対になる二人
都内某所。
Orbit講習会
なぜ彼がこんなところにいるのか。まずその理由から説明しよう。
彼の名は水橋優喜。カウンセラーを目指しており今回はその研修の最終段階。実践的なカウンセリングを行うためにOrbitの住人と会話し、彼らの幸福値をあげ死後の世界へと送る。それが今回彼が赴く理由だ。
「こんなことならカウンセラー志望なんて辞めておけばよかった。」
「そう言うなよ~!仮想世界にタダで行けるんだよ!?いい話だと思わない?」
この人は上条麗奈。僕の小さいころからの付き合いで、2個上の先輩だ。
「上条先輩。あのですね。まず与えられた課題が難題すぎるんですよ。その上人の死の瞬間を見るわけですから。僕としては乗り気になれる理由がありません。上条先輩は成績優秀ですし人柄も明るいですから何とでもなるでしょうけど僕は...」
「褒めてくれるなんて珍しい。大丈夫だよ!君ならなんとかで・き・る・さ★」
「はあ...」
そうこうしてるうちに責任者の説明が始まった。要約すると
1.仮想世界は住人が思い浮かべるままに四季や景観が変化する
2.研修生達は仮死状態にするわけにもいかないので別の方法で接続するが、行動に制限がある。
ぐらいだった。
仮想世界への接続は明日。僕は後ろ向きな感情しか残ってないまま僕は帰路に就いた。
「ははは。上条先輩はいい意味で能天気だからなあ。成績もいいしそれなりに自信もあるんじゃない?」
スマホのスピーカーから爽やかな声と笑い声を漏らすのは、幼馴染の清水玲。高校までずっと一緒に過ごしてきた。あとイケメンだ。
「ほんとだよ。僕がこんなにも悩んでいるっていうのに...」
「まあそんな気張るなよ。勇喜は優しいから大丈夫さ。せっかく先輩と同じラインに立てる位頑張ったんだから。それに仮想世界に行けるなんていい経験ができるじゃないか。そっちも頑張ってるみたいだし俺も仕事頑張んないとなあ。」
「そっちは順調なんだろ?羨ましいよ僕と変わってほしいくらいだ。」
「順調だけどこっちもこっちで忙しいさ。明日朝早いし僕はもう寝るよ。早いとこ勇喜も寝なよ?」
「わかったよありがとう。仕事頑張ってな。おやすみ。」
当然寝つけるわけもなく翌朝を迎えた。Orbitのある都内某所へと足を運ぶ。