(18)戦争という名のゲーム
翌朝、ハノーバー連合王国軍は堂々と隊列を整えて要塞に進撃した。
「ほ〜ご立派なもんだねえ〜」
立ち並ぶ旗。
整然と列を成す騎馬隊。
そしてその後ろに並ぶ圧倒的な数の歩兵。
これが戦争の景色か…。
「何呑気な言ってんだよ。MLRS攻撃用意!」
ヴォイテクが俺を現実に引き戻す。
元々このレイセンにはなんの縁もゆかりも義理もない。
人殺しなんてなおさらやりたいとは思わない。
だが、少なくとも今俺たちが生きていくためにはこの国のために戦わなければならないのだ。
俺たちは生きて日本に戻るため、戦う。
「攻撃初め!」
無数のロケットが敵目がけて飛んでいく。
ロケットの内部には小型の爆薬が大量に仕込んであり、着弾と同時に辺りに撒き散らす。
その圧倒的な面の攻撃にある者は全身を吹き飛ばされ、ある者は四肢がバラバラになった。
昨日にも増して惨劇が繰り広げられる。
「榴弾砲撃ち方初め!」
間髪を入れずに今度は砲弾の雨が降り注ぐ。
俺たちの攻撃は容赦ない。
もちろんこれも着弾と同時に炸裂、断片や土石を周囲にものすごい威力で飛ばす。
中世頃並みの甲冑がこれを防げるはずがない。
兵士も馬も次々に体に穴を開けられていく。
めちゃくちゃに隊列を崩されたハノーバー軍は立て直しのため一度退却をする事を選択した。
第1陣のガルフス隊長により、強力な面の火力を持つMLRSの攻撃は1度喰らえば再度攻撃の無いことが報告されていた。
これは、機械の大量制御を行う勇輝がMLRSの自動装填まで手が回らなかった事が原因だ。
これにより間髪を容れず第2次攻撃に移れば人海戦術で突破が期待できると司令官のロックは判断したのだ。
第1次攻撃の死傷者約7000人。
日が南に達した頃、第2次攻撃が開始された。
今度は馬も歩兵も全力の突撃である。
ハノーバー軍の予想通り勇輝達はMLRSを撃ち尽くしていたので、飛んでくるのは榴弾砲の砲弾だ。
各所に被害を受けつつも軍勢は要塞に数百メートルまで迫る。
「進めッ!進めーッ!」
「うおおおおおおおお!」
騎馬隊と歩兵が混じった巨大集団は雄叫びを上げて突っ込んでくる。
「いよいよだな。ヴォイテク」
敵はこれまでとは比較にならないほどの勢いで突っ込んでくる。
だが、それに対応するための火器を俺たちは用意した。
「CIWS撃ち方初め!」
要塞には10基の高性能20mm機関砲を新たに配置してある。
毎分数千発の圧倒的なパワー。
数万人の数の暴力には数の暴力で対抗だ。
「ぎゃあああああああっっっ」
20mmという大きさもあり、さらにその弾一つ一つが炸裂する事もあり、敵兵は瞬時に後方に血飛沫をあげながらぶっ飛んでいく。
というか体の原型も留めていない者がほとんどだ。
後ろからはどんどん味方が押し寄せ、前に進む事も出来ずハノーバー軍はどんどん大きな塊となっていく。
そこに容赦なく20mmの弾丸が止まることなく突き刺さり炸裂していった。
こうなるともはや戦闘ではなく殺戮だ。
運良く生き残った兵は方々の体で陣地に戻る。
第2次攻撃の死傷者40000人。
その夜、ハノーバー陣地。
「8万の我が軍勢は既に半分以上が斃れている…一体どうすれば…」
ガルフスとロックは話し合う。
すでにハノーバー軍はフルボッコにされてはいるもののここで引き下がるのはプライドが許さないのだ。
「今宵は新月。あるいは夜襲なら突破できる可能性も…」
「よし、奴らに一矢報いてくれよう」
ロックは残存兵を3つに分け、波状攻撃を仕掛けた。
が、その動きは赤外線カメラにより勇輝に監視されていた。
「お。やっぱりきたぞ」
「無人ヘリ攻撃初め!」
AH-1のバルカン砲が掃射を浴びせる。
さらにヴォイテクがセンサーによる標準で榴弾砲を撃つ。
敵の夜襲に対し完全に不意打ちとなったこの攻撃は、ハノーバー軍を大混乱に陥れた。
こんばんは
ひぐまです
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次回は11月9日(火)の23時に投稿予定です
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