3-14 強襲
リンガが先行し、エンドがその後ろから続く。他の小鬼も警戒して進んでいるが、気配を察知出来るエンドとしては油断こそしていないが、それが動いていないことを感じているため特に緊張も無かった。
風下から接近する為に道を外れる必要があり、シタラと護衛の何人かの小鬼は安全のために距離を取ることとなる。エンドにも声がかかるが、笑いながらそれを断った。
ある程度魔獣の群れに近づくとエンドがリンガにそれを告げ、全体を止める。状況の把握の為にリンガに加え、隠れる事が得意なラ族の別の小鬼も種族特性を活かして姿を消して偵察を行い、そして静かに戻って来る。
「エンドの言った通りの数だ。あと結構傷を負っているヤツもいた。襲われた探索者がやったんだろうな。」
リンガの言葉にエンドは頷く。もう一人の小鬼も自分達のリーダーであるカリラに報告を行っていた。
集まって小声で対応を練るが、エンドが小さく手を挙げて注目を集めた上で発言する。
「相手に気が付かれていないのであれば、いい方法があるーーー」
作戦を話すと、他の面々も少し考え、そして頷いた。
中型の魔獣達は久々のマナに満ちたーーー量はともかく質の高い食事に満足し、身体を休めていた。
魔獣達は肉食性が強いが雑食でもある。普段は小さな動物や食べやすそうな木の実、果ては草木で空腹を満たしていたが、マナに溢れる食事は久しぶりであった。抵抗が激しく魔獣の小さな配下が一匹やられたが、それもまた食事となった。
傷ついた仲間も多く、獲物も数が多い場合は襲わない方が良いだろうな、と思考というレベルでは無いが、漠然と考える。
ふと近づく気配、そちらに目を向けようとしてーーー閃光が襲った。
混乱した魔獣の群れが身を起こすが次々と首を切られ、折られ、頭を潰されていく。
一際大きなハウンドが体勢を立て直し、すでに半壊しつつある群れを確認する。
魔獣の中ではそれなりに賢い群れのリーダーは怒りと恐怖を感じつつも撤退を決める。それを伝えるべく吠えようとした瞬間、顔面と足に激痛が走る。大きく吠えようとした声はキャインという甲高い声となり顔を無事な足で拭う。
キン、と小さな音を立てて何本かの太い針が地面に落ちた。痛みがある足を振るうとこれまた同じ様な針が落ちる。
痛みだけで問題が無いと判断し、再度吠えようとした魔獣は、黄色の髪を持つ小さな影に喉元を抉られ、血と空気の漏れる様な音を奏でて崩れ、少しの間もがき、そして動かなくなった。
最後にその目に映る風景は逃げることも叶わず地に伏せた群れの姿であった。




