☆1
虹色の流れ星。
そのカケラを見つけると
ひとつだけ願いがかなうという。
その日は年に一度の流星群。
白猫のシロミは、夜空を駆ける
たくさんの星をながめながら、
わくわくする気持ちを
おさえられずにいた。
早く明日にならないかしら……。
次の日の、まだ小鳥たちも
眠りについている夜明け前。
がばっ。
シロミはベッドから跳ね起きると、
お気に入りのポシェットを肩からかけ、
湖の近くにある森へと向かった。
真っ暗でうっそうとした森の中。
ときおり闇にまぎれて、
フクロウの鳴き声が聞こえてくる。
それでもだんだん空が
白み始めてきたので、シロミは急いで
仕事にとりかかることにした。
黄色にオレンジ、赤と緑、青と水色、
全部で六色。
ポシェットから
星のカケラを六つ取り出すと、
なるべく目につきやすい場所を
選んでばらまいた。
うふふ。
早く誰かが見つけに来ないかな。
シロミは茂みに隠れて、
様子をうかがうことにした。
しばらくすると、夜明けとともに
二羽の小鳥が飛んできた。
青と水色、それぞれ羽を羽ばたかせ、
森の中を飛び回る。
きっと流れ星のカケラを
探しに来たんだわ。
ドキドキしながら目で追うも、
小鳥たちはいっこうにカケラを
見つけられないでいた。
もう、しょうがないわねえ……。
シロミはシビレを切らすと、
地面に転がっていた青と水色、
二つのカケラを手に取り、
小鳥たちの視界に入りやすいよう、
適当な高さの枝にそおっと乗せた。
ふーっ。
まあ、そのうち見つけるでしょ。
シロミが茂みの中に再び
隠れようとしたそのとき。
森の入口近くで、二匹の蝶々が
楽しげに舞い踊っているのが見えた。
「やあ、本当にあったよ!」
黄色の蝶がうれしそうに言うと、
「私たちとおそろいの色だわ!」
オレンジの蝶がはしゃぎだす。
あそこに置いたのは、
黄色とオレンジのカケラだ。
足の間でカケラを抱え込むと、
二匹の蝶々は森を出ていった。
このあとカケラをどうするのだろう?
気になったシロミは、
蝶々たちについていくことにした。