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第37話(マッハサイド):これからどうする?

 太陽が照り付ける中で、魔物が材料になっているロープだと言う事で嫌そうな顔をするゼキとマーレイにも手伝って貰って明はソアラにロープを括り付けて行く。

 もし空中でロープが切れてソアラを落としてしまったりでもしたら、実に15年以上乗り続けて汗と涙と泥と思い出が沢山詰まっているソアラの持ち主の兼山に何を言われるか分かったもんじゃ無いので、場所を考えてロープで固定する。

 強力な磁石でもあればその磁石の力で車を持ち上げて運ぶ事も出来るのだが、そんなハイテクな物をこのファンタジーな世界に明が期待する事は無かった。

 とは言うものの、流石に明も吊り上げた状態で車を運んだ事なんて全く無い。

 空輸は空輸でもジェット機で運んで貰うのとはまるで訳が違うし、ソアラの車体が剥き出しのままで運ぶ事になる訳だし、更に言ってしまえばシュヴィリスがこれを上手く運んでくれるのかと言うのも分からない以上は一種のギャンブルでもあった。


 それでも用意出来る材料でこのソアラを運ぶのであればこうするしか無いと言う事で、自分の考えつく1番丈夫そうな固定方法で明はソアラにゼキとマーレイと雪の精霊達の手伝いもあってロープを結び終えた。

「よっしゃ、こんなもんだろ」

 ロープでしっかりと固定されたそのソアラを見て、明は一仕事を終えて汗を拭う。

 妙な達成感があるのは気のせいでは無いだろう。

 その達成感が明の身体と心を満たしていた時、バサバサと聞き覚えのある音が空の彼方から聞こえて来た。

「おっ、この音は……」

「ぜ、ゼキあれっ!?」

「竜!?」

「また侵入者か……」


 ゼキとマーレイとコノエは、明が見上げた方角からだんだん大きくなって来るそのシルエットにそれぞれ思い思いのリアクションを取ったり声を上げたりするが、唯一雪の女王だけは明と同じ考えだったらしい。

『あれがそなたの言う仲間の竜と人間か?』

「ええそうです、間違いありませんよ」

 しかしこの場所では着陸スペースが無いので、ソアラを雪の精霊達とゼキとマーレイにもう1度手伝って貰って脇に寄せてスペースを確保する。

『おーい明ー、無事かーっ!?』

 シュヴィリスの声が空から聞こえて来たので、明も叫びつつ造った着陸スペースに大きく両腕を振って誘導する。

 風が吹き荒れながら、翼を大きくはためかせてそのスペースに上手くシュヴィリスとジェイノリーが着陸して合流を果たした。


「何とか無事だった様だな」

 シュヴィリスの背中から飛び降りてジェイノリーが明にそう言うが、周囲の状況を見て表情が一気に変わった。

「……何だこの集団は」

「今からしっかりと説明するから、とりあえず何かしなければ敵じゃ無いから心配すんな。まずはその積もる話をしにさっきの城だか宮殿だか神殿だか良く分かんねーけど、さっき俺が食事を頂いたあの場所に行った方が良いですよね?」

 このままじゃまた色々誤解を招くかも知れないですから、と明が言うと雪の女王は首を縦に振った。

『そうだな。わらわ達も説明して貰わねば』

「じゃあシュヴィリス、悪りーけどビン飲んでくれ」

『……分かった。明とジェイノリー以外は人間じゃ無い連中ばっかりみたいだからね』

 周りの空気を読んで素直にシュヴィリスは人間の姿になり、ジェイノリーと一緒に明や雪の女王に先導されて事情聴取へと向かった。


「……と言うのが俺達が出会った経緯で、それで今は地球で一緒に暮らしてるんです」

 自分達地球の人間はシュヴィリスの世界であるヘルヴァナールに行った事、そこでシュヴィリスと出会って何とか地球に戻って来た事、そしてこの世界に来てしまった事、帰る手立てを探して旅をしている事を話した。

 勿論この世界に来てからの経緯も話したのだが、これから先は一体どうすれば良いのかが分からない状況である。

「どうしたら良いですかね俺達……これから先の行き先」

「どうしたらって言われても……僕もゼキもこの世界の人間……あ、いや今は魔族に片足突っ込んでるから何とも言えないよ」

 マーレイが心底困った顔をする。

 雪の女王とコノエ、それからゼキとマーレイの話も聞けるだけ聞かせて貰った地球からの来訪者2人と1匹は、そのマーレイのリアクションに同じく困った顔をする。


 黒い竜の住んでいるあの塔でも、それから江戸時代みたいな陽明国でもジェイノリーが散々追い掛け回されたザカタリスでも、自分達以外の仲間が見つかってない状況。

 アイテムが4つ見つかったのは良いのだが、クラブで一緒に過ごしていた仲間がまだ全員見つかっていないのは非常にまずい状況だった。

 だからこそこの世界で生活している生物の皆さんに知恵や力を貸して貰いたい、と思うトリップメンバーだったが、この世界の生物でも出来る事に限界がある。

 長々話し込んでいたせいか、外は太陽がだんだん天高く上った場所から下りて来ている。

 日没までには時間がまだあるが、他のメンバーを探すのには夜じゃなくて昼の方が見つけやすいのは明白だった。

 その時、この世界で生きる者の1人が口を開いた。

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