に封印された、裏の番人アポフィスが眠る』…ゲームでいう、裏ボスってやつだな!」
「面白そうアル!今度は、どんな試練アルか?」リンは目を輝かせた。
「砂漠のピラミッドなんて、私にぴったりね。秘宝の匂いがするわ」セリアは、風になびく薄い生地のワンピース越しに、豊満な肢体を誇示するように甲板の手すりに寄りかかった。
数日後、飛空艇は広大な砂漠の上空に到達した。地平線の彼方には、巨大な三角形の建造物が、太陽の熱に揺らめきながらそびえ立っている。
「あれがピラミッドか!降りるぞ!」
創夜は飛空艇をピラミッドの頂上近くに着陸させた。灼熱の砂漠の空気は凄まじかったが、創夜が常に発動させている**完全加護**が、一行を熱や乾燥から完璧に守っている。
ピラミッド内部の構造は複雑で、無数の罠とミイラや砂の魔物たちが待ち受けていたが、彼らの修行の成果の前では、ただの障害でしかなかった。創夜の真空波が道を切り開き、ミリィの未来を予測する回避が全ての罠を無効化する。
最深部、地下の巨大な空間へと辿り着いた一行を、凄まじい邪気が包み込んだ。
空間の中央には、黒い鱗と巨大な翼を持つ、神話の蛇神を思わせる主、アポフィスが鎮座していた。
「やっとお出ましか。裏ボスってことは、相当タフなはずだぜ」創夜が構える。
アポフィスは目覚めると、その巨体から闇と灼熱の波動を放出し、空間全体を攻撃領域に変えた。
「来るアル!」リンが警告する。
「よし、全力で行くぞ!俺は、みんなの絶対安全圏を維持する!」
創夜は、修行で掴んだ「無我の境地」の糸口である**絶対安全圏**を即座に展開。闇と灼熱の波動は、その青いフィールドに触れた瞬間に霧散する。
「あとは頼むぜ!」
リンの指示のもと、ミリィが動いた。アポフィスが巨体から放つ闇の波動の「予兆」を、ミリィは一瞬で読み取る。波動が発せられるのと同時に、ミリィは飛空艇で掴んだ会心の一撃の精度を乗せ、アポフィスの巨体の僅かな急所へと走り込んだ。
ドシュッ!
ミリィの剣が、主の硬質な鱗のたった一点を正確に貫いた。その一撃は、まるで核となる部分を破壊したかのように、アポフィスの動きを一瞬停止させた。
「セリア!畳み掛けるアル!」
「ええ、任せて!」セリアは、セクシーな姿とは裏腹に、極限まで集中した表情を見せる。
彼女は、ピラミッド内に充満する乾燥した魔力の奔流を自らの制御下においた。
「熱砂の嵐!」
セリアが放ったのは、通常の炎魔法ではなく、周囲の砂と魔力を結合させた、制御不能なほどの灼熱の竜巻だった。だが、修行で極めた**「魔法の切断」を応用し、竜巻がアポフィスを包み込む直前**、セリアは魔力を完全に遮断。純粋な熱と砂のエネルギーの塊だけを、主に叩き込んだ。
ゴオオオオ!
