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第55話(マッハサイド):大迷惑

 路地裏から逃げたは良いものの、既に伝令がマイセンの街全体に行き渡っているらしくワラワラと兵士達が集まって来る。

 明にとっては陽明で城の中を走り回った時の、それからジェイノリーにとってはザカタリスでグードリンとカイン率いる騎士団に追い掛け回された時のデジャヴである。

 引きこもり体質の為に運動には自信が無いシュヴィリスも、水系統の魔術を駆使しながら町中を逃げ回る。民間人にはごめんなさいだが、真面目に今の状況はこうでもしなければ逃げ切れない。

 そして4人の中で1番身体が大きく筋肉質の周二は、自分と一緒に総合格闘技を始めた高校教師の様にフリーランニングをやっている訳では無い。

 アクロバティックな動きも出来ない訳では無いが、そのアクロバティックな動きの「フリーランニング」は今は必要無いのでアクロバティックな動きをしない方の「パルクール」で逃げるしか無い。


 だけどこのまま4名で固まっていては追い込まれやすい。

 最悪、誰か1名でも国外へ逃げ切れれば突破口は開ける可能性がある。

「おい、このままじゃ囲まれるぜ!!」

 明が飛び掛かって来た兵士をカウンター気味の背負い投げで投げ飛ばす。

「全員捕まる訳には行かないな!!」

 周二も前方から走って来た兵士にラリアットをかましてチェイス続行。

 しかし、それ以上に非常に大事な事をここでシュヴィリスが思い出してしまった。

『ああっ!! そう言えばソアラはどうするのさ!?』

「あっ……」

 走りながらも明が絶句する。

 ゼキを酔わせた原因になってしまったあの30ソアラは、まだマーレイの屋敷に置きっ放しだ。

 あれを持って行かない事にはどうしようも無い。

 そもそもさっき路地裏に居た時の会話で何故それに気付かなかったのか。


 とにかくこのまま逃げ続けていたら、絶対に30ソアラは回収出来ない。

 仕方が無いとばかりにジェイノリーは青いドラゴンに指示を出す。

「回収に行ってくれ。あれを持って行かなければ、俺達は地球に帰れないかも知れないからな!!」

『3人はどうするの!?』

「心配すんなよ。これでも1度シュヴィリスの異世界に行って、無事に帰って来たメンバーだぞ!!」

「仲間内ランク付けバトルテストでも、ジェイノリーが35人中第6位、明が第17位と俺が第18位だからな」

『ジェイノリーはともかく、後の2人はすっごく中途半端でしょーが!! 心配しちゃうよ僕だって!!』

「……それでもやるしか無いだろう。行ってくれ、ヘルヴァナールの伝説のドラゴン!!」

『あーもう、分かったよ!! えいっ!!』


 漫才で言えば突っ込み属性かも知れないシュヴィリスは、大きく腕を振るって辺り一帯に濃い霧を生み出した。

「うわぁ!?」

「な、何が起こってるんだ!?」

「きゃあああ、冷たい!!」

 祭りの人間達、それからこの4名を追いかけていた兵士達が一斉にパニックになる。

 そのパニックに乗じてシュヴィリスはドラゴンの姿に戻り、マーレイの屋敷の方に向かって飛び上がった。

「り、竜だと!?」

「警備隊と騎士団は何をしてるんだ!!」

「まさか、ドゼウスが攻め込んで来たの!?」


 更にパニックになって行くメインストリートだが、3人の異世界人達にとっては都合が良い事この上無い。

「良し、今の内にまた路地裏に入って作戦を立て直s……」

「危ねえっ!?」

 セリフを言い終わらない内に、明がジェイノリーにタックルを仕掛けて2人は地面に倒れ込む。

「うおぁ!? い……いきなり何するんだ!」

 突然の明の行動に怒りをぶつけるジェイノリーだが、その横に歩み寄って来た周二が倒れ込む2人を起こしながらポツリと呟いた。

「明が居なければ死んでいたぞ、ジェイノリー」

「え……?」


 2人に手を貸しつつもメインストリートの先を見たままの周二の視線の先には、ジェイノリーに向かってあろう事かロングソードをぶん投げて来た男が槍を片手に仁王立ちで立っていた。

 茶髪を逆立たせており、周二に負けず劣らずのかなり屈強な体躯をしている。

 その横には優雅な制服に身を包んだ金髪の男がロングソードを構えていた。

 更にその2人の傍らには、同じ様な色合いの制服に身を包んだ茶髪の小柄な男と同じく茶髪の長身の男の姿もあった。

 それを見て周二はまたぽつりと呟く。

「……強いぞ、あいつ等は」

「ああ、俺も分かるぜ。そうじゃなかったら剣なんて人間にブン投げないだろうしな」

「どうする?」

 明も周二に同意し、同意された周二が起き上がった2人に問い掛ける。


「決まっているだろう。逃げるのみだ!!」

 ジェイノリーのその一言で3人は逃げ出したのだが、ここで大失敗をしてしまう事に。

「だったらこっち……ってお、ちょ、おおい!?」

「……ん!?」

「お、おい……Merde!!」

 4人の男によって封鎖された正面のメインストリートを避け、明は右のストリートへ、周二は斜め左の路地へ、そしてジェイノリーはメインストリートを逆戻りし始めた。

 慌ててしまってバラバラになってしまったが、引き返して再び合流している暇は3人にある筈も無い。

 不慣れなこのマイセンの街で、3人バラバラのチェイスが幕を開けた!!

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