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「海底に行く方法を教えて下さい!」
シューは冥界にいた。
「これから冥界山に登りに行くところなんだがな。」
シューの相手は、冥王ハーデース。
「山登りなんてどうでもいいです!」
「どうでもいいだと!? 邪魔をするなら、消すぞ! エクレア少年!」
シューはハーデースにエクレア少年と呼ばれている。
「エリザさんがポセイドーンに捕まって、海底に連れていかれたんですから!?」
なぜシューが冥界のハーデースの元を訪ねにきたのかは、こうだ。
「エリザさん!!!!!」
ゴルゴ―ン3姉妹にさらわれてしまった、シュー妻のエリザ。
「海底に行って、エリザさんを助けなければ!? でも、どうやって海底に行けばいいんだ!?」
シューは、普通の人間なので、海底への行き方が分からない。
「そうだ! ポセイドーンは、ハーデースの弟だから、ハーデースなら、海底への行き方を知っているかもしれない。」
「行きましょう! ハーデースさんに会いに冥界へ!」
シューとエクレアは冥界のハーデースの元へ行くことを決心する。
「シュー、冥界への生き方は、奈落の神タルタロスが知っているぞ。」
「はい。いきますよ! ブラッディ・タルタロス!」
シューとエクレアを闇の入り口が呑み込んでいく。
「うわあ!?」
「キャア!?」
シューとエクレアは冥界へとタルタロスの血によって移動することができた。
「可哀そうなシュー。奥さんを取り戻すために必死なのね。」
同情して涙を流す冥王ハーデースの妻ペルセポネー。
「ペルセポネーさんもハーデースさんと山登りに行かないで、僕を海底に連れて行ってくれるように頼んでください!」
シューはエリザを助けるためなら冥王にも、冥王の妻にもすがる思いである。
「ハーデース。山登りは今度にしましょう。」
「ペルセポネー!? いいのかい? なんて、君は優しいんだ! まるで女神のようだ!」
ハーデースは妻ペルセポネーを心から愛する。
「ありがとうございます。ペルセポネーさん。」
「いえいえ。山登りより、深海の海の底の海底の方が面白そうなんですもの。」
ニッコリ笑う純粋なペルセポネー。
「え? 一緒に行くつもりですか?」
「はい。もちろん。」
「・・・。」
シューは、言葉を失った。
「そうと決まったら、山登りの服装から、スキューバダイビングの服装に着替えてくるから、待っていろ、エクレア少年。」
「はい・・・。」
ハーデースとペルセポネーの夫婦は着替えに去って行った。
「シュー、あれが恐怖の冥王と冥界の女王でいいのだろうか?」
「仕方がありませんよ。これもエリザさんを助けるためです。」
そしてハーデースとペルセポネーが着替えて戻って来た。
「待たせたな。」
「お待たせ。」
「さあ、海底に行きましょう!」
シューはやっと海底に行けると思った。
「ん!? おまえは誰だ!?」
その時、ハーデースが何者かの気配に気づいた。
「私!? 私はスケスケの天使エクレアさんだよ!」
「違う。おまえじゃない。」
エクレアさんは自分のことを言われたと勘違いした。
「1人じゃない!? そこにいるのは誰だ!?」
ハーデースに気づかれて柱の陰から人影が姿を現す。
「久しぶりだな。シュー。」
「サマエル!?」
現れたのは3人の黒い天使。その内の1人は死を司る天使サマエルだった。
「元気そうで何よりだ。」
「サマエル!? なぜおまえがここに居る!?」
「なぜ? 私は冥王ハーデース様が、おまえに会いたいというから冥界にお連れ仕様としただけ。私が冥界にいることに何の問題があろうか?」
サマエルとハーデースも知り合いである。
「サマエル、そちらは誰だ?」
「はい。ハーデース様。こちらは我ら黒い天使の長、ルシファー様です。」
サマエルと現れたのは明けの明星の美しさと称される堕天使の長ルシファーであった。
「初めまして、ハーデース。この者は私の護衛のペルセウスです。」
頭を下げて一礼するペルセウス。
「これはこれは地獄の魔王様が、この冥界に何の用かな?」
「私の双子のミカエルを始め、多くの天使たちがゴルゴ―ン3姉妹の性で石にされてしまいました。私は真の天使の長として仲間を助けなければなりません。」
「僕と同じですね。僕もエリザさんを助けたい。」
シューとルシファーの誰かを助けたいという想いは同じであった。
「海底に行くのなら、私たちも一緒に連れて行ってください。」
「ハーデース様。私の主の声をお聞き届けください。」
サマエルがハーデースにご機嫌を伺う。
「別にピクニックは多い方が楽しいからいいが・・・まだ隠れている者がいるんだが?」
