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(21)勇者は死神

ロザンヌ平原での戦闘は一段落し、いよいよ山脈を超えてタリネ地域奪回を目指す。


「そろそろ移動するが、その前にやっとくことがある」


俺は魔法を使って要塞の盛り土を崩して死体が転がる平原に被せた。


そしてその中央に石柱を埋め込むとその石柱に文字を彫った。


【無名戦士の墓】


そしてその碑の前に花束を捧げて手を合わせた。


ヴォイテクも同様に手を合わせる。


「ユウキ?どうしてわざわざそんなことを?そいつら敵でしょ?」


ミューリーは俺たちの行動に疑問があるらしい。


「敵味方問わず、戦い散った者への敬意を払う。それが俺たちの国の礼儀なんだ」


「へえ…」


今の日本にこんな礼儀があるのかは微妙だが…。


ミューリーはしばらく黙っていた。


そして彼女も静かに石碑に向かって祈りを捧げる。




「さて、行くか」


俺は例によってオートバイを用意する。


うん、かっこいい。


「これはなに?」


「オートバイという乗り物だよ」


ミューリーの問いにヴォイテクがさくっと答える。


多分理解して貰えてないけどね。


「いやーセローはカッコいいよなぁ。もうなんて言うかロマンの塊だよな」


「え?」


セロー250を見かけると必ず発動するセロー愛がミューリーを誤解させたのは秘密の話である。




さて、時はやや進みタリネ地域。


町からやや離れたところにハノーバー陣地が築かれていた。


そこではロザンヌの戦いで散々な目に合ったハノーバー連合王国軍が部隊の立て直しと補給を急いでいた。


「やはりこれだけ被害を受けた以上積極的な進撃は難しいかと思われますが…」


「ここまで来て引き下がるわけにもいかんのだ」


陣地の中央にある天幕内でロックとガルフスが話し合いを重ねている。


「あの異常な武器は一体なんなのか?あんなものが開発されたと言う話はないし…レイセンの連中はなにをしたのやら…」


「魔王が使うという爆轟魔法の類にも見受けられましたが…」


「だがあのとてつもない数だ。その割に多くの人がいる気配は感じない。というか、最後に向かってきたあの走る箱に乗っていた1人しかいなかったような感じがする…」


「ええ、この世の者とは思えない力です」


「この世の者で…ない。…!」


ロックの眉がピクリと動く


「司令?どうされましたか?」


「そうだ!この世の者でないに違いない。きっとあの者は異世界から召喚された者なのだ!」


「そ、そんな!ありえるわけが…」


ガルフスは思い出した。


レイセンに送った偵察隊より召喚術の研究の話が報告されていたのだ。


「しかし、既に成功していたとは…」


「私としてはどうにかしてあの者をこちらに引き込みたいがね」


レイセンの主力部隊を壊滅させたハノーバー軍を僅か3日で叩き潰した異世界の勇者。


そのような者が加わればレイセンどころか帝国とも対等に渡り合えるに違いない。


そんなことを考えてニヤつくロックの元に緊急の知らせが入る。


「司令!奴です!奴が現れました!」


「な…?」


敵に回せば勇者は死神なのだ。

こんばんは

ひぐまです

次回は11月15日の23時に投稿予定です

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