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死神 鴉の仕事姿  作者: 小鮫 流治
14/15

解答欄と落ちた者

頑張って早く書いた分拙いです。

よしなに。

閻魔……閻魔ねぇ……


『む?さては信じてないなぁ?』


自称閻魔は幼い男の子のような声で楽しげに問う。

そりゃそうだ、このループの前に少しあの世の話題を浮かべはしたが噂なんてしてないし、そもそも幻聴に正体が閻魔だなんて言われたところで信じるのも馬鹿らしい、と言うかそもそも幻聴だし……


『もー……げんちょーげんちょーって、僕ぁ燕じゃないんだぞ?あ、死出の田長でもないからな?部下に別名のやつがいるけど』


さっきからだが、頭の中を読まれている上よく分からないところから話しかけられているってのはなんだか変な気分だな。少々こそばゆい。

燕?あぁなるほど、漢字が違うぞ。あとなんだ?しでのたおさ?出雲大社の親戚か?

……まぁいいや、この問答自体馬鹿らしくなってきた。幻聴に対して何してんだかね?

いっそのこと自称閻魔のこの天の声と会話するのも悪くはないかもしれない。

で、何だっけ?確か喜べって言ってたよな?


『やぁっと会話をしてくれる気になったか、良かった良かったぁ。うん確かに言ったね、そこまで強制はしてないけど割と楽しげな感じで』


当たったならなんかあったりするのか?

自称閻魔はとぼけるように、


『なんかってのは何のこと?』


だから喜ぶってことはなんか俺が嬉しくなることがあるんだろ?まさか出題されてもいない問題にたまたま当たったからって喜ぶやつはそういないだろうさ。

そうだな……例えば賞品とかってあったりはしないのか?

大当たりしたんだ、それくらいはあってもいいと思うんだが。


『賞品ねぇ、いやぁバレちゃったかぁ。あるにはあるんだけど到着するまで秘密にしておきたかったんだよねぇ。いやー残念ちょいとばかしハイテンション過ぎたのがダメだったかなぁ?』


そこまで残念そうではなさそうだ。

で?その商品ってのは?


『ん?そこまでは流石に分からないか。ならよしっ、秘密だよぉ』


そーかい。

まぁ現実的に考えちまえば幻聴になにか暇を潰せるものを期待するのもおかしいか。

そもそもこの状況自体おかしいが、いや、暇潰せてるんだし何も言うまい。

幻聴大万歳だ。


しっかし、何が大当たりしたんだ?


『自己紹介で気づかないかぁ、鈍いなぁ。和正さぁ、さっきこの世界を地獄だって言ってたじゃん?そこだよぉ。いやぁーにしてもまさかすぐ死んじゃうとは思わなかったなぁ。閻魔サプライズ登場しようと思ったら窓から飛び降りてんだもんなぁ。耳元で叫んでも聞こえてないみたいだったし、急いで復旧作業したから疲れた気分になっちゃたよぉ。もー』


あの野次馬みたいな声の正体は閻魔だったようだ。どうりで姿が見えないわけだ。幻聴に姿なんて無いからな。

いやはやしかし、ここが地獄ときたか。

いや、地獄に間違いはないがモノホンの地獄にはどう考えても見えない。

そもそも地獄には病院用ベッド一式とテレビは無いだろ。地獄に生活感があってたまるか。


『んん?地獄に生活感は無いよ?だってほら、鴉が言ってたでしょ?見る人によって見え方が変わるって。和正が現実を地獄だと思ってるから地獄が現実のような情景になってるんだよ』


俺は地獄に来るようなことをした覚えはないぞ?


『本当に?』


犯罪をした覚えは毛頭ないがそういう聞き方をされると不安になってくるのはなんでなんだろうな?

なんとか現象みたいな名前がついてるものなのかもしれない。

そういえば、いつだか祖母に嘘を吐いたら閻魔様に舌を抜かれる云々と話をしてくれた覚えはあるが、嘘を吐いただけで地獄行きってのはハードルが低すぎやしないか?

