表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/100

第45話(マッハサイド):見張られてるよね?

「あー、こんな広い屋敷なんて初めてだぜ」

「本当だな」

 この頃非常に慌ただしかった為、つかの間の休息……かどうかは分からないものの明とジェイノリーはマーレイの屋敷で休んでいた。

 シュヴィリスも飛び回って汗をかいた為、屋敷で2人と1匹は一緒に身体を洗わせて貰っていたのである。

「地球に居た時から思ってたんだが、ドラゴンも人間になるとまんま人間なんだな」

「瞳孔は縦に割れてるみたいだが、それ以外は本当に人間だな」

 明とジェイノリーがまじまじとシュヴィリスを見つめるが、シュヴィリスはそんな2人に手招きをする。

 そして次の瞬間、衝撃の一言を発した。

『それよりも、何か気が付く事無い?』

「え?」

「何が?」

『かなり腕の良い連中が僕等の事を見張ってるよ。それもこの屋敷中で……』


 湯船の中で人間2人の表情がこの瞬間固まった。

「そ、それって何時から……?」

『僕等がこの屋敷の敷地内に踏み込んだ時から。正確にはソアラを森の中に隠した時かな。だからもう、ソアラの事もチェックされてるんじゃ無いの?』

 明の怪訝そうな問いかけにシュヴィリスがそう答えれば、身体を湯船に沈めたままでジェイノリーが考え込む。

「……だとするとまずいな。明の話だと、この世界では科学テクノロジーを広めてはならないってその殿様に言われたんだろう?」

「ああ。って事は俺達……もしかしたらこの世界から地球に帰れなくなっちまう可能性もあるんじゃ無えのか?」

 それだけは絶対に勘弁して貰いたい話だ。

 自分達の今までの行動が全てパァになってしまうだけ無く、この世界で生きて行けるかどうかも分からなくなる瀬戸際に自分たちが立たされているかも知れない、と言うのを2人と1匹はこの時悟った。


「ど、どうするよこれから?」

「どうするもこうするも無い。今はとにかく監視に気が付いていない振りをしよう」

 マーレイ曰く、個人の家にこうして湯船がある事は珍しいと言っていた。

 ジェイノリーもヨーロッパの人間だけあってそれは1番良く理解出来る立場の人間だったが、マーレイがそう言ってると言う事はこの屋敷もマーレイの持ち物なのかも知れない。

『僕はドラゴンだから、何処にどれだけその監視している人間が居るか位なら気配で分かる。とにかく2人は今までのテンションで居てよ』

「お、おう分かった。でも何で俺達の事を見張ってるんだ?」

 ややどもりながらもそう聞いた明に、シュヴィリスは首を横に振る。

『知らないよ。でも予想出来るのは、僕等を見張らなきゃいけない存在が居るって事でしょ。それが人間なのかそれとも魔族なのか、はたまたあの雪の精霊みたいな連中かは知らないけど、これだけの見張りを動かせる存在って言うのは相当上の立場に居ると思うけどね』

「そして、それを伝える事が出来るのは……」

「ゼキかマーレイしか居ない、って事か」

 納得した様にジェイノリーも頷いた。


 しかし、ゼキは未だに酔ってベッドでノックダウンしている。

 となればもうマーレイしかその存在が思いつかない2人と1匹は、可能な限り今までと表情や仕草を変えない様にして挙動不審にならない様に気を付ける事にした。

「俺達が入ってもまだまだ広さが余る位の湯船を持ってる位だし、こんな豪邸があのマーレイだけの所有物とは余り考え難いけど、もしそうだとしたら……」

『マーレイは貴族、それも見張り役をこれだけ動かせる立場の存在と繋がりがあるって事になるよね』

「こう言う場合、マーレイみたいな奴は王族関係者だったりするんだよなー、RPGだと」

 1人と1匹の予想を横で聞いていた明がそうポツリと呟いた瞬間、その予想をしていた2名の表情が変わりつつこの日の夜は更けていった。


「おいおいあんた、こんな所で寝ていたら風邪引くぞ?」

「うー……う?」

 周二は野宿させて貰っていた店の主人に起こされ、やっとの事で朝を迎えた。

「ああすまん。それじゃ」

 詫びもそこそこにして立ち上がり、周二はこの世界での大事な日を迎える。

 カイザスタン帝国の首都マイセンで開催される建国記念祭の最終日。

 この日は昨日行われた武道大会の予選を勝ち上がった者だけが出場出来る、武道大会本戦日。

 建国記念祭は全部で5日。

 その中で1日目が剣術予選、2日目に剣術本戦、中日を挟んで4日目に武道予選、そして本日最終日が武道本戦の日程である。


 周二の存在は非常に珍しいらしい。

 この世界では剣を使った戦い方が一般的らしく、周二の様に素手オンリーで戦うのはかなり目立つ存在だ。

 だがその方が周二にとってはありがたい。

 もしかしたら自分の存在が知られ、他のメンバーと合流出来るのかも知れないと言う考えを持っていた為、それから武器なんて買う金も無いので武道大会の本選に素手で向かうのであった。

 そんな彼の横顔を見て、ふと足を止めたのは茶髪の男2人。

 どちらも黒いコートを着込んでいる彼等は、互いに顔を見合わせて頷いた。

 武道大会の本選が行われる闘技場に次々に人間が集まる。

 周二を始め、人間になったシュヴィリスに明、ジェイノリー、ゼキにマーレイ、それからカールにロックヒル、屋敷に向かったニルラインにヘインズとその補佐の人間。

 波乱の展開は、すぐそこまで迫っている……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