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転生したら無職で追放されたけど、実はチートだったので、とりあえず、魔王というやつをこの目で確めて来ます  作者: @SsRay
バベルの塔編

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ep1.バベルの塔編 プロローグ

あらすじ

飛空艇で次の目的地へと向かう途中、突如、異様な島へと不時着した創夜たち。

潮の流れは逆、空には二つの月が浮かぶその島は、創夜たちの世界とは似ても似つかない歪んだ空間だった。島の中央には、あらゆる文明の建築様式が無秩序に組み合わさった異形の巨大な塔――**『バベルの塔』**がそびえ立っている.....

 創夜たちは冷たい潮風に打たれていた。

 身体が濡れていないことに安堵しつつ、創夜は立ち上がる。


 そこは、広がる海と、彼らがいた世界とは似ても似つかない、異様な海岸線だった。

 空には、二つの月が浮かんでいる。一つは大きく白く、もう一つは小さく青い。そして、岸に打ち寄せる波は、通常とは逆に海側へと引いていくように見えた。

 創夜は飛空艇アストラル・ブレイカーを操縦し、次の目的地を決めようとしていたところ、海の上に突然広大な島が現れた。島の中心には巨大な建造物があり、壁のようにも見えた。


「あんな島あったか?、近づいてみるか」

 創夜は島に接近する直後、飛空艇が急に揺れ始め、海岸に不時着した。

「何ネ? 創夜どうしたアル? 魔物でも出たアルカ?」

 リンが創夜に突然の事態に問いかける。

「完全に別次元への転移ね。そして、この空間そのものが、何か巨大な力によって歪められている」

 セリアが冷静に分析する。


 創夜は、背筋に冷たいものを感じながら、島の中心にそびえ立つ、異形の巨大な塔を見上げた。レンガ、大理石、金属、肉塊――あらゆる建築様式が無秩序に組み合わされたその壁のようなものは、雲の上まで続いていて先端が見えない。

 創夜たちは、海岸に降りた。

「あれが、俺たちをここに引きずり込んだ原因か……」

 創夜は即座に行動を始めた。

「急ぐぞ。リンは警戒、セリアは魔力経路の探知、ミリィは急な事態に備えてくれ、ミーナは俺の近くで待機だ、フィーリア、この付近をサーチできないか?」

「やってみるわ、さっきまでいた世界と全然違う場所ね、メトロポリスからも見えない場所みたいね」


 創夜たちは、海岸線から内陸へと続く道を見つけ、全速力で走り出した。

「この島に真っ先に足を踏み入れたのは、どう考えても俺たちのはずだ!この島の核となるあの塔に、誰よりも早く辿り着く!」


 ―――フルオーラ!


 創夜の身体強化魔法で加速する。島にしては大きすぎるほどだ。

 彼らは全速力で数分間走り続けた。

 創夜の瞬間移動でも移動できるのだが、あれは急に反応できるリンのような敵がもし現れた場合、リンの里で鍛えた気があったとしても、ただではすまないから高速移動で瞬時に対応できるように身体強化の全ての強化魔法を創夜のスキルで無詠唱で仲間全員にかけている。


 しかし、視界が開けた場所で、創夜たちは動きを止めた。敵は一匹も見当たらなかった。

 道の先には、石造りの建物が規則正しく立ち並び、窓からは暖かな光が漏れ、人々の話し声や、子供の笑い声が聞こえてくる。

「……街だ。急に現れた大陸に町だって!?」

 創夜は息を飲んだ。彼らは急いだ。空間転移から数分も経っていない。なのに、そこには既に人々が生活を営む、平和な街が存在していた。


「おかしいネ! 創夜の『想像創造』でも、こんな短時間で街は作れないアル!」

 リンが混乱したように叫ぶ。

「パラドックスね。私たちが一番乗りのはずなのに、この街は最初から存在していたかのように振る舞っている」


 セリアが腕を組む。この街は、創夜の能力を超える、何らかの『想像の集合体』によって、時間も過程も飛び越えて具現化されたことを示唆していた。

「とりあえず、情報収集よ。この街の住人が、この島が急に現れたことを知っているかどうか確かめる」

 創夜たちは、警戒を最大限に高めながら、街へと足を踏み入れた。


 街の住人は、創夜たちの異質な服装にも特に驚く様子を見せない。彼らは創夜たちを、まるで最初からここにいる「旅人」であるかのように受け入れていた。

 創夜は夕食を兼ねて、街一番の賑わいを見せる酒場『双月亭そうげつてい』へ向かうことにした。

 酒場は活気に溢れていた。創夜たちは隅の席を陣取り、島の特産料理を注文する。


 創夜が聞き耳を立てる。

「この街の住人は、本当に『つい最近現れた島』に住んでいるという認識がないのか?」

 創夜が首をかしげていると、隣の席で、特に大きな声で話している船員らしきグループがいた。


「……だから言っただろ、あの塔は怪しいって!」

「またか、オズ。飲んだらその話は止めてくれ」

「止めるか!あの『バベルの塔』だよ!あんなもん、空から降ってきたっていうのに、誰も気にしねぇんだ!」


 創夜の体が硬直した。『バベルの塔』。そして、『空から降ってきた』という言葉。

 セリアは静に呟いた。

「あの塔に名前がある……」

 創夜はすかさず船員たちのテーブルに近づき、エールを一杯奢った。

「すいません、ちょっと聞きたいのですが、今、バベルの塔とおっしゃいましたか?」

 船員の一人、オズと呼ばれた男は、創夜の顔を見てニヤリとした。


「兄ちゃん、旅人だろ。あんなもの、この島じゃ誰もが知ってる。島の真ん中に立ってる、雲の上まで続いてて見えない巨大な奴だ!」

 オズは身を乗り出す。


「あれはな、ある日突然、島の中心に『生えてきた』んだ。そして、塔が生えてきたと同時に、この島の潮の流れは逆になった。この街は、塔の周りの歪んだ魔力のおかげで、船乗りからすれば『幻の島』扱いさ」

「誰も、あの塔がどうやってできたか知らないんだ。だがな、最近、妙な噂がある」


 オズは声を潜め、創夜の耳元で囁いた。

「あの塔の最上階には、『創造主の玉座』があるって話だ。そして、塔の建築様式が、世界のあらゆる文明の遺跡に似ているのは、塔そのものが、『あらゆる想像の結晶』だからだってよ……」

「あらゆる想像の結晶……」

 創夜の背筋に冷たいものが走った。それは、まさに彼自身の能力『想像創造』が、世界中、あるいは別世界の不特定多数の想像力と融合し、巨大な実体として現れた可能性を示唆していた。


「そして、その『創造主の玉座』に座った者は、この歪んだ島、いや、この世界そのものを意のままに『再創造』できるってんだ……」

 オズの言葉を聞き終え、創夜は元の席に戻った。

 セリアは静かに言った。

「創造主の玉座……。創夜の能力を遥かに凌駕する、巨大な集合無意識の具現化ね」


 創夜はグラスに残ったエールを一気に飲み干した。

「バベルの塔……。あれが、俺たちの次の目的地だ。職を持たぬ者こそ、すべてを創り出す者。その証明のために、あの塔の『創造主』の正体を突き止める必要がある」

「バベルの塔?誰かの名前かしら?全くわからないわ」

 フィーリアが首を傾げた。


 創夜は決意を新たにした。

 雲の上まで続く、先端の見えない『バベルの塔』。その頂への情報収集が、今、始まった。




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