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(42)天才ロジカルウィッチ

昼休みになり、やる事もなく教室でランス達と暇を潰していると教室に誰か入って来た。


茶髪で背が小さく魔導師のような服装だ。


「あんな子学校にいたか?」


「めちゃくちゃ可愛いじゃねえか」


おいおい、ランスもモンドも口が半開きじゃねぇか(笑)。


思わずそうツッコミそうになったが、やめておいた。




「ユウキ、いる?」


え、ユウキって俺?流石に別の誰かだよね。


「いや、お前だな」


ヴォイテクが言った。


「なんで俺だってわかんだよ?あとなんで心の声聞こえてんだよ」


「この学校の生徒のデータはすでに全部取ったよ。ここのクラスにユウキはアンタだけだ。あと勇輝の言いたそうなことは全部顔に出てるんだよ」


俺たち昨日来たばかりだってのになんでもうデータ全部取ってんだコイツは。


ヴォイテク恐るべし。


というか現世であれば間違いなくその首と胴体は繋がってないな。


「ユウキ、お久しぶりね」


一体この人は誰か、知っているような気もして試行を巡らす。


「ん?あ、シェラさん?」


その通り。


ここしばらくこの人の存在を完全に忘れていた。


俺をこの世界に呼ぶ召喚術を行使した本人。


そういえば帰還魔法の研究を進めていくって言ってたっけ。


「良かった。覚えててくれたのね。私はここの研究科に所属しているの。あなたが先日入学したという話を聞いて来たんだけど、最近調子はどう?まさか勇者であるあなたがここに来るとは思わなかったけれど、何か考えがあっての事なのね」


ほへー、一応研究はやっていてくれたのか。


俺たちはこの世界の人には頼れないと悟って魔術の勉強を1からやって帰還魔法を会得するつもりでいたのだが。


「まぁ友達もできたし、上手くやってけそうです。ここに入ったのは、自分はまだまだ魔法には無知で、もっと基礎から学ばなきゃって思ったからなんだ」


「勇者って言ったら、他の国では大抵戦争もない時は冒険者になって迷宮攻略くらいしかやらないわ。あなたは少し真面目すぎるかもね」


え、また戦争始まったらまた戦車乗って敵を殺しに行くのかよ。


俺は日本に帰る為なら何人殺そうと構わないとか、全てに絶望してこの世なんかどうにでもなっていいとか、そういうテンプレートは一切考えてないんだけどな。


出来れば人殺しはもう勘弁だ。


「迷宮攻略も魔法の基礎知識あってのものだし、ここで勉強する方が自分には合ってるかなって」


「そう。そんなあなたに一ついい知らせがあるわ。帰還魔法を含む転移系魔術についての特別講義が今度開かれるの。外国の魔術師も招いて様々な論文の発表があるんだけど、研究科以外の学生は基本参加できないの。でもユウキには是非聞いてもらいたいと思って枠を一つ確保しておいたわ。よかったらどう?」


転移系魔術の特別講義…?


そこで発表される論文の中に帰還魔法へのヒントが有れば、日本に帰れる可能性は上がるかもしれない。


「もちろん参加できるならさせて欲しいかな。くまのぬいぐるみ1匹も追加できればなお嬉しいけど」


「ええ、大丈夫よ。それじゃ、また今度ね」


シェラは教室から出る時に小さく手をこちらに振って戻っていった。


「ヴォイテク、やることは分かってるな?」


「ああ、その講義とやらのデータ。全部収録させてもらおう。データさえあれば研究も独自にできるからな」


そういう事だ。




「あの子まじで可愛かったな」


「バロン、羨ましすぎるぜ」


ランスとモンドは隣でずっとぽかんと会話の様子を見ていた。


なんだお前らまだ口が開いてるじゃねえかよ。


「俺あの子にちょっと告って来ようかな?可愛い女の子を口説くのはこのランス様のお得意技だからな」


「いや、ランスお前には無理だ。むしろこの恋愛のプロフェッショナルことモンド様があの子に告白してだな…」


というか完全に妄想が暴走してるなこれ。


そんな彼らをほっといて俺は次の授業へと向かった。

こんばんは

ひぐまです

次回は2022年1月13日の23時に投稿する予定です

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