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死神 鴉の仕事姿  作者: 小鮫 流治
10/15

箱の中と落ちた者

割と早めに出せて自分でも結構驚いてます。

ただ、一つだけ先に読まれる方に知っておいて貰いたいのですが、この話では自分のしたこと無い事を書いてますので結構稚拙になってます。お手柔らかにお願いします。


まぶしい。

もう朝なのか。

ノンレム睡眠って深い眠りとか言ってるくせして寝れた気になれずに損した気になるのは何なんだろうな。


……

…………

………………朝?あの世に?

…………ベッド?あの世に?

……意味解らん。あの世だからか?


異常事態を察知すると同時に体を起こし周囲の状況を確認する。

パニック状態のお陰で冴えに冴えた俺の水晶体に映ったのはドラマでよく見る病院の個室と、カーテンの隙間から見える夕焼けだった。


どうやらこの世に戻ってきたらしい。

あの世じゃないのに意味解らん。




ともかく状況の確認をしなきゃか。

と考えたものの、状況の確認も何もただ単にこの世に戻ってきたとしか思えないんだけれど。

起きる時使わなかったからか、ベッドから出ようとして気付いたのだが左腕を怪我してるらしい。包帯が巻いてあった。

点滴のかかってる棒を掴んで立ちはしたが脚は大して怪我をしていないようなので目立った怪我は左腕だけらしい。


カーテンを開けると、やはり見覚えのある風景が望めた。

ここは多分、俺が生きてた頃住んでたところから一駅進んだ街にあった病院ってところだろうか?

窓の外の都会のモノマネをした田舎みたいな風景には覚えがある。


いやはや、しかしあの世の中にこの世が存在してるとは。

ガリレオは間違ってたらしい。いや、ニュートンだっけ?

知らんけど。


にしても、この世に戻っても記憶は戻らずか。

お見舞いに来てくれるやつがいたら聞いてみるか。

お見舞いに来てくれるやつがいるかは知らんけど。

はてさて、来るかも分からぬ客人が来るまで久々の外の風景でも満喫してる――


「駄目ぇぇぇぇー!」


駄目?何が――ぁふぅっ

誰かも知らない女性が俺の頼りなさそうな胸板に抱きつき、動くまいと脚がプルプルしている。

見舞いに来てくれた人?なのだろうか?

多分俺の知人なんだろうが、顔を見ても思い出せはしない。

ただなんとなく見覚えのようなつっかかりみたいなものがある。


駄目だな向こうでの経験が濃すぎて鬼なんじゃないかと体がこわばってしまう。

いや、こわばってる理由の80%位は相手が女性であることに由来するんだが。

まぁ、今そんなことはどうでもいい。

取り敢えずこの状況をなんとかしなければ。

いや、別に俺はこのままで良いのだが、これじゃ人からどんな目で見られるのか分からないし想像したくない。


「あの……」


しくった。

なんて言うのか考えてなかった。

不味い、抱きついてる女性が体勢はそのままに顔をこちらに向けている。

可愛いというよりかは綺麗って感じの顔だ。

あー……、駄目だ考えがまとまらない。


……ま、良いか。


「あー……と、あなたは誰ですか?」


「え?」


数秒後、何を思ったのか女性は膝から崩れ落ち、俺の膝の前辺りで顔を手で覆ってさめざめといった感じに泣き出してしまった。

どうやらハズレを引いてしまったようだ。

あの世に行ってから何も上手くいってないな。

…………元からか。




ともかく、自分が記憶喪失であることを説明しながら慰めること数十分、どうやらある程度には回復してくれたようだ。

落ち着いた女性に聞いたところ、その女性の名前は片岸彼方(かたぎしかなた)と言うらしい。

しかも彼女の言うところでは彼女は俺のカノジョらしいのだ。

謂わばガールフレンドというやつである。

俺にカノジョ?何度反芻してもよく解らない。


よく解らないままに、彼女に取り敢えず何故が俺がここに居るかを聞くと、割と鮮明に覚えているらしく、


まず、その日俺は会社をクビになって茫然自失のままベランダでぼぅっと雲を眺めていたらしい。

すると突然どうやら強風によりバランスを崩し、ベランダの柵に預けていた背中を支点に足が浮いて、助けようとするも、時既に遅く俺は頭を下に落ちて、もうだめかと思ったそうだ。

ただ不幸中の幸いなことに、下にあったトラックの幌に丁度良く落ち、左腕の怪我と諸々の生傷ですんだ。


とのことだった。


まぁ、俺らしい落ち方だろうか。

目も当てられないがちゃっかり生き残るあたりそんな感じだ。

自殺という訳でもないのだから別にいいだろう。

二度目の人生みたいなもんだ、頑張るとしよう。


その後、彼女と俺が四日も寝ていたことや彼女の他の見舞いに来ていた人の事などなど情報提供をして貰った後、彼女に半強制的にベッドに戻され、俺自身もパニックのせいか、あの世のせいか、いつの間にか泥のように眠っていた。



――一週間後

俺は退院することになった。

何故そんなに退院が早いのか俺も片岸さんも頭を捻ったが、どうも今年で還暦を迎えそうな医者の言うことは長ったるかったので要約すると。

四階から落ちたものの、術後の経過はとても順調なので。とのことだった。


もしかしたらあの世から戻ってきたことで何か変な能力でも付いてきたのではと、頭の片隅で陳腐なファンタジーみたいなことを考えはしたがすぐに否定した。

んなわけないだろうさ。

まぁ、運が良かったってだけだろう。

トラックの運転手にはお礼を言わなきゃだな。

相手からしたら意味が解らないだろうが。俺にとってはの恩人なのだから。


そんな事を考えながら俺は荷物をまとめていた。

いやはや、今後のことも考えなきゃか。

片岸さんによればクビになった今俺はヒモだからな。早く仕事を探さなきゃ駄目だろう。

ところでいつになったら記憶は戻るのかね?