下手しなくても全人類地獄行きになること間違いなしだ。


『いやはやしかしなるほどねぇ。こんだけ廻ってきたのに気付いたのはここが地獄ってだけだったかぁ。んーしょうがないなぁ、じゃあ答え合わせと行こうか?』


答え合わせ?何の?

せめて問題文を出してから答え合わせをしてくれ。

何に正解したか分からなきゃ喜ぶに喜べないしもやもやする。


『答え合わせってのは比喩表現なんだけどねぇ。ただ、問題文があるとするなら和正、君はもうそれに気付いているはずだよぉ?』


はぁ……そうかい、よく分からんけど。

そもそも幻聴ってのはこんな電波な事を言ってくるもんなのか?

てっきり悪口とか恨み節を耳元で囁いてくるもんだと踏んでたんだがな。


『燕じゃないってぇ、もー閻魔だって言ってるでしょ?少しは敬っても良いんだよ?まぁ良いや。んでさぁ本題だけど、まずは和正がなんで我が地獄にいるかを教えてあげようか。うん、そこから話した方が解りやすいだろうしねぇ』


なるほど、俺が状況になった理由か。確かに考えていた気がする。

もったいぶらずに教えてくれ。言ってることが本当なら勿体つけられる程暇ではないだろ?


『いやいや、そこは神様だからねぇ、なんとか出来ちゃうんだよ。まぁ僕の仕事云々は置いておくとして、別に勿体つけるほど大事なことでもないし、さっさと教えちゃおうかぁ。君がここの地獄という場所にいる理由は――』


新事実に少々緊張している俺をよそに閻魔は淡々と告げた。


『地獄に落ちたからさぁ』


答えになってなかった。

こいつの話を聞いているなら至極当然のことを驚愕の新事実であるかのように語りやがった。

誰かこいつと役割をチェンジしてやれ。自分の役職に疲れすぎて知らずのうちに言ってることがトオトロジイになってるぞ。


『んー、日本語って難しいねぇ、ここまで伝わらないとは。その上神様の事馬鹿にしてるし。神様が疲弊するとか和正さぁ、神様舐めてない?』


大事な言葉を間違えるほどの疲弊以外にこの状況が説明できないんでな。

自分の幻聴を少しでも信じようと思った俺が馬鹿だった。まだ狂ってるのかもしれない。

んん?幻聴が聞こえる時点で狂ってんのか?


『ほらそこぉ、混乱しなーい。僕が言いたかったのは「地獄に来た」という意味での地獄に落ちたじゃなくてぇ、()()()()()()()()()()ってことさぁ。アーンダスターン?』


地獄に物理があるのか?


『んーまだ解らない?んじゃあ補足説明といこうかぁ。まず君達、つまり和正と鴉はあのおっきな橋を渡っていた訳だけど、その時に和正が鬼と呼ぶ者たちがやってきて、鴉の奮闘も虚しく君は鬼に足を掴まれ引きずり降ろされてしまった。と。ここまで言えば和正でも分かるはずだよ?』


それじゃあいつかのあの橋の下は地獄だったと?


『お、理解したようだねぇ。その通りだよぉ。よくよく考えてもみなぁ?鬼が来てほしい場所、連れていきたい場所ってここくらいしか無いはずなんだよねぇ』


俺がここにいる理由は解った。

言った通りならここは地獄で夢だと思っていたあの超長距離ウォーキング大会も実際に遭ったことだということか。

うん、にわかには信じがたいが、まぁ暇つぶしとしては丁度いい。

んで?次は?