アポフィスは、自らの領域であるはずの灼熱の攻撃を受け、全身の鱗が焼き焦げた。
「最後はミーナの優しさアル!」リンが叫ぶ。
アポフィスが苦痛と怒りで暴走し、空間に闇の魔力が充満した瞬間、ミーナが動いた。
「封魔極意、紫電一閃!」
ミーナの小さな身体から、悪魔的な紫色の稲妻が迸った。それは、アポフィスの闇のオーラを一瞬で貫き、体内に封印の楔を打ち込むように巨体を駆け巡った。アポフィスの暴走は即座に収束し、巨体は力を失って地面に崩れ落ちた。
「お見事アル!ミーナの勝利ネ!」リンが拍手した。
緑色の愛の気が、アポフィスの邪悪なオーラと衝突する。アポフィスの暴走は、その優しい気によって急速に収束し、巨体は力を失って地面に崩れ落ちた。
「お見事アル!ミーナの愛の勝利ネ!」リンが拍手した。
主は、サクサクと、しかし確実に、彼らの修行の成果によって撃破された。
アポフィスの倒れた場所には、巨大な魔力炉の部品と、次の冒険のヒントが書かれた古代の石板が残されていた。
「よし!ボス撃破で、お宝ゲットだぜ!」創夜は自信に満ちた表情で仲間を見た。
次の目的地は、この魔力炉の部品を使って、飛空艇の推進力をさらに強化する場所...「雷雲の聖域」へと決定した。
ピラミッドの主から得た魔力炉の部品を手に、一行は天空の帆船を駆り、次の目的地である**「雷雲の聖域」**へと辿り着いた。ここは、常に激しい雷鳴と強風に包まれた、地上数十キロの上空に存在する伝説の場所だ。
飛空艇の外は、数万ボルトの稲妻が飛び交い、強大な魔力が渦巻く危険な領域。だが、創夜が常に発動させている**完全加護**と、飛空艇の船体は、その全てを撥ね退けていた。
「すごいアル...!この嵐は、竜族の私でも簡単には近づけない領域アルよ!」リンは窓の外の雷雲を見つめ、興奮気味に言った。
セリアは、コックピットのセクシーなシートに優雅に座り、操縦パネルを操作する。彼女の豊満な肢体を包む服は、この雷雲の光を浴びて、時に透け、時に眩く輝いた。「このピラミッドの部品、私の魔力増幅にも役立ちそうね。この最強の船が、私にぴったりよ」セリアは自信に満ちた笑みを創夜に向けた。
創夜は、飛空艇を聖域の入り口にある、巨大な岩礁の陰に停泊させた。
「よし、改造作業に入るぞ。この雷雲の膨大な魔力を、一気に推進力に変えるんだ。俺のイメージ・スキルと、セリアの解析力、リンの古代知識、ミリィとミーナのサポートがあれば、一瞬で終わる!」
創夜は、まず自身のイメージ・スキルを使って、ピラミッドの部品を魔力炉に組み込む完璧な改造プランを具現化する。創夜のオーラが船体全体を包み込み、分解と再構築のプロセスを加速させた。セリアは、魔力炉の制御系に異常がないか緻密な制御を行い、ミリィは船体への物理的な負荷を監視し、ミーナは愛の気で炉の過熱を抑えるサポートをした。
ゴオオオオオ!
改造が完了した瞬間、飛空艇全体がまばゆい黄金の光を放った。船体は黄金の雷光を纏い、推進機からは、空間を歪ませるほどの強大な魔力の波動が感じられた。
「完成だ!これこそ、最強の天空の帆船だぜ!」創夜は拳を握りしめた。
飛空艇が最強の力を手に入れた瞬間、雷雲が渦を巻き、彼らの前に一人の存在が出現した。それは、全身を雷光で覆った、神話の雷神の化身だった。
「…よくぞ、この聖域で力を手に入れた。だが、この力を制御する資格があるか、試させてもらう!」雷神の化身は、巨大な雷の槍を構えた。
「試練アルか!面白いネ!今度は力で押し潰すタイプアル!」リンが笑う。
「よし、やるぞ!この船と俺たちの力を試すには、最高の相手だ!」創夜は、雷神の化身と飛空艇の間に立ち塞がった。
雷神が放ったのは、空間を焦がすほどの極太の雷撃だった。創夜の完全加護が一瞬で最大防御へと切り替わる。
「無我の境地、発動の瞬間だ!」
創夜の意識は冷静だが、彼の肉体は、仲間を守るという無意識の使命感のもと、雷撃が到達するコンマ数秒前に、絶対安全圏を反射的に展開した。
ガギィィン!