ハーデースは冥界に漂う妙な気を感じ取る。
「おい、そろそろ出てきてくれないか? ・・・アダイブ。」
「アダイブ!?」
シューは耳を疑った。ハーデースはアダイブと言ったのだ。
「勘の良さは相変わらずだな。ハーデース。」
そこにアダイブが現れる。
「アダイブ・シエル!?」
現れたのは、シューに倒されたはずのアダイブ・シエルであった。
「なぜ!? 生きている!? おまえは倒したじゃないか!?」
「そうだ! そうだ!」
シューとエクレアは、アダイブ・シエルの登場に理解できないぐらい取り乱して抗議する。
「偉大なる神が、俺が消滅する寸前に救出してくれたのだ。」
「なんだと!?」
アダイブ・シエルを助けた偉大なる神とはいったい・・・。
「今の私はペルセポネーの血も、ヘカテーの血もない。だが、それでも堕天使の女王の後を付けることぐらいは簡単だったよ。」
「すまない。どうやら後を付けられたのは、私たちのようだ。」
アダイブ・シエルはルシファーたちの後を付けてきたと言う。
「アダイブ・シエル! 貴様! 消すぞ!」
ハーデースは冥界を荒らされ、妻のペルセポネーと優秀な侍女ヘカテーがアダイブ・シエルに血を吸われる被害にあっているので、アダイブ・シエルをハーデースは消してしまいたいぐらい嫌っていた。
「今の俺を消すことは簡単だろう。だが、その前に急いで海底に行った方がいい。手遅れになってしまう。」
「なんだと!? どういう意味だ!?」
シューは嫌な予感が脳裏を過る。
「そこの天界に捕らえられている天使。」
「わ、私ですか!?」
アダイブ・シエルはエクレアを名指しする。
「その神の血を司る天使の血でできた純粋、純潔のアダイブが私の他に4人いる。」
「4人もいるのか!? 血を返せ! 私の血だぞ! お詫びにエクレアを持ってこい!」
エクレアが激怒しているが、奪われた全ての血を集め、完全復活するまでの道のりは遠いみたいだ。
「純潔のアダイブの何人かが、海底に向かった。」
「なんだって!?」
純潔のアダイブ。アダイブ・イブ、アダイブ・エヴァ、アダイブ・アダム、アダイブ・エデンの4人の誰かがポセイドーンのいる海底にいる。
「狙いは・・・血だ。海王ポセイドーンを始め、特殊能力を持つ者が多い海底の者の血を吸いパワーアップするつもりだ。」
アダイブ・シエルは嘘を吐いた。本当は血など、どうでもよかった。純潔のアダイブたちの目的は、生命の樹と知恵の樹を見つけることだった。
「気に食わんな。なぜ、それを俺たちに教える?」
「俺にもよく分からない。手柄を横取りされたくないだけなのか、それとも自分がシューと戦い・・・人間に近づいてしまったのか。」
人間であるシューに接し触れることで、アダイブ・シエルが人間の心に感化されていることも事実であった。
「今の手負いの私は戦うことができないが、同じ純潔のアダイブとして、あいつらの気を感じることはできる。俺を連れていけ。」
アダイブ・シエルは純潔のアダイブ同士共鳴し合うと言うのだ。
「これで弟のポセイドーンのいる海底神殿ピクニックのメンバーが揃った訳だな。」
メンバーは、新妻エリザを助けたいシューとエクレア。それに海底に連れて行ってくれる冥王ハーデースと冥界の女王ペルセポネー夫婦。石になってしまった白い天使を救いたい地獄の魔王ルシファーと死を司る天使サマエルと護衛の黒い天使ペルセウス。それに少し改心したかもしれない吸血天使アダイブ・シエルの8人である。
「エクレアさん、なんだか強力なメンバーですね。」
「そうだな。私の存在が薄れているじゃないか。誰かエクレアを持ってこんかい!」
この物語は、元々はシューとエクレアさんの心温まるお話であった。それが僅か10万字で総出演キャラクター数の増加により存在感が薄れていた。
「それでは行くぞ。ポセイドーンのいる海底へ。」
「おお!」
ハーデースは海底へと続く次元の入り口を開いた。
「エリザさん、必ず助けます。」
シューは次元の入り口に飛び込む。
「海底エクレアもあるのかな? おいしかったらいいな。」
エクレアさんも次元の入り口に飛び込んだ。
「待っていろ! 海王ポセイドーン! ぞれに純潔のアダイブたち! 僕が倒してエリザさんと一緒に地上の皆の元に帰るんだ!」
シューの行く先には、海王ポセイドーンはもちろん、その配下のゴルゴ―ン3姉妹も待っている。さらに先行して海底に向かったというイブ、アダム、エヴァ、エデンの純潔のアダイブたち。これからもシューとエクレアさんの血を求める戦いは続く。
終わり。
あとがき。
10万字を超えたので、とりあえず休止か、終わり。アルファに出版申請したら、いらんって言われたしね・・・。
終わり。




