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第三章 領都動乱 3-1 調査依頼

 暫く時間が経ち、エンドも基本的な仕事を何度かこなして生活に慣れつつあった。特にマナの乏しい地点を含む調査はエンドの索敵能力とマナの供給、リンガの戦闘力によってかなりの貢献を見せていた。

 そんな中、組合にいつものように顔を出すと何度か対応してもらったことのある受付から組合長の部屋に顔を出すように言われる。


「ん?ああ、来たか。入ってくれ・・・悪いな急に呼び出しちまってよ。」


 部屋に入るとイースと共に机の上にある地図と資料を難しい顔で睨んでいたタツキが顔を上げる。

 いつもの陽気な雰囲気は無く、真剣な目でエンド達を見ていた。


「さて・・・テメェらのここ最近の仕事ぶりは悪くねぇ、報告書の内容も丁寧なもんだ。はみ出しものが多いからそこんところが分かってねぇ奴らも多いからなぁ」


 褒められて悪い気は勿論しないのではあるが、現状では不穏な雰囲気であり素直に喜ぶ気も薄かった。

 そのエンド達の様子を見ると、タツキはフッと笑い話を続ける。


「そう警戒すんな、やってもらう仕事はいつも通りだーーーただ、情報を精査すると、ホールが出来てるかも知れんのさ。」


 ホール、とエンドは声に出ぬ声で呟く。この世界では別の場所どうしを安定的に繋ぐゲートと、不安定で一方的な入り口が開くホールがあるとリンガやコニイから一般的な常識として話を聞いている。

 また、ホールは空いた穴の大きさに比例した一定以上の質量が通過すると自然と閉まる傾向があるとコニイは言っていた。故に、土や水が流れ込むと短時間で閉じて人知れず勝手に小山や沼が出来る事もあり、空気だけであれば長時間、そして気が付くものもいない事もある。一番厄介なのは魔獣などが入り込み周囲に拡散してくるパターンであるとも加えていた。


「ま、ホールなんて出来る時は出来るから仕方ねェ、見つけたら枯れるまで軍に対応してもらうだけだぜ。」


「うむ、成程。つまり我々はその調査に向かえば良いのかな?」


「そうだ。ああ、勿論テメェらだけじゃなく外回りに慣れてる複数の探索者達と合同で行う。今回は魔獣が入り込んでいる可能性が高えから、軍からも人を出すらしい。へっ、元々この手の依頼で金を出していたのは軍だからな、基本的には依頼主の指示に従う事になる・・・だが、無茶な要求には従う事はねえ、そん時にはさっさとオレのとこまで言え。」


 不敵に笑うタツキの姿は安心感を与えるもので、組織の長に相応しいものであった。


「うん、いつもよりは危ないかも知らないけど、僕達が積極的に戦う必要は無いし、アイボーの特性を考えれば話が来るのもわかる。」

「うむ、評価されていると前向きに捉えるとしようか。」


 快く応じたエンド達の様子を見てタツキは少し安心した様子で資料を二人に放り投げるように雑に渡す。落ちる事なくキャッチした二人は簡単にその内容を見る。


「領都からは多少離れている。準備を整えたら指定の時間までに会議室まで来い、軍の奴らも来るから遅刻すんなよ。」


 忙しいそうなタツキの部屋を退出し、一度帰宅して準備を整える。

 昼食を早めにとり組合の会議室に入ると、エンド達の視界には顔見知りになっていた他の探索者と、きっちりと軍服を着込んだ数人の軍人の姿。そして、その中の一人は初めて領都に入る際に便宜をはかってくれたランファがいるのであった。







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