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第70話(マッハサイド):奪還作戦と尋問

 さっきの謎の男の事は確かに気になるが、今はとにかくこの目の前の要塞にどうにかして忍び込んで明とジェイノリーの行方を探さなければならない。

 要塞と言うよりも砦と言うか、見方によっては城みたいな感じと言うか……。

 外壁と一体化する城塞支部として知られているらしいので、内部の構造情報に関してもすぐに集まる。

 それを聞いた結果、周二は思いっ切り悩まざるを得ない状況になった。

(難しいな……)

 うん、難しい。

 このカイザスタンは只でさえ人の出入りが激しいが、その出入りを管理する場所となれば警備もやはり厳しい筈である。

 正面から堂々と侵入するなんて事は、地球の世界一のマジシャンでも無理な話だろう。


 だけど「正面から」侵入しないルートなら?

 街の人間に世間話を交えて聞いてみた所、この東外門の左右に広がるシルエットで北塔、南塔、宿舎、詰所、武器庫等が内部にある砦の構造が分かった。

 そして今の建国祭の状況なら、人の出入りが何時もよりも激しい事は周二にも分かるのでなかなか裏方まで目が届き難いと言うのも予想出来る。

 それに加えて2人の身柄が北塔の方へと運ばれて行ったのを見た、と言う人間も居た。

(北塔は向こうか?)

 その裏方からの侵入ルートをどうにかして探したい周二は、まずは下見で砦の近くまで出来るだけ寄ってみる。

(外壁側への出入りは人が多いな。人の流れに紛れ込む事が出来れば何とかなるかも知れないが……いずれにせよ何処に何があるのかと言う情報が今の所は少な過ぎる。だからどうにかしてもっと情報を手に入れたいが……)

 その内部情報はこの街の騎士団の人間で無ければ分からないだろう。

 しかもさっきの男から貰ったこの荷物はそれなりに大きい為、潜入するには逆に邪魔になってしまう。

 正面突破も難しそうだし、潜入方法を教えてくれそうな情報屋……なんて都合の良い存在の心当たりも無かった。


 周二はゲームはやらないのだが、そんな彼でも分かる。

(人生はゲームの様にシンプルじゃ無い。それに決まったシナリオがある訳でも無い……)

 でも、同じ地球からやって来た人間がこの要塞の中に捕まっている以上は如何にかして潜入しなければいけない。

 その為にはもっと情報が必要だ。

 ならばその情報を出来るだけ集める。

(今はまだチャンスじゃ無い。チャンスは必ず巡って来る!!)

 自分のモットーでもある「チャンスは必ず巡って来る」を信じて、ここは一旦退く事にした周二はとりあえず夜まで情報を集めて回る事にした。


「だから俺は何も知らねーって」

「黙秘権を行使する」

 北塔の取調室……では無く大きなもう1つの会議室に運ばれた明とジェイノリーは、カール達が会議室に行くのとはまた別に警備隊の大隊長であるアランと、その副官ディールを始めとする帝国警備隊の面々に厳しい尋問を受けていた。

「おいっ!! さっさと吐いちまった方が身の為だぜ?」

 アランが明の胸倉を掴んで大声で2人に詰め寄るが、かつてこの世界とはまた違う世界のヘルヴァナールや地球で何度も修羅場を潜って来た人間としては、その大声も暴行も馬耳東風状態である。

 カイザスタンのメンバーは正直厄介な存在だ。

 事情聴取の中で、すぐにぶん殴ってでも情報を聞き出そうとしそうなイメージが明とジェイノリーの頭の中にある。


 主なメンバーはアラン、ディール、それから周二と戦ったロイスとメリアヌス。

 その他に警備隊の人員10人程が会議室に待機して、簡単には逃げられない様にされている状態だ。

「黙秘権? 御前等、この状況で黙秘権を行使出来るとでも思ってるのか!?」

「何言ってんだ御前」

 メリアヌスのセリフに明が妙に冷静な突っ込みを入れるが、そのやり取りを見ていたこのメンバーの中の唯一の帝国騎士団員であるロイスが2人の前に出る。

「それでは質問を変えましょうか。貴方達にはまだ仲間の方が居ますね? 緑の髪の毛で大きな身体の男の方が」

「……」

 それでも2人は黙ったまま答えようとはしない。

 はぁ……と溜息を吐いてロイスは肩をすくめた。

「仕方ありませんね。何を聞いても私達では無駄な様ですし……ここはニルライン様やヘインズ様に任せましょうか」

 ディールもロイスの意見に同意する。

「その方が良さそうですね。でも今は確か警備担当の人間と会議中でしたね、アラン?」

「ああ。だからこいつ等は塔の牢屋にぶち込んどけ!!」


 アランのその一言で牢屋に2人纏めて入れられてしまったジェイノリーと明は、手足を枷で縛られたままの状況だ。

「あーあ、俺達これからどうなるんだろ?」

「恐らく、さっきのカールとか言うこの国の軍隊を纏める存在からもっと手厳しい尋問を受けるだろうな」

「……冷静に言うなよ。不安なんだよ」

 こんな時まで冷静なジェイノリーのセリフに一種の薄気味悪さを感じつつ、明は手枷と足枷を外せないか頑張ってみる。

「あー、やっぱダメだ。こう言うご都合主義は無さそうだぜ」

「そうか……」

 となればここから脱出する事は自分達の力だけでは無理そうだと分かった。

 シュヴィリスの状況が分からないままで塔に閉じ込められてしまった以上、外に飛び降りる事も出来なければ手枷と足枷をはめられた状態であのカールを始めとする面々から無事に逃れる事も出来そうに無かったからである。

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