夜中の2時にはトイレに近づくな
私が高校生だった時の担任のあの言葉が今でも忘れられません。
「夜中の2時にはトイレに近づくな」
夜中の2時とは丑三つ時を指します。
その時間にトイレに行き、ある儀式をすると便器から無数の手が現れ別世界に引きずり込まれると、先生は言っていました。
ある儀式とは何か。それは以下の通りです。
一.夜中の2時にトイレへ行く。
ニ.自身の髪の毛三本と唾液を便器に入れる。
三.便器に顔を近づけたままトイレの水を流す。
そうすると前述したように無数の手があなたを襲い、別世界へと引きずり込まれるそうです。
そんな話、小学生ならまだしも高校生だった私たちは誰一人信じませんでした。
それでもお構いなしに先生は話を続けました。
先生が若かりし頃。当時付き合っていた彼女とアパートで同棲をしていたそうです。
彼女はオカルト好きでネットの掲示板で都市伝説や怖い話を見ては楽しんでいました。
ある時、友達と旅行へ行くことになった先生。
家に留守番をすることになった彼女は、せっかく一人なのだからと、あることをしようと思い立ちました。そうです。先ほど話した儀式です。
旅行先で夜遅くまで友達と飲んでいた先生に彼女から電話が入りました。
先日ネットで見つけた儀式をしてみる、と。
酔っていたこともあり、彼女の発言に対して気にすることなく電話を切ったそうです。
それが彼女と最後の会話となりました。
旅行から帰ると彼女の姿はどこにもありませんでした。
貴重品はすべて家に置いてありましたし、荒らされた形跡などもなかったので家出や誘拐ではない。
警察と協力し捜索をしましたが、とうとう見つけることができませんでした。
それからしばらくして引っ越しをすることになった先生は家を出るとき、トイレの方から女性の声が聞こえたそうです。
「お願い...。行かないで...」
その声の後、勝手にトイレの水が流れました。恐怖を感じた先生は急いでその場を去りました。
後々振り返ると、あの声はどこか彼女の声に似ていたそうです。
なぜこんな話を私たちにしてくれたのか。
その話をしてくれた数日前にアパートは老朽化のため取り壊されたそうです。
しかし、彼女が出てくることはありませんでした。
「自分の気持ちを整理したくて君たちに話したくなったのかもな」
噓か本当かわかりませんが、それ以降夜中の2時にはトイレに近づかないようにしています。




