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3-10 友誼

 エンドとシタラが並んで歩き、その傍らをリンガとカリラが固め、他の小鬼達は取り囲むように陣形を組んでゆっくりとすすむ。

 当初はエンドも小鬼達の運ぶ駕籠でシタラと共に運ぶ提案もあったが、流石に駕籠のサイズが小さい事と、他の者と同じように歩きたいとエンドが断ったため流れた。シタラもエンドの言葉を聞いて並んで歩きたいとの要望を涙目で訴え、カリラもその様子に息を荒げながら承諾したのであった。


「エンドさんは何で探索者をしているんですか?」


「うむ、それはな・・・」


 シタラの質問に対してこれまでの自身の軌跡ーーー記憶の無い状態で目覚め、魔獣と戦い、そしてリンガに助けられた事を話す。


「そ、それはとても大変でしたね。別の場所のホールに落っこちてしまったんでしょうか・・・記憶を取り戻す為に色々な所を旅しているんですか?」


「はっはっは、その側面もあるが、一番は自由に旅をしてみたかっただけだよ。記憶を取り戻すにしても本来なら領都で医師のサポートを受けながら静養していれば良いのだろう。だが、私が探索者になりたいと思ったのは、自由に旅をしたかったという利己的な理由に過ぎんさ。こんな無理に付き合ってくれている相棒には感謝している。」


 自身の変わった特性、気配の察知や高いスタミナ、男性としてのマナの供給が探索者の補助として向いていた事は幸運だったとエンドは話す。そしてシタラの目の前で掌から旗を生やすと目を見開いて驚いていた。


「うわ!びっくりした!で、でも女の人と一緒に動けるなんて凄いですね。僕だったら怖くてそんな事出来ませんよ・・・僕も小鬼ですから少しだけ体の色を変えて隠れることができますけどそれだけで」


「別に凄いことは無いさ。むしろ他の男性のように安全な場所でマナを多くの女性に供給し続けるのが最も正しい社会の中の在り方だろうが・・・私はそれに耐えられない子供のようなものだよ。ああ、私の事は敬称など付けずに呼び捨てにしてくれれば良いし敬語も不要だ。」


「う、うん、分かったよエンド。だったら僕のことも呼び捨てにして欲しい。」


「そうか、今後ともよろしく頼む、シタラ。」


 呼び捨てにされたシタラが嬉しそうに頷く。


「ふむ、良ければ今度はシタラが何故探索者の一行に居るのか聞いても良いかな?」


 エンドの問いに頷いて返しつつも、表情は真剣味を帯びていた。


 シタラが語った内容として、まず元々小鬼のラ族は別のゲートの先の場所、小鬼が多く住む熱帯雨林地帯で暮らしていたが、広域の突如としたマナ枯れが発生した。住んでいた場所を離れざるを得なかったラ族であるが、すぐに新天地は見つからずに他の部族を頼むしか無かった。

 しかし、縁故ある者は兎も角全員の受け入れには難色を示した。最終的にラ族の男性を譲渡する事で受け入れられる事になったが、ラ族内でも一部がこの状況に対して反発して分裂した。

 特にシタラを差出す事を良しとしなかった若手の集団の一つが出奔、ゲートを通りリゾトニアまでやってきたとの事であった。とはいえ残ったラ族もその気持ちは痛い程分かるとして黙認に近い形であったとの事であった。


「ふむ、シタラも苦労してきたのだな。」


「僕は他のヒト達が頑張ってくれたから別に・・・マナをあげることしか出来ないのが悔しいなぁ・・・」


「ふむ、内助の功という言葉がある。別に動いてくれる者のサポートもまた一つの仕事だ。それに、彼女達の様子を見るに君は十分精神的な支柱となっているように見える。」


 エンドの言葉を受けて少し黙したシタラは、それでももっと役に立てるように考えたいと言った。


 話をしながら歩いていたが、元々ペースの遅いシタラの息があがり、さらに歩きが遅くなってくる。その様子を見たカリラにより小休止が全体に告げられた。


「はぁ、はぁ、エンドは疲れて、ないの?羨ましい、種族の、特性だね。」


「うむ、それには私も助かっている。だが、それに加えてこのようなマギアの補助具も使って疲労をさらに軽減。自衛用のマギアも含めて何とかやっていけているな。」


 外套の胸元を開くとパワースーツのようはマギアが見える。


「か、かっこいい!僕もそういうの、欲しいなぁ。」


「ふむ、ドク・・・これを作ってくれた同居人にも聞いてみよう。」

「うん!お願い!」


 シタラは迷惑をこれ以上かけないように駕籠に戻るしか無いのかなぁ、と呟くが、エンドは妙案を思い付き、高らかと言った。


「チェーンジッ!」





「うわー、これ楽だね!エンドは疲れないの?」


「大丈夫だ、問題無い。もっとスピードを出したいくらいだが、それでは他の者に負担をかけるからな。」


 エンドの膝の上、シッコによって固定されたシタラが喜びの声を上げる。駕籠の時はスピードが上がると揺れが酷くて酔うことが多かったらしくゆっくりとしか進まなかったそうだが、スライムサスペンションとスライムシートの性能はかなり高いものである様で、大きな負担も無い様子であった。


 そうして、当初の予定よりも早く進むことができたが、空が暗くなる時刻になったため道中で野営することとなった。


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