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2-5 証明

部屋の広さは4畳程、高さはあるものの狭い個室であった。小さな机と椅子が数脚、棚に幾許かの資料が並べられている。


エンド達は促されて部屋の奥の方へと進む。窓もなく、唯一の入り口側にはランファの席があり、何があっても容易には逃げられない様になっていた。


「悪いな、個室を用意して貰って。」


「いえ、これも仕事ですし、事情や種族によっては個別対応する事もあります。忙しい時間をわざわざ外してくれてますし、お気になさらず。」


頭を軽く下げるリンガと、それに倣うエンドに対して何事もない様に淡々とランファは返答する。


「ただし、時間は有限ですので早速ご説明願います。」


頷くリンガを確認してエンドは席から立ち上がり、被っていた布に手を掛けて床に落とす。


シッコがぬるりとエンドから離れ、一度水溜りの様になった後、ヒトの形をとった横に並んだ。その様子を見ていたリンガが軽く頭を下げランファに謝る。


「驚かせてごめん。道中で助けた、訳ありそうな男性と・・・何かヒトの言葉を話せるスライムだよ。」


「お初にお目にかかる、エンドと名乗っている。よろしく、レディ・ランファ。」


「シッコだヨ、コンゴトモヨロシク!」


慇懃に挨拶するエンドと、元気に手を上げるシッコの姿にランファは僅かな間驚きと戸惑いで表情を凍らせていたが、すぐに我を取り戻す。


「驚きました。この様な形で男性がいらっしゃったとは・・・私も初めて対応します。つきましてはミスター、失礼ながら念の為本当に男性か確かめさせて頂ければ。例えばマナ・・・」

「うむ。勿論だ。」


ランファの言葉を聞いていたエンドが服がわりに纏っていた布や毛皮に手をかけると勢いよく取り払った。

一瞬で全裸となったエンドは両手を広げランファの方へと進む。


「では存分に調べてくれ。私は何も隠していないし不審な点は無い。さぁ!」


「へ?あああ、あああああっ!?」


「む、どうしたのかね?っもがっ」

「バカー!嫌な予感がしたよっ!」


リンガは床に落ちていた、先程まで姿を隠す為に使っていた布をエンドの頭から被せる。


「脱がなくてもマナ出せば男って分かるだろ!ランファ、大丈夫!?」


ランファは直立不動のまま顔を真っ赤にして口をパクパクとさせ慄いていた。


「ふぁ、は、はい、なんてご立派、ではなくは、破廉恥な。だ、男性である事は分かりましたが紳士のする事ではあ、有りません!女性の前で服を脱ぐなんてそんな素晴らし、ではなく危険な事を!襲われますよ!」


「ああ、これは失礼した。こちらの方が手っ取り早いと思ったのだが。ではマナの方を、ふむ、しっかり流した方が証明しやすいかな。」

「あ、また嫌な予感が・・・」

「では、っと、ハックショイ!!」


布から顔を出したエンドが右手をランファに向けてマナを流そうとした瞬間、布を被せられた際に埃も舞ったのか、くしゃみをしてしまい目測を誤ってしまう。


「あ、あばばばばばばっ!!」


手がダイレクトに硬直するランファの額の宝玉に当たり、想定外の規模のマナが注ぎこまれたランファは身体を逸らしたあと昏倒、する直前。


「おっと、大丈夫かね!」


エンドが慌てて抱き止め倒れる事を防いだが、何故か布は再び地面に落ちていた。


「きゅう」


何とか意識を保っていたランファに最期の一押しが加えられ、どこか幸せな表情で眠りについた。

















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