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2-28 対策

 翌朝もエンドはいつもより少し遅く目を覚ましたが、それでも外はまだ暗かった。横たわったまま領都の気配を探り、ヒトの営みを感じながら時間を潰す。

 空の明るさが増し、リンガの動く気配とタイミングを合わせてシッコと共に部屋を出る。

 昨晩購入した朝食を並べていると眠そうなコニイが部屋から出てきた。今度は服は着ていたのだが、ボタンがずれている事を指摘されて慌てて部屋に引っ込むと、まもなく恥ずかしそうな顔で直して出てくる。角のある種族はいわゆるTシャツなどの頭から被る服とは相性が悪く、ボタンや縛ったりする服を選ぶ事が多いとリンガが話す。

 朝食に舌鼓を打ち、片付けを終えるとエンドはコニイに連れられ工房へと向かった。


「助手君、これを見たまえ。」


 エンドが示された方向を見ると、その机の上には幾つかのマギアと思われる機器が置いてあった。


「これはマギアン達が自衛の為に使用している武器さ。マギアの一種ではあるけれどもガードマギアと呼ばれている。何の捻りもない名前だけどね。」


 コニイの説明では、治安の悪い場所やこの都市に来る際や帰省時にオーラを使えないマギアンが持つものであり、遠距離用のものから近距離用のものまで様々なものがあるとの事であった。


「便利そうだが、相棒は使っていなかったな。」


 それを聞いたコニイが苦笑いを浮かべる。


「オーラを使える種族にとっては、攻撃力が低すぎるんだよ。同じだけマナを使うなら、オーラに変えて殴った方が余程ダメージを与えられる。それにこのガードマギアを使って痛い思いをさせる事が出来るかもしれないけど、オーラで強化されたヒトを倒す事は難しいのだよ。それでも何もないよりはマシだけどね・・・誰でも痛い思いはしたくないから多少の抑止力にはなっている。しかし、どちらかと言えば魔獣対策に使用している。だから自衛のための道具で武器というには少々足りないのだよ。」


「魔獣か。魔獣は宝玉のような感覚機関があるが、オーラは使えないのかね?」


 エンドは対峙したファングのことを思い出す。そしてリンガの強さもまた思うと、自分程度で仕留められたファングはオーラを使用していないと考えた。


「うーん、その答えは魔獣によるといったところかな?ファングは基本的には小動物を狩って生きている何処にでもきる小型の魔獣でオーラは無い。繁殖力はあるしマナが薄くても活動できるけど、最弱に近い種類だね。魔獣も多くはオーラを使えないけど、それなりの魔獣はマナによる強化だけでもオーラを使ったヒトを凌駕する。軍がゲートから出てくる魔獣と戦っているけど、大体がこの中型や大型の魔獣だね。そして特級魔獣と呼ばれるオーラを使うものもいて、これは極めて危険性が高いんだ。滅多に会わないけどね。」


「む、それでは最低限中型の魔獣に対抗する手段が欲しくなるのか。」


「そうなるけど、正直それらを倒せるガードマギアは残念ながら存在しないよ。軍が管理するオーラで動くオーラウェポンはかなりの力を発揮するけど、勿論一般には流通していないし、法的にも所持は禁止されている。ガードマギアは回路と増幅に魔獣の宝玉を使っているけど、オーラウェポンはヒトの角やジュエルを使っている。大体は殉職した軍人のものを事前に了解をとった上で使っているらしいけどね。製法も秘密、これが下手に市中で作られ、使われると材料目当てのヒト狩りが行われかねないのさ。」


「なるほど・・・ドクなら作ってしまえそうだが」


 エンドの言葉にコニイは笑う。


「ふふふ、理論は分かるし、作れるかもしれないけど流石にやらないよ。軍に追い回されたくも無いしね。ま、そんな話をしても仕方がない。助手君に必要なのは身を守る為の力であって、必ずしも倒す必要性は無いのだよ。」


 机の上のガードマギアに近づき、最初に先端に小さな穴の空いた杖のようなモノを手に取る。


「これは尖った針を連続で射出する『ビーロッド』さ。針といっても結構重くて長いからよく刺さる。それに先端には刺激性のある薬物を塗ってあるから、実際のダメージはちょっと先端が刺さるくらいで大した事無いだろうけど、かなりの痛みを与えられる。目に刺されば暫くは使い物にならないだろうね。」


 次にトンファーに似たモノを手に取って説明を続ける。


「これは『ヒートバトン』、取っ手以外が発熱するんだ。誰だって熱いのは嫌なものだし、鍛えていてもそりゃあ火傷くらいする。」


 最後に幾つかのボールの様なものを見せる。


「これは目潰しとか不快で大きな音を撒き散らす使い捨てのマギアだね、この手のものは『グレネード』って呼ばれてるよ。マナを流して少しすると効果を発揮する。時間は事前に調節可能さ。」


「ふむ。どれも相手の感覚を狙い撃ちにしているな。」


「その通りだよ助手君。オーラで身体も、そして感覚も強化される。だからこそ効果的なのだよ。軍が暴徒を鎮圧する時にも同じ様なガードマギアがまずは使われるね。世知辛いけど、他の町や村から流入してきたヒトで定職に付けずに不満を持つ者も少なくないのさ。」


 エンドは神妙に頷く。だがその目線は様々な資材やマギアが積み重なっている箱に向けられていた。


「ドク、私に考えがあるのだがこのようなものは作れるのだろうか?」


 エンドの考えを聞いたコニイは興奮した様子で声を上げる。


「素晴らしい発想だね助手君!面白そうだし、簡単なものならば時間もかからず試作できると思うよ!」


 エンドもその感想に笑みを浮かべ、リンガが呼びにくるまで話に熱中するのであった。

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