第13章 裏事情
この章は短いので、続いて次章を投稿する予定です。
私が隣国で暮らすようになって半年が経った。
私は元第一王子の妻であったシスティーヌ王女殿下の推薦状によって、お隣ヒソット王国の外務省で通訳として働いている。
私は三カ国語に加えて国際共通語を話せるので、ここではかなり重宝されている。
母国では女性の通訳はいないが、この国は実力主義なので、特に専門分野では女性の社会進出が進んでいるようだ。
元々裕福な国ではなかったので、優秀な人材を無駄な差別と偏見で排除しては成り立たなかったらしい。
それが豊かになってきた今でも変わらないというのだから素晴らしい。
正式な職員にならないかと言ってもらっているが、今のところ返事はしていない。
どうしてシスティーヌ王女殿下の護衛に守られてこの国に逃げてこられたのか。
どうしてすぐに仕事をもらえたのか。
どうしてすぐに住まいを見つけられたのか。
もちろんそれはシスティーヌ王女殿下の推薦状があったからなのだ。
ではそもそも何故妃殿下から推薦状をもらえたのか?
それは私が第一王子アルディールの計画を王女殿下に伝えたからだ。
私は第一王子に一方的に目を付けられて、無理やり囲い込まれ、結婚させられそうになっていた。
私にとっては迷惑以外何物でもなかったのだが、見方を変えれば私が妻のいる第一王子に色目を使って、王子妃の座を狙っている悪女だと受け取られても仕方なかった。
そう、被害者面して近づいて、何か裏で画策しているのではないかと。
警戒されることも覚悟しながら、それでも何も知らない妃殿下が冤罪で投獄されないように、王子の陰謀を告げるためにシスティーヌ様付きの官僚であった兄に三年ぶりに連絡をとった。
もしシスティーヌ様になにかあったら、両国の関係が最悪になってしまう。
いや、それよりも私はシスティーヌ王子妃殿下に勝手に好意を持っていたのだ。
まるで子供のように何にでも関心を持って、未知なる物を知ろうとする貪欲さ。
国民のため国のために何ができるか、いつも考えてそれを実行しようとする姿勢に。
だからたとえ王女に憎まれようと、第一王子の罠に落ちないように彼女に忠告したのだ。
その結果、私は彼女に疑われるどころかむしろ感謝されてしまった。
そして王女の母国へ無事に脱出するに手配をしてくれた上に、彼女の父親であるヒソット王国の国王へ、私の面倒をみるようにと手紙を出しておいてくださったのだ。
後になって私の兄が王女に私の保護を依頼していたことがわかったのだが。
兄も両親が私を第一王子の元へ嫁がせようとしていることを知って、なんとかそれを阻止したいと動いていたらしい。
私を嫌って鬱陶しいと思っていたはずなのにどうして?と最初は信じられなかったわね。
それにしても第一王子夫妻が白い結婚だったとは正直驚いた。
子供ができないことで、妃殿下はさぞかし辛い思いをしているのではないかと巷で噂されていたが、そもそも子供ができるはずがなかったのだ。
それほど妃殿下が嫌だったのなら、王位を弟に譲って臣下に下り、好きな女性と結婚すれば良かったのに。もちろん私以外の方とお願いしたいが。
王族が政略結婚の義務も果たさないなんて、そこでアウトでしょ。
しかも自分が原因で妻に落ち度がないのに、三年経っても後継者を産めなかったことを理由に離縁した挙げ句に、冤罪で陥れようとするなんて卑劣極まりない。
読んで下さってありがとうございました!




