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第50話(マッハサイド):決勝トーナメント3回戦とこの後の話

バトルBGM

Virtua Quest - Schett Battle

https://www.youtube.com/watch?v=sTj6yUs2aw0

 石舞台に向かう通路をその石舞台とは逆方向に歩き、あの男が居ないかどうかをチェックしてからさっさと控え室に戻る為に早足になる周二。

 どうやら居ない様なので安心し、控え室に戻った周二は何時の間にかこのトーナメントの頂点を目指したいと思っていた。

(せっかくここまで来たんだ。行ける所まで行ってみるか)

 全力を出して今までの試合を乗り切って来たんだから、例え次で負けてしまったとしても悔いは無い。

 だからこそ、次の試合も全力で立ち向かうと決意して身体の調子を整えておく。

 3回戦ともなれば確実に相手も強くなって来るだろうから油断は出来ない。

 情報も勝てばまた手に入るかも知れないので、周二は係の騎士団員が呼びに来たらすぐに試合会場に向かう。


「第3回戦、第4試合はパルミロ・メオロッサ対、シュージ・マツバラ!!」

 今度の相手はあのトイレで出会った男と同じく、ひょろっとした長身の為に細く見える。一言で言うなら優男だろう。

 ふわふわした質の茶髪が妙に似合う軽そうなイメージの男の手には、槍と斧をミックスさせたハルバードが握られている。防具は軽装で、何処かの国の兵士の様な出で立ちだった。

 1回戦の棒術使いと2回戦の斧使いを思い出して、その時の戦法をミックスさせて戦おうと周二は決意する。

 だが、意気込む周二に対してパルミロが話し掛けて来た。

「君の事はさっきからずっと噂になっているよ。本当に武器も持って無いし防具も身につけて無いんだね。僕は観光がてらに腕試しで参加したんだけど、珍しい相手と戦えるから来た甲斐があったよ。お互いに頑張ろう」

 そう言いつつ右手を差し出して来たので、周二は戸惑いながらも握手をした。


「開始っ!!」

 握手も終わって3回戦がスタート。

 パルミロはハルバードのリーチを上手く活かした戦い方で、接近戦に持ち込まなければいけない周二に隙を与えない。

 接近されたらハルバードの方が扱い難いからである。

 だからこそ接近されない様にハルバードを振るうパルミロと、振るわれる周二は明らかに攻防がはっきりしている。

(く……っ!!)

 段々後ろに後ろに位置が下がって行く。このままでは自分がここから落ちて負けてしまう。

 だったら怪我を覚悟して……と周二は一瞬の隙を突いて低い体勢からハルバードの攻撃をかいくぐり、再び振るわれたハルバードの柄を両手で掴んだ……その瞬間!!


 バチィィィッ!!

「うおっ!?」

「ぎゃっ!?」

 石舞台の上に鳴り響く破裂音みたいな音、それからまばゆい光と周二に伝わる痛み。

 しかしその痛みが伝わったのはパルミロも同じ様だった。

 大きな隙が出来たパルミロはハルバードを何とか握り締めて落とさなかったものの、周二に対して大きな隙を見せる。

「ぬおおおおおっ!!」

 このチャンスを無駄にしない周二は、前にもヘルヴァナールで経験した事がある痛みを堪えつつパルミロにダッシュからドロップキック。

 それを受けてパルミロは舞台の上から落下して行った。これでベスト4に進出だ。


(さっきの痛み……あれはまさか……)

 ヘルヴァナールにトリップした時、同じ様な痛みを受けた記憶がある周二はまさかこの世界でも……? と感じつつ控え室に戻る為に通路を歩く。

 すると、受付の方が何だか騒がしい事に気がついた。

(何だ?)

 誰か揉めているのか? と思いつつも面倒な事は嫌いなので横目でチラリと見るだけに留めようとしたのだが、周二のその目が次の瞬間驚愕に見開かれた。

「……!?」

 揉めている男達……その男達の姿には見覚えがあった。

 いや、あり過ぎる。

 何故ならその男達は、自分があの六本木のクラブに居た時に一緒に謎の光に包み込まれてしまったメンバーの中の数人だったからだ。


 思わず周二がそのメンバーの方に足を踏み出してみれば、その周二の姿に気がついた男達が声を上げる。

「あ、あああっ!? おーい周二!!」

「ほら、あの男は俺達の知り合いなんだ。緊急事態なんだ!!」

「嘘を言うな!! ほら、観客席に戻れ!!」

 押し問答をする係員と自分の知り合いの男達。

 一体何がどうなっているのか良く分からないが、ひとまずは騒ぐのを止めて貰いたい周二は係の騎士団員に声を掛ける。


「すまない、本当にこの男達は俺の知り合いだ」

「そ、そうなのか?」

「ああ本当だ。だから問題無い。少し話をしたらまた戻る」

 周二がそう言うと騎士団員も何も言えず、手短に済ませる様にと言い残して去って行く。

「よう、やったじゃねーか」

「これでまた1人揃ったな」

「な、何でここに……?」

「話は後だ。次の相手は棄権した方が良い」

「次の相手……?」


 3回戦まで勝ち上がってこれでベスト8。

 何時の間にかトーナメントの決勝戦を目指していた周二だったが、いきなりそう言われてもこのまま引き下がりたくは無かった。

「次の試合までまだ時間あるか?」

「あんまり無いけど、少しなら……」

「そうか。なら手短に話すぞ」

 今までの出来事は後で話すと言う事で要点だけを話して出来るだけ省き、シュヴィリスが観客席から感じた事を周二に言いに来たのであった。

『……と言う訳だから、次の相手は本当に危険だよ。ドラゴンだよドラゴン。僕と周二も手合わせした事あるよね?』

「あ……ああ……」


 地球に居た時に人間の姿のシュヴィリスに手合わせして貰った事があるが、その時はシュヴィリスのドラゴンらしいパワーに一気にぶっ飛ばされた事がある周二。

「思い出したか?」

「ああ。それじゃ次の相手の緑色の髪の毛の……え?」

「どうした?」

「そいつ、もしかしたら俺がトイレで会った奴かも知れない」

「ええっ!?」

 明のビックリした声が廊下に響き、思わず明は自分の手で自分の口を塞ぐ。

「とにかくまずいな。まずは棄権して闘技場の外に出よう。路地裏か何処かで今までの事を確認し、行き先を決めてこの国から脱出するぞ!」

 明の提案に従い、周二は係員に「知り合いが病気ですぐに向かわなければならない急用が出来たから棄権する」と告げて闘技場を後にした。

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