第60話(マッハサイド):3人バラバラのチェイス(周二編:激闘)
バトルBGM
raining steel from pertubator
https://www.youtube.com/watch?v=YjkvsD2wLq8
「俺は急ぐ。そこを通してくれないか」
しかしロイスとメリアヌスは流石に通す気は無かった。寡黙な大男にお互いにロングソードを構えて通す気は無いとの意思表示を口に出す。
「それは出来ない相談ですね。さ、私達と一緒に大人しく城へと来て頂きましょうか」
丁寧な口調だが、その声色には「貴方に拒否権は無い」と言う意思がはっきり含まれているのが周二にも分かった。
「どう言うつもりかは知らないけど、俺達はこの国を守ってる訳だから騒ぎを起こす様な奴を放っとく訳には行かないんだよな」
それに……と警備隊のメリアヌスは更に続ける。
「さっき俺見ちゃったんだよ。あんたが走って来た方から、青い竜が貴族街の方に向かって飛んで行くのをさ。隣国ドゼウスからの回し者かも知れないからな。だから何が何でもガルデバラ城まで来て貰うぞ」
青い竜と言うのは間違い無くシュヴィリスの事であろう。
30ソアラを取りに行って貰う為に変身して貰ったあのシーンは、数多くの人間に目撃されてしまっているのでこの2人の言っている事も分かる。
本音を言えば争う気なんて最初は無かった。
しかし、あれだけ追い掛け回されてしかも周二はメリアヌスに対してドロップキックまで決めてしまっている。
となれば明らかに公務執行妨害が傷害罪とセットでついて来る。
ちなみに公務執行妨害よりも傷害罪の方が罪の度合いは大きいので、周二の牢屋行きはこのカイザスタンでも免れないだろう。
これがプロレスのリングの上だったりさっきの闘技場での大会の話だったら問題無いのだが、マイセンの街中でしかも公務中の警備隊員と騎士団員相手にそれをやらかしてしまったのだし、多くの目撃者も居る訳なので言い逃れも出来ない状況だった。
「さぁ、大人しくするのだな」
「逃げ場は無いぞ。観念するんだな!」
(くそ!)
じりじりとロングソードを構えて向かって来るロイスとメリアヌスに対して、悪態をつきながらも冷静に如何すれば良いかを考えた周二はプロレーサー時代のジム通いや牧場の仕事、それからプロレスと総合格闘技で鍛えた大柄な体格を活かして立ち向かう事を決意。
表情を引き締めて真剣な目つきになる。
アマチュアだが総合格闘家であり、同じくアマチュアだがレスラーでもある周二は投げ技、関節技、手技に足技とオールラウンドに戦う事が出来ると自負しているものの、武器を相手に戦った事はヘルヴァナールにトリップした時以来だった。
プロレスなら凶器相手に流血沙汰になる事もあるが、あくまでもあれは舞台の上での演出だったりする訳なので、あれよりも今回の状況はもっと酷い。
実際に仲の悪いレスラーが本気で流血事件に発展させるケースも、良くある話と言えば話なのだが……。
そんな周二を見て、投降する様子が無いと判断したカイザスタンの2人もロングソードを構え直した。
「油断は禁物ですよ、メリー!」
「分かってるさ。行くぞ、ロイス!」
「……」
周二が素手だと判断したが、武器はそれでも下ろさない騎士団員と警備隊員。
油断出来ない相手であるとも判断して、ロイスとメリアヌスはロングソードを構えて周二に向かって来た。
逃げ場が無い相手がそのつもりで抵抗するのであれば、カイザスタン帝国側としても立ち向かうしか無いと言う判断だ。
先に自分の元に辿り着いたメリアヌスのロングソードをかわし、腹に先制でボディブローをかます周二。
次にロイスが横に回りこみつつロングソードを振りかぶるが、そのロングソードが振り下ろされる前に周二はメリアヌスを力任せに突き飛ばしつつ、ロイスの腹に左の前蹴りを入れて怯ませる事に成功。
メリアヌスがその間に立ち直ってロングソードの振り下ろしや薙ぎ払いを何発か繰り出すが、周二は上手くかわして一気にメリアヌスの首を取って羽交い絞めにする。
「ぐっ……うぐ!?」
「メリー!!」
全身全霊の羽交い絞めにメリアヌスがジタバタともがくのを見て、ロングソードを振るえばメリアヌスに当たってしまうと判断したロイスは周二に左のパンチを繰り出した。
だがそれを周二はメリアヌスの顔を上手く移動させてガード。
敵の身体を使って別の敵の攻撃をブロックすると言うのは、多人数での戦い方では割と良くある話だ。
「ごは!」
ロイスのパンチがメリアヌスの顔に当たった瞬間にそのメリアヌスを解放し、そのパンチで大きく隙が出来たロイスには、お返しに小さくジャンプしながらの飛び込みパンチを彼の顔へお見舞いする。
「ぐあ!」
メリアヌスも再び立ち直って周二に向かうが、そんなメリアヌスをロイスの方に突き飛ばして周二はまた2人と向かい合う。
「くっ……」
「こいつ、なかなかやるぜロイス……」
「でも諦めませんよメリー!!」
本気でやらないと勝てないと悟ったのか、ロイスは今までよりもスピードアップして周二に向かう。
が、そのロングソードを振るった腕を周二は懐に飛び込んでガードしつつ、ロイスの顔面に頭突きして後ろに突き飛ばす。
その後ろからはヒートアップしたメリアヌスも向かって来たが、彼の懐に飛び込んで脇腹にパンチ、そして続けて顔面にパンチしてメリアヌスを怯ませた。




