第56話(マッハサイド):3人バラバラのチェイス(明編:逃走)
チェイスBGM
【オリジナルBGM】機械街廃墟の戦闘用など「Night red-eye」
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明は右のストリートへ逃げ込む。
当然後ろからも誰かがバタバタと追いかけて来るので、その後ろの人間をチラッと振り返ってみる。
(……あれ?)
てっきりあの4人の内誰かが追い掛けて来るのかと思いきや、どうやらその4人は周二とジェイノリーの方に向かった様であると明には分かった。
その代わり、メインストリートで明を追い掛けて来ていた兵士達があの霧から何とか脱出して再び追い掛けて来ているらしい。
だから追われている事には全く変わり無いので、明はあの佐々木とその部下に追われていた時の事を思い出しながら同じ手段で逃げて行く。
前方から向かって来た兵士にスライディングで飛び込んで足払い、別の兵士の槍の突き出しを回避してからその兵士の顔面にストレートパンチ、また別の兵士が正面から向かって来るのならその向かって来た兵士をさっき団体で逃げていた時と同じく、背負い投げをかまして後ろから来ていた別の兵士に投げ飛ばしてぶつける。
だけどこのまま逃げ続けていても埒が明かない。とにかくこのマイセンの街から逃げ出すのが何よりの目標だが、あの城の時とは違って街全体がバトルフィールドなので規模が違う。
しかしそれは考えを変えてみれば、明が追跡を一旦振り切ってほとぼりが冷めるまで隠れてからこっそり逃げ切ってしまえる可能性もあると言う事になる。
とにかく逃げ切るしか無い。でも何処へ?
周二の様に路地に逃げ込んで囲い込まれたらそれで終わりなので、なるべく広いストリートを逃げるチョイスを明は取った。
その明の目の前に、スーッと凄くスムーズな動きで1人の男がフードを目深に被って立ちはだかる。
(な、何だ!?)
それだけでも身のこなしとしては明らかに常人のそれでは無さそうだが、それよりももっと明には気になる事があった。
(兵士じゃ……無い……?)
フードを目深に被って立ちはだかるのであれば、それだけで十分敵としての要素はたっぷりであるとRPGに詳しい明は思ってしまう。
だけど、何故かこの男はカイザスタンの兵士では無いんじゃないかと言うそんな気がしてしまった。
それでもこのままここで足止めを食らう訳には行かないので、明は左斜め前方に見えるストリート脇の緑地帯の方へと走る。
その先に見えるのは鉄の柵。それを大柄な体躯に見合わないジャンプで飛び越えるが、当然フードの男も追い掛けて来た。
飛び越えた先には別のストリートがあるので、そのストリートを明は左に向かって全力で駆け出した。
つまり今までやって来た方向に別のストリートから逆戻りする形である。
土地勘が無い明はさっぱり出入り口が分からないので、闇雲に走るだけでしか無いのだが、止まってしまって捕まってしまえばどうなるかも分からない。
何とか謎の追っ手と兵士達を振り切るべく、右に左に直角コーナーの市街地を駆け抜ける明。
ストリートの出店のテーブルセットの椅子を追っ手の兵士達に投げつけ、更に人混みが激しい場所を選んでそこを突っ切って行くもののあのフードの男だけはしぶとく食い下がって来る。
そして、その追い掛けっこも唐突に終わりを迎えようとしていた。
「……げえ!?」
辺りにだんだん人の気配が少なくなり、変だなーと思っていた明の目の前には路地の行き止まりが。
奥には頑張ってジャンプすれば飛びつけない程では無い高さの壁があったので、そこにジャンプして何とか掴まった……のだが。
「うぐおおおっ!?」
壁に掴まった彼の足をフードの男が掴んで引き摺り下ろす。
バランスを崩して胸から落ちてしまったものの、顎を打たなかっただけ良かったと思いながら明は身体を回転させてその手を振りほどき、更に男の腹を蹴り飛ばして距離を取りつつフードの男と向き合った。
その男はもう用は無いとばかりにフードをバサッと取り払い、その素顔を明に見せる。
「……誰? お前」
「貴様の仲間に、青い竜が居るだろう? その竜が先日、ドゼウスの王城ソードスを襲撃した。聞いてないとは言わせない」
「襲撃……?」
もしかして、何かこの男は勘違いをしているんじゃ無いのだろうか?
それ以前にこの男はドゼウスからやって来た人間らしいが、シュヴィリスの事だけじゃ無くて自分の事も知っていると言うのだろうか?
明はストレートにそれを聞いてみる。
「おいおいちょっと待て、シュヴィリスから聞いてるけどあれは事故だよ事故。あいつだって落ちたくて落ちた訳でもねーだろうに。ってかだから誰だよお前は? それにドゼウスからはるばるやって来てごくろーさんだが、何で俺とシュヴィリスが知り合いだって知ってるんだよ?」
男の容姿は茶色の髪を少し伸ばしており、長さは肩に着く位だ。
けどそれよりも、明らかに気になるポイントが1つあるのでそこも聞いてみる。
「それに……その首の緑っぽいアザ。何だよそれ。何かの証か?」
明の次々出て来るその質問に、男はしっかりと1つずつ答え始める。
「……私はドゼウス王国、近衛第一師団長のロズバン・レーセリアだ」




