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第59話(マッハサイド):3人バラバラのチェイス(周二編:逃走)

キャラ紹介にダルニコフ・ヘル・カイザスタンを設定画付きで追加。

舞台ごとに章分け追加。

 明とは逆の方向、左斜め前の路地へと逃げ込んだ周二は狭い路地を全速力で逃げて行く。

 身体が大きいので動きはノロいと思われがちなのだが、牧場の仕事とプロレスで鍛え上げた強靭な脚力、それからプロレスをやる上で必要なアクロバティックな動きも習得している為、実際にはなかなか身軽な動きを見せる。

 それにプラスして路地にはゴミの入ったタルが置かれている状態だったり木箱が詰まれていたりするので、それを後ろの兵士達に対して投げ付けたり転がしながら派手に逃げて行く。

 勿論派手にやりたくてやっている訳では無いのだが、このチェイスの状況だと派手になってしまうのが現状だった。

(厄介な事になった!!)

 あの路地裏で見つかってしまった事で、こうしてこんな状況になっている。


 後ろからは茶色の制服にコートを羽織った連中が追いかけて来ているが、その中には別の制服……少し豪華そうな水色の制服を着込んだ連中の姿もあった。

 このマイセンの街にトリップして来て日がまだまだ浅いのだが、その制服を着込んでいるのはカイザスタン帝国騎士団だと言う事は周二にも分かっている。

 警備隊と騎士団は仲が悪いとも聞いている。

 しかしその仲の悪い連中がこうして自分やジェイノリー、そして明を追いかけているとなればその仲の悪い2つの団体が一時的に手を組まざるを得ないと言える程、大掛かりな出来事として捉えられていると言うのが周二には理解出来た。

(こう言う時だけ一致団結しないで欲しいものだ!!)

 心の中で本音を叫びながらまだまだ周二は逃げる。


 路地の狭さを利用してクイックターンを繰り返して逃げるのだが、至る所で警笛が鳴り響いている。

 それだけ警備隊の隊員や騎士団員達が集まって来ている証拠でもあるのだ。

 周二の後ろから追いかけて来ている警備隊の隊員も警笛を吹き鳴らしながら追い掛けてきている為、周二の位置を知らせながら追い込みに掛かっているらしい。

 だからここは意を決し、そばに転がっている物干し竿を手に取って思いっ切りぶん回す。

「うおお!?」

「さ、下がれ!!」

 狭い路地で長い獲物を振り回されれば当然逃げ場は無い。

 プロレスでは色々とリングに上がる前、それからリングサイドの乱闘等で物を振り回したり投げ付けたりするので周二にとっては見慣れた光景だ。


 その物干し竿を振り回して警備隊員と騎士団員達を怯ませ、最後に先頭で警笛を吹き鳴らしながら追いかけて来ていた茶髪の警備隊員にドロップキックを食らわせて後ろの警備隊員と騎士団員にドミノ倒し、もしくはボウリングのストライクの要領でバタバタと薙ぎ倒されて貰った。

「うわああっ!!」

「ぐぅうう……だ、大丈夫ですかメリー!!」

「こんな時までメリーって呼ぶんじゃねえよロイス……俺はメリアヌスだっ!! い、良いから早く追い掛けるぞ!!」

 後ろからのそんな声を聞きながら、周二は再び逃走を再開する。

 右に左に、それからフェイントをかけて細い路地へと入り込み、それから建物の裏の階段を駆け上がって4階建ての建物の屋上へと上がる。

 その階段を上がっている途中に後ろから追いかけて来ていた、さっきのロイスと言う騎士団員とメリアヌスと言う警備隊員とはまた別の警備隊員や騎士団員達を階段の下に蹴り落としたり階段から投げ落としたりして、明ともジェイノリーともまた違うパワー全開の逃走スタイルでマイセンの街を駆け回る周二。


 それから屋上に上がっても、まだ周二の逃走劇は終わりを見せない。

 屋上から隣のビルの屋上へ飛び移るパルクールを見せる。

 これは周二と一緒に総合格闘技を始めた高校教師がフリーランニングをやっていた影響だ。

 周二は空中で宙返りをするレベルまでのアクロバットな動きは出来ないが、バック転や前方へのハンドスプリング位なら出来る。

 プロレスでは相手の身体に飛びついて引き倒すテクニックもあるし、フライングボディプレス等で相手を押し潰したりするので地面への衝撃に関しては身体に耐性を作っておかなければならない。

 そうなると当然ある程度の身軽な動きは必要になって来るし、その関係でしなやかな身体作りも必要なのでトレーニングを重ねる内に柔軟性が身に付いて来る。

 衝撃を和らげる為の受け身の練習もやらなければならないので、ボディビル体型ながらアクロバットな動きは少しだけなら出来るのが松原周二だった。


 だが、そんな周二の逃走劇は突然終わりを告げる。

「……!!」

 目の前に現れたのは路地の行き止まり。しかも何かの広場なのか、少しだけ広い場所になっている。

 行き止まりに辿り着いてしまった為に周二は慌てて引き返そうとするが、周りを見渡してみてもそこには今自分が逃げて来た路地しか無く、他にも脱出出来そうな所も無かった。

 そしてあたふたしている所に、とうとう追っ手が追いついて来てしまったのである。

 後ろからはまず茶髪の警備隊員が嬉しそうな声を響かせる。

「さぁ、どうやらここまでみたいだな!! 俺達から逃げ切ろうなんて考えは甘いなぁ!!」

「さて、騎士団の詰め所……いえ、城で調べたいと思いますので私達と一緒にガルデバラ城に来て頂きましょうか?」

 それはお互いに名前を呼び合っていた、ロイスと言う騎士団員とメリアヌスと言う警備隊員だった。

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