☆3
森の入口近くの茂みから、
突然うさぎが飛び出してきたので、
どすん。
驚いた黒猫はしりもちを着いた。
うさぎの手につかまって立ち上がると、
「そんなにあわててどうしたの?」
黒猫がうさぎにたずねる。
「うん、ボクね、森の中で、
星のカケラを見つけたんだけど、
どこかでなくしちゃったんだよ」
星のカケラ!
シロミは目を見開き、
二匹の会話に耳を傾ける。
「すごいや、ぼくも探しにきたんだよ」
「えっ、きみもかい?
何色のカケラを探しているの?」
うさぎにきかれた黒猫は、こう答えた。
「えっと、黄色とね、オレンジ色」
あれ……?
さっきは虹色の流れ星のカケラが
あるといいなって言ってなかったっけ?
一瞬シロミは疑問に思ったが、
でもまあ、そうだろう。
さっきの蝶たちと約束したのだから。
そこでうさぎは、あ~あと
長いため息をつくと、
「ボクが探しているのは
赤と緑のカケラなんだ」
と話し始めた。
森でカケラを見つけたとき、
うさぎは大いに喜んだという。
自分の赤い瞳と、友だちのキツネくんの
緑の瞳と同じ色をしていたからだ。
しかも今日はキツネくんの誕生日。
赤は自分用に、そして緑はキツネくんの
プレゼントにしようと思ったという。
なのにどこかでなくしてしまった……。
うさぎのまっかな瞳からは、
今にも涙がこぼれ落ちそうだった。
シロミはうさぎが気の毒に思えてきた。
すると……。
「だいじょうぶ、きっと見つかるよ。
ぼくもいっしょに探してあげる」
黒猫が笑顔で励ました。
「えっ、ほんとうに?」
思わず言葉にしたうさぎと、
同じようにシロミも驚いた。
「ぼくもこれから森に行くから、
見つけたら届けてあげるよ」
「ありがとう!」
うれしそうに飛びはねるうさぎに
見送られ、黒猫は森の中へ入って行く。
その後ろ姿を見ながら……。
なんてお人好しなのだろう。
大丈夫なのかしら?
シロミは黒猫のことが
だんだん心配になってきた。