(34)しょうがねぇなぁ、解放してやるか
「さて、帰ろうか」
俺はくるりと向きを変えて歩き出した。
「「帰るのかよっっっっ!」」
お決まりのように盛大なツッコミが入る。
「いやだってソイツ絶対やべーだろ。こんな深い迷宮に鎖で封じられるとかただ物じゃねえぞ?」
「あ、たしかに。帰ろうか」
ヴォイテクもくるりと向きを変える。
正確にはドローンモードのVTWが動いているのだが。
「ど…どうして?お願い…助けてくれ…!」
「うーんこれはどう見ても解放してはイケないやつだぞ」
「なんでもするから…お願い…」
「ん?今なんでもするって言ったよね?」
もちろん卑猥なことなど考えてはいないが。
先ほど得たスキルの特殊眼により彼女の能力は分析済みだ。
体力 461
攻撃力 3619
防御力 6838
魔力 4613(919)
素早さ 3725
腕力 203
間違いなく化け物である。
こんなものが迷宮という閉鎖空間で暴れれば一体どうなることか。
「友人とか知り合いとかそういうのならともかくだな、俺たちはあんたの素性を知らない。そんな化け物級の能力をもつ奴をホイホイ信用出来るわけもないだろう」
まぁ間違いなくこれは正論だ。
基本的に封印というものはなにかヤバい理由があってするものである。
それを解くというのは危険極まりない行為なのだ。
「私は…亜神シトラス…800年くらい前に…主神に騙されて…ここに封印された」
水晶に埋まっている状態でどうやって発声できているのかは不思議だが、彼女は微かに口を動かしていた。
「なぁヴォイテク、いまあいつ亜神て言ったか」
「言ったな」
「どう思うよ?」
「どうって…大体勇輝の考えてることは理解したが」
さすが話の早いヴォイテクだ。
亜神ともなればかなりの魔術が期待できるかも知れないのだ。
「よし、封印解くか」
切り替えはす早くだ。
俺は一本ずつ鎖を断ち切っていく。
ヌッッッッッ!ガラガラガラガラ!
「勇輝…なんていうか…その…雑すぎないか?」
「雑ってなにが?俺はただKATANA2世を振り回しているだけだが」
俺は次々と鎖をヌッッッッと切って回り、周囲に鎖の残骸を撒き散らして最後の鎖にKATANA2世を向けた。
もはや鎖1本にぶら下がる水晶。
当然のように容赦なく俺は鎖をぶった斬る。
「キャアアアアア!」
ガシャーーーーン!
辺りに鎖の欠片をぶち撒けながら水晶が落下する。
「ちょっと!お主水晶までスパスパと切る気ではあるまいな?!」
「さすがにそんなことはしねえよ」
俺はバカでかいハンマーを生成する。
100tと書かれているが本当の重量は分からない。
分からないので100tハンマーとしよう。
「安心しろ。今から水晶を粉砕してやるから」
「粉砕!?切るよりだめじゃろおおおおお」
シトラスの絶叫をかき消すかの如く俺は100tハンマーを振り下ろす。
すごい衝撃と共にハンマーは水晶にぶち当たった。
ビキビキと水晶にヒビが入っていく。
「あれま?思ったより堅いじゃないの」
俺はハンマーに魔力を込めていく。
魔力が強まれば強まるほどヒビはどんどん大きくなっていった。
シトラスはもは声も出ないようである。
「全然砕けねぇ…しょうがねえなぁ。全力出してやるか」
俺は瞬間的に魔力の最大量をハンマーに注ぎ込む。
バキイイイイイン!!
ついに水晶は壊れた。
と同時にハンマーの方も魔力に耐えきれず金属片へと化した。
周囲の様子はボロボロである。
水晶の破片や金属が壁に突き刺さり、封印の模様のようなものは粉々に砕けていた。
「お主のおかげで助かったぞ…が、よくも亜神である私に恐怖を味合わせたの…」
「あ…」
シトラスからものすごい魔力のオーラが出る。
その場からとっとと逃げようと思ったその時。
「楽しかったのじゃ!」
「…は?」
「800年もここに封じられて何もない日々を送ってきた…。だから誰かに見つけてもらえて、そして助けてもらえて…嬉しかったのじゃ!この恩は一生忘れぬ!」
「あーそうですか。じゃあ一つお願いがあるんですけど…」
「なんでも聞いてやるのじゃ」
俺はシトラスの方に向き直る。
「俺たちを元の世界に帰して欲しいんだ」
「元の世界…?」
「あ、だめだ通じてない」
俺とヴォイテクはかくかくしかじかをシトラスに説明した。
が、シトラスの飲み込みの悪いこと。
何を言ってもそれは何?どういうこと?で返される。
俺たちはその説明にモニターまで用意して2時間以上の時間を費やした。
こんばんは
ひぐまです
先日おやすみしてすいません




