(43)コッチクンナ
午後の授業は剣術から始まった。
俺たちの学校で言うと体育館に当たる場所に剣術場があった。
まあその構造がそっくりなこと。
まぁ今は気にしないけど。
レイセン魔法魔術学校はレイセンの士官学校の様な役割も兼ねているため、剣術は平民だろうと貴族だろうと必修科目なんだそうだ。
剣と魔法の世界の常識ってやつだろう。
「バロンは剣は持っているのか?」
モンドが自分の剣を見せながら尋ねた。
「え?学校から貸与とかじゃないの?」
「いや、自分で持ってくるんだ。将来任官する時に兵隊と同じ剣じゃ、みっともないしな」
確かにこの国の士官はそれぞれ違う剣を持っていた。
どれもキラキラした装飾が施されていて高そうだったのを覚えている。
「剣か…君たちが持ってる様な立派な物はないかなあ」
「なら俺のを貸そうか?」
ランスが剣をこっちに差し出した時だ。
アイツが再び絡んできたのだ。
「やあバロン君。剣ならボクがいいものを君にあげよう」
「んー?ああ、さっきのキューブ公爵か。別にいいよ」
「いや、キューブじゃねえよ(笑)」
定型文の様なツッコミが空中から入る。
今はドローン飛ばしてるんだな。
「貴族の練習場は向こうなんだ。平民と貴族が一緒にいる事はない。それが身分社会だ」
「お前さん何言ってるんだ?」
「なっ!貴様!サイラス様に向かって何を…」
サイラスの後ろにいた従者生徒が叫ぶ。
狐は黙っとけよ。
「貴族平民って言うが、それが一緒にいて何が悪いんだよ?身分云々の前に俺らは同じ学校の学生だろうが」
「何を生意気な!サイラス様の父上様は公爵様だぞ!貴様の様な男爵家など簡単に潰せるんだ!」
見ればみんなが青ざめた顔でこちらを見ている。
ランス達は血の気が滝の様に引いている感じだ。
「バロン君はずいぶんと自分に自信があるようだ。ここは一つお手合わせ願おうかな」
は、何言ってんだコイツ。
「なんでそうなんだよ」
「おっと逃げるのは紳士としてどうなんだい?」
だからどうしてそういう結論に至るんだって。
紳士も何も喧嘩売ってるだけじゃねえか。
冷める俺とは逆に公爵家の息子自らの決闘申し立てに場は盛り上がり始めた。
「俺もバロンの剣術見てみたくはあるかな」
モンド、お前までそうなるとは見損なったぞ。
「しょうがねえな…剣はなんだっていいんだろ?」
俺はKATANA2世を取り出した。
「おい勇輝。ここは適当にやって目立たぬ様にした方がいいぞ」
ヴォイテクが後ろから囁く。
「んなこと言ったってなぁ、貴族が貴族でいられる理由はなんだと思うよ?そう、平民がいるからだ。それがいなければ貴族なんて存在し得ないだろ。平民をバカにする貴族など公爵だろうがなんだろうがクズだよ。俺はクズと関わる気はないぜ?」
やたらと言葉がペラペラ出てくる。
ああいうのを見てるとどうも癪に触って仕方ない。
「あいつがウザい野郎ってのは否定しねえよ。でもこの状況がまずい」
「ん、分かってる。あえてここは無双しない方がいいって事だろ」
「そういうことだ。具体的には…」
俺はヴォイテクに作戦を仕込まれ、手合わせに臨んだ。
こんばんは
ひぐまです
投稿遅くなり申し訳ないです
次回は1月15日(土)の23時に投稿予定です。