『一応神様なんだけどなぁ、気にしたら駄目かぁ。うん。それじゃ要望どーり次にいこう。次は、さっきの答えの延長線上になるんだけどねぇ、ここは地獄ではあるんだけどいわゆる何地獄でしょう?って問いだ』


確か八大地獄だったか?めっちゃ寒かったり熱かったりするってのは記憶の片隅にちんまり残ってるが、ここは熱くも寒くもない。なんならGW特有のカンカン照りな日も沈んできて丁度いい感じの温度だ。

じゃあなんだ?俗に言う無限地獄ってやつか?んな馬鹿な。

無間地獄が一番辛い地獄ってのは知ってるし、罪が度し難いくらい重いやつが落とされるような地獄だってのも勿論知ってる。

外患誘致とか放火殺人みたいなことをするようなやつが落ちる地獄だろ?

事故死したような俺が落ちる地獄じゃない。


『おー考えてるねぇ。うんうん、頑張れーと言いたいところだけど、和正はせっかちだからねぇ。もったいぶるなーとか言い出す前に答えを言ってしまおうかなぁ』


俺の思考を邪魔するのが楽しいように閻魔(仮)は言った。

幻聴呼ばわりしたことを少なからず怒っているのかもしれないな。


『怒ってないよぉ。ただ邪魔したいだけだよぉ。ってことで答えだけど、ここはー?ドコドコドコドコー、ジャン!無間地獄でしたぁ』


聞き間違いなんだろうが、もし無間地獄って言ったのだとしたら、地獄はリストラかなんかで一大地獄にリニューアルオープンしてたのかもしれないな。ずっと閉店してていいのに。


……しっかし無間地獄ねぇ、今までの俺の人生でしでかした悪行をまとめ上げた結果無間地獄行きになるとしたら、きっと全人類無間地獄を経験したあと生まれ変わるのかもしれない。

どおりで少子高齢化が進むわけだ。きっとまだ日本人は無間地獄から出れてないんだろうなぁ。うん。


『おーい、そこー地獄から脳内に逃避しなーい。地獄を見ろ―』


現実を見ろみたいに言うな。恨まれてるみたいでなんか嫌だ。

で?無間地獄って言ったか?等活地獄がなんだか壮大になってんぞ。


『軽くないよぉ?ここがどこが解ったところで改めて、仏教世界八大地獄最下層、超巨大立方体からなる別名阿鼻地獄、我らが無間地獄へよーこそぉ。ってことでここは和正もよく知る救えないくらいの大罪人が落ちる無間地獄だよぉ』


あー聞こえない聞こえない。知らない知らない。落ちてない落ちてない。


『聞こえてるし、知ってるし、落ちてんじゃん。ほぉら、ちゃんと地獄見てねぇ』


訳が解らん。というか解りたくもない。そもそも言った通りだとして、なんで俺が落ちてるんだ?

思い当たる節が毛頭ない。

んん?この声の内容を信じる根拠がそもそも無いのか?

あぁ畜生、例によって例の如く頭がこんがらがってきやがった。


『ここは畜生じゃなくて地獄だよぉ?ってかここで僕のこと疑ってどうするのさ?この状況で疑っても何にもならないと思うんだけどなぁ。というか疑心暗鬼の文字通り鬼になっちゃうかもだよ?』


それは嫌だ。が……いや、止めとこう。蜘蛛の糸が垂れているのに自らが鬼になってどうする。


『うんうんそうそうその意気だぁ、あぁでもその例えはちょっと嫌かなぁ。勝手に地獄から引き上げようとしないでほしいって感じなんだよねぇ。まぁ結局犍陀多(かんだた)は落ちてるから良いんだけど』


確か蜘蛛の糸下ろしてたのって釈迦だった気がするのだが、そのあたりの上下関係ってのはどうなってんだ?


『んー、同業者って感じ?管理する場所っていうか人が違うからねぇ。ほとんど極楽にいるんだからこそこっちに手を出してほしくないんだけどねぇ。あと、天上天下唯我独尊なんて言うけど、天下ならともかく天上は言いすぎだと思うんだよ。ねぇ?』


同意を求められても困るんだがな。うんともすんとも言えるはず無い。

何だこの沈黙以外どの選択肢をとっても神を敵に回すとかいうゴミみたいな問題。


『まぁそりゃ答えないよねぇ、違うなんて答えてたらお話終了するつもりだったし。良かったねぇ?今回も大正解だ』


神って付くやつってのは皆こんな性格してのか?

