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第61話(マッハサイド):3人バラバラのチェイス(周二編:死闘&ジェイノリー編:逃走)

 後ろではロイスが立ち直って来たので、周二はそのロイスの攻撃をかわして一気に懐へと飛び込んでロイスの腹に右の膝蹴り。

 そのまままた後ろに突き飛ばしつつロイスの顔面にパンチ。

「あがあっ!?」

 上手くクリーンヒットした様だったが、周二の背中にメリアヌスのキックがほぼ同時に入る。

「ちっ……」

 舌打ちをしながらメリアヌスを振り返って睨み付け、素早くメリアヌスの懐にまた飛び込んで今度はメリアヌスの首目掛けて右パンチ。

「ごっ!!」

 一瞬呼吸が止まった様に感じたメリアヌスを、タックルをかまして背中から硬い地面へ叩き付ける。

「がっ!?」


 地面にメリアヌスを押し倒した周二がロイスの方を見ると、彼はパンチのクリーンヒットから立ち直って来ようとしていた。

 なので立ち直られる前にロイス目掛けて左足でドロップキック。

「やあーあっ!!」

 しかもただドロップキックで終わらせるのでは無く、ドロップキックの反動を利用してそこから起き上がりかけているメリアヌスの背中目掛けて、直接右の肘を落として再度地面へ叩きつけると言う荒い大技をやってのけた。

「ぐおあ!」

「がはっ!?」

 ロイスは後ろの路地の奥の壁に背中から叩き付けられ、メリアヌスは背中に物凄い衝撃を連続して受け、どちらも背中にダメージを負って満足に動けなくなってしまった。

 それを見て周二は安堵の息を吐く。

(はぁ……騎士団員も警備隊員も、なかなか強かったな……)

 今の内に逃げなければと思いつつ、周二は他のメンバーとの合流を果たすべく今まで自分が追い掛けられて来ていた路地を来た方向へと走り出すのであった。



 ザカタリスのデジャヴだと頭の中で考えつつ、今度こそ逃げ切ってやるとばかりにジェイノリーはパルクールとフリーランニングでフルスロットルで逃げる。

 メインストリートを逆戻りし、そのまま前から向かって来た警備隊の隊員を思いっ切りドロップキックでぶっ飛ばす。

 背中から着地しても、そこからはカポエイラの要領でアクロバティックに回転しつつ続けて向かって来た騎士団員の足を払う。

 スパっと立ち上がって再び走り出し、今度はメインストリートで開催されている市場へと飛び込む。

 人で賑わうその市場では、その人の多さが災いして警備隊員も騎士団員もジェイノリーをなかなか追い詰める事が出来ない。


 一方のジェイノリーは後ろを時々振り返りつつ、市場の中にある立て看板を引き抜いてそれで警備隊員を殴ってノックアウトしたり、市場の長いテーブルの上に飛び乗って宙返りで騎士団員のロングソードを回避する。

 そのメインストリートから今度は路地裏へと入って行き、路地裏の狭さを利用して前から挟み撃ちで躍り掛かって来た警備隊員のロングソードを持つ手首を両手でキャッチしつつ、後ろの騎士団員達にハイキック。

 手首を掴んだままの警備隊員をそのハイキックをかました騎士団員達に向かって突き飛ばし、飛び後ろ回し蹴りで怯ませてから更に逃げる。


 そこから更にペースアップして後ろの集団を引き離して行くジェイノリーだが、そのチェイスシーンもどうやらそこまでの様であった。

(え、嘘っ!?)

 その路地の先に逃げたまでは良かったが、何とそこは完全な行き止まり。

 それなりに大きな屋敷が廃墟となったまま放置されており、その手前の広場に出てしまった。

 何時の間にか貴族街の片隅にまで来てしまっていたらしい。

 その状況に絶望感を覚えるジェイノリーの後ろからは、2人の男がバタバタと追いついて来た。

 金髪の騎士団員、それも胸当てのシンボルである紫の花の数が他の騎士団員よりも多い男。

 それから周二よりも大きいかも知れない体格を持っている、警備隊員の制服だが身に着けている装備は金髪の男と同じくそれなりに豪華な茶髪の槍使いの中年男。

「貴様の逃走劇もここまでだ。大人しく投降するなら、それなりの処遇はしてやるつもりだが」

 金髪の偉そうな男が、胸を張ってやっぱり偉そうな態度でジェイノリーに告げる。

 ジェイノリーの後ろにあるのは廃墟の屋敷。その屋敷の入り口はホームレスや密偵等がねぐらにするのを防ぐ為か閉ざされている上に、今まで走って来た路地も中年の2人組が塞いでいるので戻る事は出来ない。


「ここは大人しく投降するのが得策だと思うが。無用な争いは回避すべきだろう?」

 茶髪の槍使いの男が諭す様な口調で告げるが、ジェイノリーにはさらさら投降するつもりは無かった。

「ここまで追いかけて来るなんて、よっぽどの暇人らしいな、あんた等」

 自分を散々追い掛け回したこの2人の中年男を、ジェイノリーは半ばヤケクソ状態で見据える。

「……俺も戦いたくない。しかし、ここで捕まる訳にも行かない」

「そうか。ならば実力行使しか無いな、ニルライン?」

「私もそう思っていた所だ。2対1は卑怯な気もするが……今回は貴様に協力してやろう、ヘインズ」

 それぞれが煌めくロングソードと炎を吹き出す槍を構えてバトルモードに入ったのを見て、ジェイノリーもクルクルと足を回してストレッチ。

「ニルラインとヘインズ……ああ、双璧の将軍って呼ばれているのはあんた等の事か」

 マイセンの町で周二を探して情報収集をしていた時に、その名前を耳にしたのはまだ記憶に新しい。

 目の前の男達の正体を確認し、ゆっくりとジェイノリーはファイティングポーズを取った。

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