3-8 共感
窓のような御簾が少しだけ開き、そこから響く少し高い少年のような声に注目が集まる。
エンド達は足を止め、小鬼達はざわめき目線を向ける。リーダーの小鬼は目にも止まらぬ速さで駕籠に駆け寄り声を掛けていた。
「我らが至玉よ、いかがした?」
「その・・・あの人達と少し話しても、いいかな?」
小鬼達はさらに困惑して戸惑いを隠せない。
「なりませぬ、探索者同士とはいえ貴方の身が大事です。」
「お、おねがいっ!お姉ちゃん!」
「・・・か、可愛すぎるゥ!い、いやしかし」
「ダメなの・・・ヒック」
「ごめんン!泣かないでェ!わかりました!でも私より後ろにいて下さいねぇ!」
豹変した小鬼のリーダーの様子を何事かと立ち止まってエンド達は見ていた。
駕籠がゆっくりと降ろされ、御簾が開くと中から小鬼の中でもさらに小柄な、角の無い少年がおずおずと出てくる。
少年を背中に庇うように小鬼のリーダーはエンド達にゆっくりと向かって来る。他の小鬼達もその左右をカバーするように集まって来ていた。リンガもその様子を見て訝しげにエンドの前に陣取る。
少年はリーダーの陰からビクビク怯えながらもエンドをじっと見つめる。
「ま、まさか!我らが至玉は、大型種が、こ、好みだったりするのか!?ば、バカなァ!!」
身悶えしているリーダーを無視して、少年が声を上げる。
「・・・や、やっぱり貴方、男の人、ですよね?」
瞬間、その場の空気が凍りついたかのように静寂に包まれる。
「うむ、そうだ。」
「アイボー!」
平然と答えるエンドの様子に慌てるリンガだが、エンドは笑いながら続ける。
「はっはっは。なに、私は騒ぎにならないように変装はしているが、別に殊更男である事を隠す気はないよ。何も恥ずべき事は無いし、それに勇気を出して声をかけてくれた彼に嘘をつくのは格好が悪いでは無いか・・・シッコ、一度離れてくれ。」
「アイサー」
エンドの胸や臀部の部分が凹み、そしてそのすぐ横にシッコが姿を現す。突然の出現に小鬼達も驚き体勢を低くするが、リーダーが手を横に伸ばして制止した。
エンドは外套のフードと襟巻きを外すと、片膝をついて視線を合わせ、挨拶する。
「私の名前はエンドという。よろしく頼む」
「わぁ!や、やっぱり男の人だ!僕はシタラ!よろしくお願いします。あ、でもごめんなさい、せっかく隠していたのに、僕、他の男の人に会うのが久しぶりで・・・」
「はは、気にするな。先程言った通りだからな。しかし、よく気が付いたものだ。」
「う、うん。だって、僕以外にも何となくオドを集めていたような雰囲気があったから、あとは何か女の人とは違ったし・・・」
「ふむ、言われてみれば確かに私も少し他とは違う気配を感じたから先程はつい男性がいるのかと聞いてしまったしな。」
周囲の小鬼達も我を取り戻すが、あまりに突飛な事態にエンドが本当に男性か怪しむような声も上がる。
シタラがさらに反論しようとするが、エンドはそれを手で制止する。
「君の仲間達が怪しむのも無理もない、私のような者は少数派と聞いているからな。それに、論より証拠・・・そのような言葉もあるようだ。」
エンドはふと口から出て来た単語について考えるが、説明せずともわかりやすいフレーズであり、そして自らが行おうとする行為に適していた。
「やな予感が・・・」
「パージッ!」
エンドが声を上げてマナを操作すると、マギア・フレームの固定具が外れて関節部が固定され、フレームが立った状態のまま外れる。
「「「「デッ!!!」」」
そしてポージングを決めた裸体が姿を現したのであった。