なんかもっと慈悲深い感じの所謂昔ばなしの神みたいなのを想像してたはずなんだが、どうやら性格までは俺の意識は影響しないらしい。


『神なめんなぁ?ってか人間一人一人にキャラ変えてたら面倒臭いじゃーん?んじゃあ、スッキリしたところで最後の答え合わせと行こうか?』


まだあんのかよ……いや、逆だなこれで終わりなのか。

暇つぶしとしては全然だったな。出来れば半月くらいはこうしていたかったんだが。


『おぉ?終わるのを惜しんでるのかい?それは良かった良かったぁ。まぁ終わりってのはいずれは来るもんだよねぇ。しょーがないしょーがない。とゆーことで改めて最後の答え合わせだ。まずは何の問いかを明らかにしておこうかぁ。で、何だと思う?』


問題を増やしてどうするんだよ。

……確かもうすでに問題文は出てるんだったか?


『いやはやぁ、つれないなぁって言おうとしたら考えてるよぉ。いやぁ、閻魔に心をひらいてくれたって感じかなぁ?うん。割と結構嬉しいなぁ、多分。で、和正からのヒント要請についてだけどその通りだよ。今までここにいた中で問題は出ているともさぁ』


今までねぇ……何度か狂ってたらしいこともあって覚えている方が少ない気がする。

まぁあることにはあるが、どこか哲学じみた今知ってもどうでもいいような戯言くらいだ。

例えば、なんで俺は生きてるんだろう。とか。

覚えてるものは他にもあることにはあるが、哲学以外はたいていさっきの答え合わせで説明できる。


……もうちょっと頭を柔らかくすれば良いのかもしれない。彼方を殺したときみたいな予想外の案が出る事もある訳だしな。

逆にもっと哲学的に考えても良いかもしれない。例えば、俺は何がしたくて今何をしているのか。とか。とか?なんだか――


『はーい、時間切れだよぉ。いやぁ惜しかったねぇ、閻魔に止められてなかったら予知的にはあと三十二分で思いついてたんだけどぉ。うん、ドンマイドンマイ。ってことでワクワク答え合わせだぁ。最後の問題はぁ?ドコドコドコドコ、ジャン!閻魔からの賞品は何でしょお?でしたぁ』


例文に使えそうなくらい灯台下暗しって言葉がピッタリ合うな。

ってかどうしたらあの思考から三十二分でその回答にたどり着けるんだ?また気でも狂ったか?


『まぁそこは言葉通り神のみぞ知るってことでぇ。それじゃあさっさと次の答え合わせと行こうかぁ?んでもって同時にその賞品の現物を渡してあげようかぁ。って言っても閻魔は形を持ってないからねぇ、そこは代行してもらうんだけど。ではではぁ?豪華二大賞品はこちらでぇす』


と、司会者のような文言を楽しむ閻魔の言葉と同時に、遠慮するように病室のドアが静かに開いた。

彼方が来たようだタイミングとしてはぴったりすぎる気もするが。

なるほど彼方が賞品だったって落ちか。まぁ確かにそれなら納得だ。

なんてちょっとした頭の整理を済ませた後ゆっくりと振り向きながらいつも通り、


「『おはよ』――――!?」


そこにいたのはいつも通りの彼方でなく、彼方の頭を持った真っ黒な違う何かだった。

前述したように、随分頑張りました。

中間考査近いけど、割と楽しく書くことができたので後悔はしてません。

自分でもここまで早く書けるとは思ってなかったので、自分に対してまたもや驚愕しております。

紅茶って凄いですね。

まぁそんなこんなで次も頑張ります。

いつ出すか?God knows…ってことで。

ではでは。

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