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Spectacular Fight Tales in Mysterious Different World  作者: マッハ! ニュージェネレーション
港町トオカッタ編(ザラス大陸(チーム・ノースディビジョン)編ファイナルステージ)
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第86話(マッハサイド):異質な気配と「ぐでー」スタイル

「やっと久々にベッドで寝られる気がするぜ……」

 パチンコ屋で働いていて体力には自信のある明も、流石にこれまでの旅路でかなり疲れている。

「確かに」

 周二も言葉数は少ないが、表情には疲れの色が明らかに見えているのでその気持ちは同じなのが分かる。

「せっかく食事と寝床を用意してくれると言うんだ。素直に世話になろう」

 今まで回って来たどの国々よりも更にレベルの高いもてなしを受けているので、これ以上の贅沢は言えないと考えたジェイノリーはシュヴィリスをチラリと見る。

 そのシュヴィリスは与えられた客間の窓に備え付けのテーブルを移動させ、ガリガリと窓に向かって絵を描いている。

「何してるんだ、シュヴィリス?」

『最近身体動かしっ放しだったから、少しは落ち着いて本業に精を出そうと思って。こう言う時でも無いと、ゆっくり描けないからね』


 そう言いながら手を黙々と動かすシュヴィリスの目前には、何時の間にかセッティングされている大きなキャンバスがあった。

 そして小さな椅子もセットされ、黙々とキャンバスに向かってシュヴィリスは手を動かし続けている。

「おいおい、そんな大きな物を何時持って来たんだ?」

『さっきここ来る時、騎士の人に頼んだの』

 明の問い掛けにも振り返らず背中越しで応対し、ざかざかとキャンバスに自分の世界を描き続ける人間の姿の青いドラゴン。

 それを見て周二が納得した様な声をあげた。

「そうか、シュヴィリスはへルヴァナールでは画家だったな」

『うん。へルヴァナールとも地球とも違うせっかくの異世界なんだし……こう言う時にこそ描けるだけ描いておきたい風景って言うのはあるから』

 画材も一緒に用意して貰ったらしく、慣れないレンタルの画材でありながら作業に没頭するシュヴィリスを見て、人間の3人はそっとしておこうと言う結論に達した。


「じゃあ俺達、夕飯までその辺りを散策して来るから」

『あー、いってらっしゃい』

 夕食までこの異世界の風景の一部を切り取った絵画を描き続けるつもりだから……と思いながら、シュヴィリスは地球人3人が出て行った後も何も喋らずにただひたすらキャンバスに異世界を描き写す。

 だが、その手が不意に止まった。

【……!!】

 何かおぞましいものを感じたシュヴィリスは、ガタッと椅子から立ち上がって窓の外をジックリと見始める。

【何だ、この気配は……!?】

 明らかに人では無い者の気配がする。

 その気配は自分と同じ……しかし気配が薄くてこの近辺には感じられない距離に居る竜の気配。

 その気配と良く似ている種類の気配を、異世界へルヴァナールからやって来たシュヴィリスは知っていた。

【闇の気配がする……しかも敵意も少し感じる。竜の気配で間違いは無いと思うけど、この世界に来てから何処かで感じた様な気がする気配でもあるんだよなぁ……!?】

 しかし「絵を描くな」と言われている訳では無いらしいのでシュヴィリスは椅子に座り直し、再び絵画の制作に着手する。

 シュヴィリスと、その御付きの者に対して少なからず恨みを持っている人外がこの地にやって来ている事を薄々感じ取りながら……。


 そんな悶々とした気配をシュヴィリスが感じているその頃、外出許可を貰って地球人の3人は屋敷の外に出て来ていた。

 しかし、疲れているジェイノリーは明に「こんな夜中に何故外に出るのか?」と言うのが気掛かりで仕方が無い。

「別に明日でも良いんじゃないのか?」

「今寝ちまったらきっと明日の朝まで眠っちまうよ」

「そう言う所だけは考えてるんだな」

「何だよそれ」

 周二に突っ込まれたのか呆れられたのか分からない事を口走られた明だったが、そんな明の目が中庭に居る誰かのシルエットを捉える。

「あれ? あんたは……」

「あー……引っ越す人達だっけ?」


 中庭のベンチで「ぐでー」と言う効果音が似合いそうな体勢で寝ているのは、このトオカッタに入って最初に出会ったジョージア・ベラルドとか言う何処かの飲み物を真っ先に連想させる名前の男である。

 茶髪の頭に細身の顔と身体、そして赤い上着を羽織っている貴族風の身なりをしており、愛用の武器であろうレイピアはベンチの横に無造作に立て掛けられている。

「どーしたの? 話し相手だったら誰か他の人になって貰ってー」

「無気力な奴だなー。地球のニートを見てるみたいだぜ」

「にーとってなーにー……?」

 相変わらず「ぐでー」とした、一昔前のパンダのキャラクターを思い起こさせる体勢のまま応答を続けるジョ-ジア。


 そんなジョージアの目の前で、3人は呆れ顔でコソコソと感想を述べる。

「ビアードって言うあの熊みてーな奴の話だと、八剣士とか言う実力者らしいが……」

「説得力がゼロだ」

「俺もジェイノリーに賛成。明の言う通り、ニートと思われても不思議では無いな」

「ニート……イギリス発祥の言葉でフランスにも浸透しているが、中世風のこの世界じゃまだまだ浸透しないだろうな」

 呆れて溜め息をつくジェイノリーと、それに続いて呆れ顔でジョージアを見る明と周二に構わず、相変わらずの「ぐでー」スタイルでジョージアはベンチに寝そべる。

 だが次の瞬間、ジョージアは寝坊して遅刻確定のサラリーマンの如くベンチからガバッと起き上がった!

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