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(10)おまわりさんコイツが未成年の酒飲みです

彼女たちに連れられて城内に入る。


城の中はかつて自分たちがいた世界(現世とでも呼ぼうか)の写真で見るようなヨーロッパの風景である。


建物の形から人々の服装まで何もかもが古めかしい。


「こりゃすげえ、まるで異世界だな」


そう呟くヴォイテク。


いや、ここガチの異世界な。


しばらく歩くと彼女たちは酒場のようなところへ入っていった。


不思議に思いつつも黙って俺たちは付いていく。


6人がけのテーブル席に座ると女剣士が聞いたことのない飲み物を注文した。


「そう言えば自己紹介がまだだったね。私はメイビス・ブライド。レイセン王国近衛騎士団団長ラマウン・ブライドの娘だよ」


女剣士が最初に名乗った。


え、騎士団長の娘って貴族の中の貴族じゃん?


「私はリリアーナ・ラ・レイセン。この国の第二王女です」


桃色の髪をした美女が名乗る。


王女と聞いて俺は反射的に頭を下げた。


お、おうにょさま?


「気にしなくていいわよ。これからは知り合いなんですから」


「よ、よろしくお願いします」


見事にコミュ障が発動する。


見知らぬ女性と話すのはやはり慣れない。


「私はシェラ・アレン。もう知ってると思うけど召喚術師。今回のあなたたちの召喚は基本的には私が責任を持つ」


銀髪の魔導師が言った。


よろしくとまたボソボソ口に出す。


緊張度はすでにカンスト状態だ。


「あたいはミューリー・ロゥ・ドーヴだよ。見ての通り銀翼種の亜人だよ。よろしくねっ!」


白い羽の翼人が明るい口調で話す。


見た感じ女子のグループに1人はいる盛り上げ役みたいな人だ。


もっと白銀の翼の方が目立って気になるのだが。


「俺は旅野勇輝。17歳の高校生だ」


幼稚園生並みの自己紹介しかできないのが歯痒かった。


「俺はヴォイテク。日本が産んだ世界最高の人工知能だ。よろしく頼む」


ヴォイテクは全く緊張のそぶりも無く挨拶をする。


そもそも機械が緊張するわけないけど何故か羨ましく思えた。




一通り自己紹介が済むと飲み物が運ばれてきた。


「今日は私が奢るよ。気楽に飲んでくれ!」


メイビスが宴会の盛り上げ役のように言う。


「ん?飲んでくれって…まさか、」


一口俺はコップに唇をつけた。


シュワッとした炭酸の感じとともに飲み慣れない味がした。


ガッツリアルコールの入った酒である。


「どうしたのユウキ?」


ミューリーがグイッとジョッキ(ガラスではなく何かの焼き物のような材質だ)を飲み干して聞く。


「日本では20歳になんないとお酒は飲めないんだ」


ちなみにヴォイテクはぬいぐるみなのでそもそも酒は出ていない。


「そんなルールがあるのか?ここじゃあ赤子でも酒は飲めるぜ」


メイビスもなかなかの飲みっぷりである。


周りを見れば未成年であろう人でも平気でグビグビ飲んでいた。


「どうすればいい?」


俺はヴォイテクにこっそり聞く。


「郷に入っては郷に従えって言うし、飲んでもいいんじゃない?」


というわけで俺は今日から酒飲みの仲間入りをしたのだった。


思ったけど貴族様達が酒場で酒盛りなんてしてていいのか?


ま、いいか。




酒が入るとどうも不思議なものでコミュ障のコの字もすっ飛んでしまう。


「ところでシェラさん、勇者として召喚された俺は何をしたらいいんです?」


「シェラでいいよ。簡単に言えば、敵の攻撃を防いでくれればいい」


シェラは地図のようなものを広げた。


そしてこの国の現状について細かく説明を始めた。


「見ての通りレイセンは周囲を他の勢力に囲まれている。今のところロゾとアルトワは魔王軍の対応で忙しいからこっちは大丈夫。問題はハノーバー。この国は数万の軍隊を国境に集めていてもうじき攻めてくると言われている。これの防御に積極的に協力して欲しい」


「ちょっと待った」


ヴォイテクが口を挟んだ。


「俺たちはまだ双方の国の素性を知らない。何も知らずに戦争に関わるのはまずいだろ。ハノーバーってのはどういう国なんだ?」


なるほどもっともである。


現状俺たちはここで出来ることをするしかない。


身柄を保証してもらう以上戦争に協力しろと言われれば拒否権はない。


だがそれぞれの価値観を理解しないで戦争に参加することは避けたいのだ。


「うん、確かにその通りだね」


シェラはレイセンとハノーバーの成り立ちなどについて説明をした。


「レイセンは1000年以上前から国があり、その歴史は神話まで遡る。ハノーバーは元は山賊集団だったが、ここ数十年その勢力を伸ばして周囲の国を滅ぼし今では強大な国となった。彼らは力ずくで目的を達成しようとする。そのためなら手段は選ばない。元が山賊なだけに占領した土地では暴行略奪放火強姦とあらゆる残虐行為をしている。レイセン王国もすでに4分の1を占領された」


その場にいた皆が唇を噛み下を向く。


話を聞いて思ったのだが、現世にも似たような国はある。


レイセン王国の成り立ちはやや日本に似ているだろう。


ハノーバーのような国はかつてのいろんな地域の戦国時代には沢山あったと思われる。


「なるほどな。実は俺たちの国日本にも古い歴史があってね…」


ヴォイテクが話し始める。


「日本も歴史を遡ると神話の話になるんだ。似たような形の国の者として助ける価値はあるんじゃないかな」


「でも、協力するって言っても具体的に何すれば…」


すると行儀よく酒を飲んでいたリリアーナがジョッキをおいた。


「まずは我が父国王に謁見してもらう感じになるかと思います。まだ実感はないと思いますが、あなたは勇者として召喚されてますので。ですがその前に適性職を見つけなくてはね」


あ、やっぱり仕事はしなきゃいけないのね。


「確かに、それではギルドにいこう」


メイビスが賛同した。


ギルドというところは聞くところによると自分の魔力や能力によって適性のある職についたり、仕事をもらったりする場所らしい。


適性職って言っても俺ただの高校生ですけども…。

こんばんはくまくまです

拙い文章ですが読んでいただきありがとうございます

感想や評価、誤字脱字や文法誤りの指摘等いただけると今後の励みや参考になりますのでぜひお願いします

更新ペースやや落ちます

申し訳ないです

10月24日(日)の23時に次回投稿を予定しています

今後ともよろしくお願いします

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