第62話(マッハサイド):3人バラバラのチェイス(ジェイノリー編:激闘)
バトルBGM
ZEA - Run To The World
https://www.youtube.com/watch?v=LXTRX1zqglA
「私はカイザスタン護衛騎士団長、ニルライン・カイネルだ!」
「俺は国立警備隊総大将、ヘインズ・ラスタット!」
大声で2人が名乗りを上げるが、ジェイノリーにとっては2人の名乗り等関係無い。
生粋のヨーロッパ人で、しかも騎士団員でも無いジェイノリーは2人の名乗りが終わった瞬間にダッシュしジャンプ。
そこから180度の開脚を見せ、右足と左足で2人纏めてまずオープニングのキックの一撃をそれぞれ食らわせる。
(そんな事叫んでる暇があったら、さっさと攻撃しろ……)
1vs2の時点でかなり不利な状況なので、騎士団員や警備隊員から卑怯だとか何とか言われようがジェイノリーはどうでも良い。
重要なのはこの2人を筆頭にしている警備隊と騎士団から無事にエスケープする事。ただそれだけだ。
キックを食らった双璧の将軍は、お互いに少したたらを踏みながらもすぐにロングソードと槍を構える。
「貴様……誇りある名乗りの直後にいきなり攻撃とは、余程騎士の心得を知らぬと見える!!」
「ほう……やってくれるな。今更後悔しても知らないぞ!!」
ヘインズの槍の先端から真っ赤な炎がグワッと燃え上がる。
そしてその槍が振るわれ、ジェイノリーに襲い掛かって来る。
(げぇ……!!)
あんなものを食らったら、槍が貫通した場所から燃えてしまう。
そんな嫌な死に方だけは絶対にごめんだと思い、ジェイノリーは横っ飛びでその槍を回避。
「反射神経はまずまずか。だが俺の「ニルライン」を避ける位の事はしてくれなければ、こちらとしても歯ごたえは無い」
「……え?」
もしかして、その槍の名前もニルライン?
ストレートにそう聞いたジェイノリーに対し、ヘインズは迷い無く頷く。
「……いや、あの……まぁ、そう言う関係なのかどうかは知らないけど。そう言うのは個人の自由だから否定はしない。けどそう言うのはそっちで好き勝手にやってくれ。俺は退散させて貰う」
何だか自分だけが気まずくなったと思い、とにかくここはさっさとそしてスマートに去ろうと思ったジェイノリーだったが、そんな彼の前にニルラインのロングソードとヘインズの「ニルライン」と名付けられた槍がクロスされながら突き出される。
「そうはいかない」
「そうはいくか」
それぞれの武器がジェイノリーの行く手を阻む様にクロスさせられ、しかも2人の声が見事にシンクロしたがそれもジェイノリーには関係無い。
立ちはだかるのが例え双璧の将軍だったとしても、この2人を倒して進まなければ地球に帰る事は出来ない。
ここで捕まってしまえば何をされるか分からない。
だから自分は精一杯の抵抗を見せるだけである。これでもこっちも12歳の時から41歳の今まで29年間、武術に人生の一部を捧げて来た訳では無いのだから。
ジェイノリーはその瞬間、反射的に身を屈めて後ろ手に地面に両手を着き、地面に着いたその手を踏ん張ってバネにして身体を前に押し出す。
真っ直ぐ……と言うより、やや斜め上に伸ばしたその足が蹴ったのはニルラインの足。
足技のスペシャリストのジェイノリーが低い体勢から攻撃出来るなら、そしてロングソードの方ならギリギリこっちの間合いに入る事も出来るので相手の足を狙わない訳が無かった。
「ぬお!?」
いきなりのトリッキーな動きにニルラインは対処し切れず反応が遅れ、足を取られて背中から後ろに倒れ込む。
そのニルラインの様子に反応したヘインズが即座に槍を振るう。
その槍をヘインズが振り下ろせば、その瞬間地面に巨大な炎の衝撃波が浮かび上がる。
バック転で大きく距離を取ったジェイノリーは、着地した瞬間に炎が吹き上がって衝撃波になるのを直に目撃してしまって思わず身体が震えた。
「……何だ、あれ……」
やっぱりここは地球じゃ無い。地球に似ていてもそうじゃ無い世界。
あんな炎の衝撃波は、まさしくファンタジー世界に相応しいものだと言う事を改めてジェイノリーは窺い知る。
しかし負けない。でも負けられない。
こんな所でむざむざゲームオーバーになってたまるか。
普段ゲームはやらないジェイノリーが、ゲームの世界の様な技を繰り出すその茶髪の将軍と相棒の金髪の将軍に再び向かう。
槍が地面すれすれを薙ぎ払いにかかるので、ジェイノリーは炎に触れない様に宙返りで回避。
その横からニルラインのロングソードが突き出されるので、それを回避しながらニルラインの腹に強烈な膝蹴り。
更に前蹴りでニルラインをぶっ飛ばすが、入れ違いにヘインズの槍が再び襲い掛かるのでリンボーダンスの如く上体を反らして回避。
ニルラインのロングソードの時と同じく、手を使ってヘインズに一気に下から近づいて彼の足を取って、地面にカポエイラのテクニックで引き倒す。
追い打ちで引き倒したヘインズの股間目掛けて、ハンドスプリングからのかかと落としも忘れない。
「ぬぐう!」
だけど相手も歴戦の猛者。それも将軍コンビ。
まだまだバトルは終わりそうに無いが、早くこのバトルを終わらせたいのがジェイノリーの本音だった。




