(33)あ、どうも失礼しました
さて、ボスを討伐して見事?ワイト迷宮攻略を成功させた俺たちは意気揚々と帰路につこうとした。
足を1歩踏み出したその時である。
「だれ…か…」
微かに女の声が迷宮内に響いた。
これは流石にさすがに一瞬ビビる。
心臓に悪いネタはNGでっせヴォイテクさん。
「おいおい、お化け屋敷の再現音声流してどうすんだよ」
俺は笑いながらヴォイテクに言った。
「流すわけねえだろバカ」
ヴォイテク即答。
なん…だと?
熊がなにもしてないとすれば…。
「まさか本物の亡霊!?い、いやだああああああ!!」
そう叫んで逃げ出したのは…
ランドルだった。
「あいつどっか行っちゃったよ」
「迷信深い国なのかなここ」
ランドルは一瞬で見えなくなってしまった。
おそらく新スキルの速度上昇でも使ったんだろうか。
ある意味適切な方法だね。
「で、分析結果は?」
この間にもヴォイテクはVTWを使って音の分析を行なっていた。
「人間の声に96%一致した。誰かいるのは間違いないな」
音の発生元はさっき破壊した壁の向こうだった。
俺は壁の前に立った。
「ん?この壁の向こうに空間があるのか?ヴォイテク、エコーいけるか?」
そう言って俺はスマートグラスを装着した。
「音波探査な?ま〜かして」
ヴォイテクは超音波を使って壁の向こうの空間の大きさを弾き出した。
メガネに分析結果が表示される。
「んーと広さは駅前の牛丼屋と同じらいかな?」
「学校の教室くらいとかもっと分かりやすい例えは無かったのかよ」
ツッコミが素晴らしい。
日本に帰ったら、いや帰れなくてもこの国でいいから漫才師やってみようかな。
多分売れる。
で、まぁ壁はだいぶ分厚かった。
C4爆薬を設置して即爆破。
ちなみにツッコミからの時間は約5秒だ。
正直さっさと帰りたいのでこの際迷宮ぶっ壊す分にはもう気にしなくていいや。
とっとと俺はポッカリ空いた穴の中に入っていく。
「もう少しくらい漫才やったっていいじゃねえかよぉ、置いて行くなって…!」
ヴォイテクまださっきのネタの余韻に浸ってたんですかい?
目の前にあったのは鎖。
あらゆるところに鎖。
数えきれないような大小の鎖の中央に水晶のようなものがあり、その中をよく見ると人がいる。
美しい、だが不気味な光景だ。
「これが声の主でいいのか?」
「らしいな」
俺たちはしばらくそこで黙っていた。
「おねがい…たすけて…」
また微かな声が響く。
見れば蒼髪の少女が水晶の中に埋まっていた。
うーんどうしよう。
「さて、帰ろうか」
俺はくるりと向きを変えて歩き出した。
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ひぐまです
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次回は12月16日(木)の23時に投稿予定です




