あの地にて
草、草。
見渡す限りに広がる草。
ここは確か…俺たちが召喚された場所。
そして召喚されてまもなく勇者として戦闘し、無双した場所。
あの時要塞を作るために持った土は転がる敵兵たちの屍の上に被せた。
はずじゃなかったっけ?
なんでもとの要塞の形になってるわけ?
ふと気づくと、目の前で鬨の声が上がっていた。
どうなってんの一体。
一瞬だけ混乱したがやがて自分の体が動かないことに気付いた。
え?なんで?
というかなんで俺は大声を上げる敵兵を見下ろしてるわけ?
周囲を見回すとようやく状況が掴めてきた。
あ、俺捕まってるのか。
動けないのは縄で縛られているからで、敵兵を見下ろしているのは俺が吊るし上げられているからだ。
え?どうしてこうなった?
「ヴォイテク!ヴォイテクはどこだ!?」
返事がない。
「おーい、ヴォイテク!」
『…キ!聞こ…か?』
「ん?」
『勇輝!聞こえるか!?』
あ、ワイヤレスイヤホンか。
いつの間に着いていたのか。
俺が着けた覚えは無いんだけど。
「あ、ヴォイテク?聞こえるぞ。いまどこにいるんだ?」
『お前から見て10時方向250mの位置にいるぞ。見えるか?』
俺は左斜め上に視線を向ける。
微かに黒い点が見えた。
どうでもいいが俺は近眼なのだ。
「見えた!で、なんでこんな状況になってるんだ?」
『なんだ覚えてねえのか。別動隊の侵入を許しちゃって回路がめちゃめちゃにされたんだよ。気付くのが遅れてあっという間に白兵戦。さすがに高威力のM29とはいえリボルバー拳銃じゃ数百人とはやり合えねえよ』
で、ボコられて縛られたって事ですね。
理解した。
「目ぇ覚ましたかガキ?」
ちょっと偉そうな人が棍棒を持って俺の眼下に現れた。
「散々妙な兵器使ってたみてえだが、別動隊の動きを見損なったのが貴様の運の尽きだ。安心しろ?すぐには死なせねえからよ」
ちょっと偉そうな人はニヤニヤと笑って棍棒をブンブンと振り回した。
周りを見れば兵士達もみなニヤっとしている
「なぁヴォイテク」
「ん?間違いなくこの後お前は集団リンチだな」
分かってるならなんとかしろよ。
「10式とか機動戦闘車とかねえのか?」
「あるにはあるが、管制装置が壊されてるんだ。無人の戦車を管制装置無しで動かすのは無理だよ」
管制装置に目を向けると火花を散らしながら煙を上げていた。
状況は絶望的としか言いようがない。
だいたいテンプレではなんかの奇跡が起きるものだが、これは起きる気配もなかった。
俺は壊れた管制装置を見ながらため息をつく。
どうでもいいけど火花ってきれいだな。
なんかこう、ロマンを感じる。
そうロマン…ロマン…
それだ!
この窮地を脱する(?)方法、男のロマン。
「ヴォイテク、コマンド使えるか?」
「なんだよ急に」
「いいからやってくれ!」
俺はヴォイテクを急かした。
『⌘connect subserver』
行けるか…?
『connected subserver』
よし、繋がった。
メイン管制装置は壊れているが、サブ機は使えるようだ。
『⌘control base underground』
地下の設備が使えるかを試す。
『connecting control…
success.
trying to manage underground control…
success.』
地下設備も使用可能だ。
『⌘controlpanel base underground 001 ~ 100 turn on』
『pane accessing…
success.
turn on No.001~No.100 』
これぞ男のロマン!
名付けて…自爆装置だ!
カッッッ!
次の瞬間眩い光と共に要塞は火焔に包まれ全てを吹き飛ばした。
と、いう夢を見た。
こんばんは
ひぐまです
新章開始は年が明けてからにしたいと思います
今後とも宜しくお願いします




