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2-26 業務

 テーブルの上では流石に硬いだろうと、意識のないタツキをマットレス状態になったシッコの上に載せ、イースの提案でさらにエンドが膝枕をする。

 リンガは難色を示し、エンドも膝枕する事に問題は無いがむしろ固くて寝づらいのでは無いかと疑問を呈するが、気絶の原因となった負い目もあり、イースの強い希望もあって従う事とした。


「さて、マスターが眠っている間に探索者の仕事についてエンド様に説明差し上げましょう。」


「うむ。リンガからある程度は話は聞いているが、組合からの説明も改めてして貰った方が良いだろうね。よろしく頼む。」


 探索者の現在の主な業務は軍からの下請けで各地のマナ濃度や植生の調査、立ち寄った村や町といった小規模な集落の状況報告となる。軍が全ての地域の調査を行うのが大変である部分もあるが、実際には戦闘が主でなくマナの少ない不快な地域を通る事も多いので軍人が不満とならないように委託されている面が強いとのことであった。

 次に同じくらい多いのが小型の郵便物や手紙などの配送業務であり、組合の支所があればそこまで届け、無いような小さな居住地では代表者に渡す事となっている。折り返しの領都までの配送もその際頼まれる事が多い。旅慣れないものだがにとっては案内も無く別の場所まで行くのは軍の巡回がある大きな街道以外は危険であり、需要がある。

 他には外に用事のある個人の護衛や補助、リンガの受けていた遺髪を故郷に埋めてほしいといった個別の依頼もある。また、領都内における様々な雑事や人足もある程度行っている。


「なるほど、基本的には戦闘は想定されていないのか。それに業務の幅も広そうだ。」


「私共は探索者であり、戦うのは軍の仕事です。とは言え、外に出る組合員には道中で魔獣やならず者に襲われる事もありますのでそれに対応する能力は相応に求められます。」


 なるほど、と頷くエンドにイースが説明を続ける。


「基本的に新しく入ってきた方には実績のある指導員の下で暫くの間経験を積んで頂きます。エンド様とシッコ様の場合は、この指導員はリンガ様が該当します。」


 再びエンドは頷く、何の説明もなく仕事を任せるなんてそんな真似はまともな組織ならばしないだろうと。

 

「後は、そうですね。組合は多角的に経営を行っており、様々な投資から、マギアの開発、私共のようなマギアンの斡旋なども行っております。」


「ほう?マギアンの斡旋。それはただ普通に働くのとは違うのかな?」


「広義的には変わりません。しかし、マギアンは殆どが出稼ぎで独特な組織体制をとっています。ゲートを通ってマナが豊富な地域で働き、その稼いだマナを持って定期的に元の場所にもどり還元します。普通の人足と比べるとマギアンはオーラを扱えませんので強度の高い肉体労働は行わず、単純労働や事務の仕事に従事することが多いですね、特に若いマギアンは手を抜いたり嘘をつく事も出来ませんので。私はもう独立しているので別ですが。」


「種族的なもので、中々に複雑ということか。」


「ええ。そしてリンガ様方には今後マナが薄い地域の調査やたかは業務を依頼することが増えると思います。」


 うげ、とリンガは毒づくが、エンドは然りと頷く。


「私のようなマナの補充源が居るのであれば合理的な判断だろう。相棒とシッコには迷惑をかけるが・・・」


「いいさ、アイボー。誰からがやらないといけない仕事だし、仕方ないさ。マナもしっかり補充してくれればいいしさ。それに、報酬も悪くない。」


 資金面でいえばエンドがいる時点でほぼ無限に等しいが、働かずに得る所得をリンガもエンドも良しとはしなかった。

 仕事の内容については仕方いと笑うリンガに同意するようにシッコも頷く。


「う〜、ってオイ何だこりゃ!」


 ここで意識を失っていたタツキが目覚めると、ぼんやりした目であたりを見渡し、シッコの上で寝ている事に驚き、そしてエンドに膝枕をされている事に気がつき叫んだ。


「マスター、おはようございます。いかがですか?確か愛読されている小説にあるシチュエーションの一つだと記憶しておりますが」


「な、な、なんで知ってるんだ!?」


「あからさまに隠してあれば気が付きますよ。この部屋の掃除も私がしておりますし。ああ、私は悪くない趣味だと思いますよ。」


 赤くしたり青くしたり目まぐるしく顔色を変えるタツキであったが、疲れたように溜息をつくと身を起こして椅子にだらし無く腰掛け、投げやりに言う。


「あ゛ー、もう今日は散々だ。店じまいにすっから帰れ帰れ、後は明日以降にすっぞ。あー、あとエンド、テメェの事は認めたが、もう少し防御面や小細工が出来るようになっな方が良い。当たり前だが、近寄られる前に捌ける方が安全だ、少し考えとけ。俺はもう寝る。」


 不貞腐れた様子のタツキは大分内容量が減ったボトルから直接酒を飲み始めた。


「あら、マスターが臍を曲げてしまったようですね。一階にはもう誰もいませんし、そちらで登録手続きを行いましょう。」


 イースに促された三人は組合長の部屋を後にするのであった。





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