2-30 外骨格
「どうかね助手君!君のアイデアを基にとりあえず作ってみたのだよ!マギアンの予備パーツや廃材を再利用した突貫品だが、一応は動くはずさ。」
エンドの目に写るのは上半身と下半身に分かれたヒトの形にも似た骨組みであった。
その骨格はワイヤーの様なもので繋がれており、それは骨に纏わりつく筋肉にも見えた。
「おお、流石はドクだ。マギアンがマナで動くのであれば、その機構を利用して強化に使えないかという疑問に早速答えてくれた様だな。」
「ふふふ、私も盲点だった。いや、男性以外には用途はないから仕方がなかったと言い訳させて貰うが•••そんな事はどうだって良い、とりあえず着けてみてくれたまえ。アイリス君、補助を。」
「かしこまりました。エンド様、失礼します。」
コニイの熱意に押されたエンドはアイリスに教わりながら上半身の骨組みを装着していく。そしてマナをさらに流し込むと、力を入れていないのに腕が曲がった。
「おお、動いた!しかも、私の動かしたい様に動くとは!」
それはマナーで稼働する人工骨格、謂わゆるアシストスーツのようなものであった。
マギアン達の予備パーツが至る所に置いてある様子を見て、マナで動くマギアンであればもしかするとと提案したものであった。
「ふふ、さしずめマギア•アーマー•••いや鎧というには装甲が無いから、マギア•フレームとでも呼ぶべきかな?マギアンはこのようなマナで伸び縮みする丈夫な鋼糸で筋肉の代替をしているんだよ。その修理をする私もその構造には精通しているのさ。」
その様子を見ていたシッコも置いてある下半身の骨組みに液体状の身体を入れる。だが、次の瞬間にはガチャリという倒れた音と共に滅茶苦茶な動きを下半身のフレームは見せて地面を転がっていた。
「むー、難しいネ。変な動きになっちゃうナァ、ご主人はどうやって動かしてるのサ?」
「ふむ、そう言われると中々表現が難しいな。かなり、感覚的なものとなる。」
コニイも興味深そうに観察していたが、ふと思いついたように話す。
「ああ、シッコ君は元々四肢が無いようなものだからね、関節を動かすという概念が難しいのだろう。」
むぅ、と不満げなシッコがガチャガチャと動かし、何とか直立不動の体勢を取ったもののそれ以上は難しそうな様子であった。
「ムムム、練習しないと難しいネ」
「ははは、簡単なものでよければシッコ君用のも作っておこう。さて、助手君、そこに幾つかの計測器を用意してあるから試してみてくれ。」
エンドが視線を向けると重りやバネのついた器具が用意されていた。
マギア•フレームの有無や流すマナの量をコニイの指示に従い様々な条件で一通り試す。
「ふむふむ、概ね助手君の筋力の1.2倍位の出力が見込めそうだね。完全に連動出来れば2倍以上になりそうだ。」
「ネェネェ、ワタシもやってみてもいいかナ?マギ何ちゃらは無いけド」
「是非やってくれたまえ!スライムのこの様なデータを採れるなんて滅多にない!」
シッコは触手を細くしたり、太くしたりしながら測定を行い、結果としては最大ではエンドの4倍ほどの結果となった。
「ふむ、中々のパワーではあるが、それでも私がオーラを使った方が高い値となるね。シッコ君の強みはパワーではなくその流動的な身体にあるのだろう。ああ、アイリス君にも試して貰ったが、エンド君の2倍程の数値だった。パーツの補修が進めばもう少し高い値になるのだろうがね。」
コニイの総評に少し悔しそうなシッコであったが、エンドは一方で表情を変える事はなかった。
「うむ、やはり私が一番非力だな。ならば尚更多少でも強化出来るのであれば悪くは無い。後は耐久性や利便性の問題となるが、それは実際に使用してみなければ分かるまい。」
エンドの自らの弱さを当然の様に認める姿勢に感心しつつ、コニイも頷く。
「助手君のレポートを楽しみにするとしよう。だが、あくまでも急いで作ったものだ。時間をかければもっと良いものが出来るだろう。」
「有難い。だが先に一つ改善を要求する。着脱をもっと簡単に、出来ればすぐに外せる様にしてもらいたい。」
「なるほど、確かに故障したらデッドウェイトななりかねないし、動きに不具合があって身体を痛める危険性も考えれば緊急時の着脱は必要•••」
「脱ぎたい時に困る。」
「ンン゛!?そっちかね!?」
エンドの目的は兎も角、安全性の為にリンガが来るまでコニイは急いで改修を施すのであった。




