短編2
今日は休日。
外は眩しいほどの快晴。
(こんな日は・・・昼まで寝るしかないねえ)
ぐーぐー・・・
ピンポーン♪ピンポーン♪
ピピピピンポーン♪
(なんだいなんだい!人がいい気持ちで寝てるところで!)
疲れた体を起こし、玄関のドア越しに声をかける。
(訪問販売や宗教の勧誘でないことを祈るが・・・)
「ご近所付き合いのため、挨拶にやってきました」
(お?律儀な人がいたものだな)
ガチャ。ドアを開ける。
「私、布団クリーニングの〇〇と申します!」
(おいいい!訪問販売じゃねえか!)
「いえ結構ですいりません帰ってください」
寝起きで不機嫌なこともあり、早口でまくしたてる。
「でもk」
バタン!
(しつこいわ!)
一気に気分が悪くなる。
最悪な休日だ。
(あああああ忘れよう。寝よう)
再び布団の中に入る。
ぐーぐー・・・
ピン ポ~~ン♫
ピン ポ~~ン♫
(・・・・・・・・・・・・・・)
(おい!ふざけるなよ!誰や!)
再び玄関越しに声をかける。
気持ち、力が入りすぎて大声になってしまったが。
「NHKです」
(・・・・・・・・・・・・・)
(・・・ああ)
「すいません、父が今いないんで・・・」
さっと帰っていった。
(まあ、自分は40代でいい大人だけども・・・まあ、
テレビもないし二つ折り携帯だしカーナビもないから
よしにしよう。PCはあるがね・・・)
(昔、婆さんが「ねずみに小便かけられてTVが壊れた」と
かなり無理な言い訳をしていたことを思い出したわ・・・。
当時小学生だった自分は信じてしまったがね・・・)
ふっとたそがれる休日。
はああ・・・もう大丈夫かな?もう簡便やで。
・・・寝よう。もう起きないから・・・居留守や!
ぐーぐー・・・
zzz・・・
「すいませーーーーーーーん!」
ぴんp ぴ ぴんp p ぴん
「チェケラッチョ」
p ぴん p っっっ ぴん ぴ
ボン ボボン キュ ボ~~~~~~~ン
「hey hey hey」 ボ~~~~~~~~~~~~ン
キュルキュル キュルキュル 「September♫」
(変な音が聞こえるが無視や・・・)
・・・ガチャ
ドアが開く音がした。
(ええええええええええ?なんで?鍵閉めてたと思うけど!?)
急いで玄関に走る!
「ちょっとだれですか!!!!うるさいですよ!てか、なんで勝手にドアを!」
つい感情が爆発してしまった。
いや、誰だって爆発するでしょう、こんなの。
すると、ドアの向こうから・・・
ニット帽にサングラスとマスクをした格好で、相撲取りのように大きな体をした、
不審者風の男性がいた。
(怪しすぎる!)
「あ、すいません。ちょっと異世界に転生してみませんか?」
バタン
速攻でドアをしめた。
(爆乳のピチピチの女子高生だったら考えてみるけど・・・まあ、
あれじゃあ無理だよね。あんな不審者、気持ち悪くて震えるわ。
警察に電話しようかな・・・)
(・・・・・・・・・・・・・)
(ちょまてよ?自分も結構いやらしい考えを持っていたし・・・
人のことは言えないか・・・)
反省。
(それに、もし小説で異世界転生の導入部分として考えると、
斬新で面白かったしいいか・・・まあ現実でやることではないが・・・)
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
(てか、さっきの話をオッケーしてたら本当に転生・・・ないわー。
そんなことを考えてたらだんだん眠くなってきた・・・
羊を数える手間が省けたな。ラッキー)
ささやかな幸せを感じた休日。