雷撃はフィールドに弾かれ、周囲の雷雲に吸収されていった。創夜は、意識的に技を出さずとも、体が防御できたことに、確かな手応えを感じた。
「効かないアル!創夜の無意識防御は最強ネ!」リンが喝采を送る。
「今よ、セリア!彼が雷を放った後の、魔力循環の隙を突くわ!」ミリィが叫ぶ。彼女の未来予測は、雷神の動きすら読んでいた。
セリアは、雷神が放出した過剰な雷の魔力を、自身の魔法の制御で吸収し始めた。彼女の周りには、青い雷のオーラが纏わりつくが、セリアは微動だにしない。
「全ての雷は、私が支配する!」
セリアは、吸収した雷の魔力を、一瞬で光の奔流へと変換し、雷神の化身に叩きつける。彼女は、**魔力の切断**の技術を用い、自らに負荷をかけずに、純粋な光の破壊エネルギーだけを放出した。
キュオオオオ!
雷神の化身は、自らの力を逆利用され、光に包まれた。
雷神の化身は、光の中から現れると、今度は音速を超えるスピードで創夜たちに肉薄した。
「早い!けど、関係ないわ!」ミリィが動く。
ミリィの瞳は、雷神が次にどの位置に到達するかを正確に予測し、回避ルートを定めた。創夜の完全加護のおかげで、彼女の身体能力は限界を超えている。
ミリィは、雷神の残像を避けながら、一瞬で懐に潜り込むと、渾身の力を込めた会心の一撃を雷神の足元の結晶へと打ち込んだ。
パリン!
雷神の力が凝縮された結晶が砕け、その動きが完全に停止した。
「あとは、ミーナの出番アル!」リンが指示を出す。
アポフィスは、自らの領域であるはずの灼熱の攻撃を受け、全身の鱗が焼き焦げた。
「最後はミーナの優しさアル!」リンが叫ぶ。
アポフィスが苦痛と怒りで暴走し、空間に闇の魔力が充満した瞬間、ミーナが動いた。
「封魔極意、紫電一閃!」
ミーナの小さな身体から、悪魔的な紫色の稲妻が迸った。それは、アポフィスの闇のオーラを一瞬で貫き、体内に封印の楔を打ち込むように巨体を駆け巡った。アポフィスの暴走は即座に収束し、巨体は力を失って地面に崩れ落ちた。
「お見事アル!ミーナの『封魔の極意』の勝利ネ!」リンが拍手した。
ミーナが放った愛の気が、雷神の化身を包み込む。雷神の神々しい鎧は霧散し、その場には、穏やかな光の粒子だけが残った。
「お見事ネ!雷神の試練、クリアアル!」リンが皆の勝利を称えた。
雷神の試練をクリアしたことで、聖域の嵐は嘘のように静まり返った。最強となった飛空艇の甲板に、一行は立つ。
「やったぜ!船も最強、俺たちも最強だ!」創夜は興奮を隠せない。
リンは、飛空艇の推進機から漏れる圧倒的な魔力を感じながら言った。「この船なら、魔王の城までひとっ飛びアル。もう、怖いものはないネ!」
セリアは、セクシーな身体を優雅に伸ばしながら、船体を見つめる。「この船と、この最高の景色...私に相応しいわ」
創夜は、雷神の化身が残した、次の目的地のヒントが書かれた石板を手に取る。それは、古代の賢者が集ったという、**「知識の図書館」**を示すものだった。
「よし、行くぞ!次なる知識と、さらなる試練を求めて!目標、**『知識の図書館』**へ、最高速度で出航だ!」
創夜の号令とともに、最強となった飛空艇は、雷雲を切り裂き、天空の果てへと加速していった。
あとがき
ミーナの優しさクッキーネタは修行からのおふざけシーンでしたが、定番化しておりましたので訂正いたしました。




