(5)辺り一面が草で草
「なんじゃここぉぉぉぉぉ!!」
草、草、草、どこをみても草が生えている。
もちろんこの状況は草生えるなんて喜ぶ場合ではないけど。
俺は見知らぬ草原のど真ん中に寝転がっていた。
「ヴォイテク!一体これは?」
「わからん!カメラはさっきの磁気でイカれちまった!何が起きたか確認できねえ」
スマホの画面はまだ乱れたままだ。
「修復はできるか?」
「3分あればなんとかできるだろう」
周囲には人は誰もいなかった。
俺とヴォイテクとVTWの本体以外は何もない。
しばらく経ってスマホが復活したので電源を入れてみた。
が、電波が入ってこない。
自分が今どこにいるのか知りたかったがこれでは困った。
「カメラ直ったぞ。VTWの電源いれてみるか」
ヴォイテクがVTW本体の電源スイッチを押した。
強制切断したお陰でダメージは受けなかったらしく正常に起動した。
「あれ?おかしいな電波がどこにも飛んでないぞ?」
ここは通信圏外なのか。
「仕方ないから勇輝のスマホとは直接電波で通信しよう」
ヴォイテクは俺のスマホとVTWを接続させた。
「さて、周囲の状況を確認しとかねえとな」
「確認するって言ったってどうするんだよ」
ヴォイテクはVTWの裏にあるスイッチを押した。
するとVTWが変形してあっという間にドローンに変化した。
「VTWは万が一の時のために自律飛行が可能なドローンシステムを持ってるんだ」
万が一ってどういう状況想定してたんだろう。
俺はポカンと口を開いた。
元の大きさがそこそこ大きいから変形後のドローンはかなり大型だ。
「もちろん操縦できるし、やろうと思えば勇輝を運ぶ事だってできるぜ」
それだけの電力をどこから供給してるのか不思議な気もしたが、おそらく超高性能なバッテリーでも積んであるのだろう。
まぁ面倒だし触れないけど。
「操縦は勇輝のスマホでやろうか」
スマホの画面には様々な操縦方法が表示されていた。
単純なものや、本格的で複雑なコントロールのものまでたくさんある。
俺は単純なジョイスティックのコントローラーを選択した。
操縦は意外と簡単でゲームさながらである。
俺はVTWを高度50mくらいまで上げると周囲の探索を開始した。
特には何も見当たらない。
しばらく探索していると、大きな黒い塊が落ちているのを発見した。
「勇輝、ズームしてくれ」
俺は黒い物体に近づきながらカメラをズームアップさせた。
「これ、横浜の銅像じゃねえか?」
「間違いないな。完全に特徴が一致している」
「これどうする?」
「ちょっと操作代わるぜ」
ヴォイテクがドローン操作を代った。
『マークを投下するぞ』
VTWが煙幕を投下した。
銅像の付近に赤色の煙が立ち上った。
俺たちは煙の元へ急いだ。
「うわぁ、こんなのどうやって持ってきたんだよ」
「引きずったあった跡も落とした跡もないな。一体どうやって…」
しばらく俺たちは銅像の周囲を探索していた。
すると地響きが聞こえてきた。
「おい、また地震か?」
「いや違うな。何かがこっちにきてる」
「何かって何だよ」
ヴォイテクが再びVTWを上げた。
『なんだこりゃ!?き、騎馬の集団だ!数は30以上!』
地響きは段々大きくなる。
「なあ、それって…」
嫌な予感がした。
少なくともまともな何かではない。
『ああ、逃げるぞ!』
俺たちは一目散に逃げ出した。
銅像を回収しにきた犯罪集団かもしれない。
俺たちは適当な草むらに身を隠した。
こんばんはくまくまです
いよいよ2章に入ります
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10月12日(火)の23時に次回投稿を予定しています
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