(1)怪しいネットの広告にはご注意を
ピンポーン
家のインターホンが鳴った。
ドタバタと玄関に駆け足で向かう。
待ちに待った荷物がようやく届いたらしい。
この間ネットを見ていたら見つけた人工知能システム。
その名も「Vortex the world」。
わずか12000円で売られていたので、怪しいと思いつつ購入してみたのだ。
そして箱を開けた時、俺の人生は大きく動いたのだった。
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俺の名前は旅野勇輝。
横浜、といってもだいぶ南の方にある高校に通う17歳。
まあそこらへんにいるような普通の高校生、と自分では思っている。
いわゆるモブってやつだ。
別に他人が自分をどう思うかは勝手だけど。
俺には何か特別な才能があるわけではない。
体格も運動も学力もゲームの腕も人並みか、わずかに上回る程度だ。
嘘、学力だけは、特に数学だけは全くできなかったが。
一応俺は理系なんだけども…(笑)。
そんなわけで、なんの変哲もない生活をしていたのだが、やはり飽きてきた。
変哲もなさすぎる生活はどうも合わないらしい。
そこで俺は何か新しい、面白いものを求めてネットを漁り始めた。
そうしているうちに俺は情報工学や機械工学などのハイテクノロジーが気になった。
特にAI、人工知能は面白く、とても興味を惹かれた。
世の中には既に大量のAIが導入されているが、自分で買うとなるととてつもない額になる。
かと言って自分で作り出すこともできないので俺はただただスマホの画面を眺めることしかできなかった。
そんな時に見つけたのが「Vortex the world」である。
AIについて検索しまくっていた俺のスマホにはAIの広告がしょっちゅう表示されるようになった。
ブラウザの横に出てくる広告も、動画の間に出てくる広告も、アプリを使う時に出てくる広告もみんなAIについての広告だ。
まぁ中華製ゲームの広告見るよりは全然楽しいからいいんだけども。
その中に「世界をかき回せ!英雄になれ!」といういかにもクサそうな広告があった。
そしてそのカタログページに飛ばされたのだが、値段の割に高い性能なのでもし本物ならと思い購入した。
ネット通販は色々とトラブルが多いものだが、果たして商品は届いた。
早速箱を開封する。
カッターを使うと中のものを傷つける可能性があるので、テープは手で剥がした。
中に入っていたのは奇妙な形をした金属筐体の置き物のようなものと、熊のぬいぐるみだった。
置き物の方はなんだか不思議な形をしている。
言葉で表すなら羽を広げたセミといった感じだ。
大きさは肩幅ぐらいで真ん中に電源ボタンがあった。
俺はそれを持ち上げてみた。
「うおっ!?」
思ったよりずっしりして重い。
少しだけ緊張しながら俺は電源ボタンを押した。
『Voltex the worldを起動します。』
ドキドキワクワク…。
機械音が部屋に響く。
「お前が旅野勇輝だな?ようやく見つけたぞ」
「…ん?…はへ?」
꧁༺続く༻꧂
こんばんは
ひぐまです
読んでいただきありがとうございます
投稿頻度ですが今のところ毎週2〜3回のペースで投稿していく予定です。
次回は10月7日(木)23:00投稿のつもりです
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