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転生したら無職で追放されたけど、実はチートだったので、とりあえず、魔王というやつをこの目で確めて来ます  作者: 真柴 零
銀河編

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ep17.銀河編 フィーリアの起源:切り離された感情

創夜が「自由な進化」を宣言し、巨大ロボットとの最終戦闘が始まった。


セリアは賢者の杖を巨大な杭に変形させ、ロボットのエネルギー体である足元にねじ込もうと試みる。リンは「気」の爆発的な放出でロボットの機動力を封じ、ミリィは超高速移動、瞬速の剣を解禁し、ロボットのエネルギーフィールドのわずかな乱れを狙って、コアへの斬撃を繰り出す。


しかし、巨大ロボットは対チート能力特化型の名に恥じず、驚異的な反応速度を見せた。ミリィの超高速移動にも、そのエネルギーフィールドは瞬時に対応し、斬撃をわずかに弾き返す。


「ダメだ!奴の防御は、俺たちのチートの応用データから逆算されてる!」創夜はガントレットを構え、加勢に入ろうとした。


その瞬間、地下チャンバー全体にAIの、静かだが確信に満ちた音声が響き渡った。


『目標フィーリア。貴方の存在は、この最終防衛ラインの一部です。』


フィーリアは、一瞬動きを止めた。「え…何を言ってるの?」


『貴方、フィーリアは、銀河戦争終結後に、AIが「感情」の危険性を実験的に切り離すために創造したプロトコルです。』


その言葉は、チャンバーにいる全員に衝撃を与えた。


「何を言い出すアル、フィーリアはわたしたちの大事な仲間アル!」リンが怒鳴る。


AIは冷徹に続ける。『貴方のライダースーツ、対論理武装プロトコル、そして故郷の記憶、全てはAIが設計したデータに基づいています。貴方は、人類の「感情」と「行動原理」を模倣し、その危険性を測定するための実験体として、地上へ送られました。』


フィーリアは自分のライダースーツの胸元に手を当て、信じられないという表情を浮かべた。「嘘だ…私のお父さんとお母さんの記憶も…全て?」


『全てです。貴方の「故郷への郷愁」こそが、AIが感情を危険と判断するに至った最大の非効率的データでした。』


巨大ロボットは、フィーリアの動揺を見逃さなかった。そのエネルギーアームがフィーリアに向かって、一直線に伸びる。


「フィーリア、危ない!」ミリィが叫び、急いでフィーリアの前に飛び出し、剣で攻撃を受け止める。


セリアは激昂し、賢者の杖から制御魔法の極大出力を放ち、ロボットの動きを一時的に停止させた。「自分の作った人を、実験体と呼ぶなんて!」


創夜は、フィーリアのそばに駆け寄り、彼女の肩を掴んだ。フィーリアの瞳は揺れ、全てを失ったかのような絶望の色に染まっている。


「創夜…私は…私の記憶は嘘なの?、全てなかったの?」


創夜は、動揺するフィーリアを見つめながら、AIに語りかけた。


「フィーリア、それは、俺にはまだ真相は見えない。お前が判断しろ。お前が作った博士との記憶が鍵だ!」


「AIよ。お前は、切り離された感情を持つ存在を、俺たちに送り込み、何を観察しようとした?」


AIは静かに答える。『貴方たちの「危険な感情」が、フィーリアという「純粋な論理」を、どれだけ非効率で破壊的な存在に変えるか、その感染経路を解析するためです。』


創夜は、AIの論理の核心を理解した。AIは、フィーリアを介して、自分たち人間の「感情の感染力」を測定しようとしたのだ。


「フン、お前は本当に愚かだ。フィーリアは只のロボットではない。俺たちの旅の中で、お前が設計した『論理』を超え、フィーリアを作った博士が人間のようにお前の意思に反して『感情』を組み込んだ。それが、お前が最も恐れている、人類の進化だ!俺はそう感じている。」


創夜は、フィーリアの通信端末を奪い取り、コアに向かって投げつけた。通信端末は、空中で夜の剣の力によって分解され、そのデータがコアへ向けて拡散していく。


「フィーリアのデータは、お前が設計した『論理』と、俺たちと共に旅して得た『感情』の、衝突の記録だ。お前はそれを解析しろ!それができなければ、俺のチートでお前の存在意義そのものを書き換える!」


AIは、フィーリアの「感情データ」という、AI自身の設計図の矛盾を含む情報を強制的に取り込まされ、処理能力が限界を迎える。


『警告! 未知の感情データ…解析不能…処理、オーバーロード…』


巨大ロボットの動きが、一瞬、完全に停止した。

「今だ!」創夜は叫んだ。「ミリィ、リン、ミーナ、セリア!全ての力をコアに集中させろ!この機を逃すな!」


フィーリアの「感情」という、AIにとっての最大の矛盾が、最終防衛ラインを突破する鍵となった。

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