これじゃあ家にも帰れやしない。


一日後、荷物をまとめ終わった俺は、片岸さんと共に病院を後にした。

勿論帰宅手段は電車だ。

どうやら片岸さん以外の見舞に来てくれたやつで中塚という野郎がなんの好意か俺が寝てる間にビックスクーターを持ってきてくれていたらしく病院の駐輪所に2人乗りできる中々厳ついビックスクーターが置いてあった。

記憶喪失のやつに何させようとしてんだよ。


「しっかし、記憶喪失かぁ。びっくりしちゃったよ、まさか本当にそんな物が現実にあるとは思わなかったからねぇ。実感はないけど……今までの記憶が全部無いんだって思うと結構心に来るもんだね」


駅に向かう途中、明るいものの寂しそうな声で片岸さんはそう言った。

無理して明るく言っているであろうことは流石に俺でもわかる。

別に俺が悪い訳……いや、俺が悪いのか。

駄目だな、明るくしてくれてんのに申し訳ない気持ちに押し潰されそうだ。


「なんか……すんません片岸さん」


耐えられずに俺は何に対してかも解らず頭を下げた。

自己嫌悪がカンストしそうだ。

片岸さんは驚きと戸惑いをブレンドした面持ちをしつつ、


「よろしい!まぁ、思い出は今から作ればいいし、不幸がないカップルなんて無いだろうしね。そもそもそれを二人で乗り越えるのがカップルってもんなんだろうし」


片岸さんは当然だと言うように「ねっ!」っとこちらに笑顔を向けた。

この笑顔一つあれば天照大御神もスキップしながら洞窟から出てきそうだな。

その位明るい笑顔だった。

前世で何したらこんな完璧美女と付き合えるのかね?

自分が邪に善行について考えていると、片岸さんが思い出したようにこちらを向き、


「そうそう、私のこと片岸さんっていうの禁止ね?前まで彼方って呼んでくれてたのに、他人行儀過ぎてなんか背中がむず痒くなっちゃうよ」


「了解です」


「敬語も禁止!それじゃあ痒みが取れないじゃん」


まぁ、それもそうか。

しかし……いや、何も思うまいよ。

彼方さんからの頼みなんだ。黙って遂行するのは義務みたいなもんだろう。


「分かったよ彼方さん」


すると彼方さんはハリセンボンの様に頬を膨らませ、


「むー……。しょうがないから今はそれで良いけどさ、んーそうだなぁ……、一週間以内にはちゃーんと彼方って呼んでよ?」


俺の彼女は綺麗なだけじゃなく可愛さと優しさも兼ね備えているらしい。

俺の前世は聖人だったのかもな。


「分かった、一週間以内にはちゃんと言えるようにするよ。……まぁ、ともかく色々有り難うね彼方さん」


「私がなんかした覚えはないけど……どういた――」


いきなりだった。

――それはいきなり俺達の前に飛び込んできた。


「は?」


俺はその場所に似つかわしくない間抜けな声を出した。

だってそうだろう?

いきなり反対車線から法定速度なんて冥王星にかなぐり捨ててきたようなスピードのトラックが迫ってるんだから。


「和正っ!わきゃぁっ!?」


俺は即座に意識を彼方の方へ向け、彼方を治りかけの筋繊維の存在などガン無視した、火事場の馬鹿力というよりは愛の力といったほうがしっくり来る程のパワーで、トラックが当たらない場所まで突き飛ばし。

残った俺に使える筋肉などなく、ただ――轢かれた。


腕が軋み胸部に圧がかかったと思った次の瞬間、俺は空を舞っていた。

折れたであろう左腕と胸あたりが気持ち悪い。

俺の左腕はなんか憑いてるのかもしれないな。

頭から滴る液体が口を通過する為か、たまに口内に入って息がし辛い。

いつの間にか駆け寄ってきていた彼方が俺の頭の出血を抑えようとしているのか頭を抑えながら何かを叫んでいる。

そんなに強く抑えたら痛いよ彼方。


「ぐぁあぁっああぐっ」


声になってない呻き声が漏れる。

それと同時に彼方から大粒の涙が溢れる。

泣かないでくれよ。

彼方には笑顔のほうが似合ってるんだから。

声に出そうとするも漏れるのは呻き声と呼吸だけだった。


目が霞んできた。

俺が頑張って微笑みかけるもまだ彼方は泣いている。

そろそろ、意識を手放しそうな気がする。眠い。

まだ死ぬ気はないが、こんな完璧美女救って死ねるんだから善行は成せただろ。


彼方の呼びかけの中、不甲斐なくも俺の意識は暗転した。

よくよく考えればフィクションを書いてる時点で自分のしたことがある訳無い事を書いていることになるので、当たり前でしたね。

まぁ、体験できることならさせて頂きたいのですがね。

最近は紅茶ではなくモンスターのピンクを飲みながら文章を紡がせて貰ってます。

ただ、紅茶のほうが効率は良いんですよねぇ。

でも、暑いから飲めない。……ジレンマですねぇ。

そんな感じの今日此頃です。

次話は8月中には出したいと思ってます。……多分……きっと!

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