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第35話(マッハサイド):逆転の構図と見つけたもの

バトルBGM

限界バトルーJAM Project

https://www.youtube.com/watch?v=HKEQnwDtUNY


 油断大敵だとばかりにジェイノリーは気を引き締めつつ、どうにかしてここから逆転出来るだけの動きをしなければ。

(チャンスは無くなって来る。やるしか無いな!)

 頭の中でシミュレートして、もうそれしか無いと判断したジェイノリーは即座に行動を開始する。

 その為にはクランベルの方から行動を起こして貰わなければならない。

「当たらないぞ、こっちだ!」

 珍しく挑発するジェイノリー。普段の彼だったら絶対にこんな事はしない。

 だけど今は何でもやらなければ相手に勝てない。

 その何でもやる精神が、クランベルに次のカーテンレールを切り落とさせる行動を起こす。

 そのチャンスをジェイノリーは待っていた。

 ビィンと音を立ててワイヤーが迫り来るのを察知して、前に向かって素早くゴロッと地面を転がってカーテンの下を潜り抜ける。

 頭上でカーテンレールが切り落とされる音を聞きつつ、転がったジェイノリーは起き上がりつつ別の切り落とされたカーテンレールをカーテンごと掴んでクランベルに投げつける。


「っ!?」

 素早く腕でガードしたクランベルだったが、それは大きな隙としてジェイノリーに更なるチャンスを与えた。

 ジェイノリーは地面に落ちている別のカーテンをカーテンレールごと「2セット」掴み、それを持ってクランベルの元に向かう。

 クランベルもナイフを投げようとしたものの、まずジェイノリーは片方の手に持っているカーテンレールを投げつけて阻止。

 更にもう片方のカーテンレールについているカーテンの端を右手で、カーテンレール側ギリギリの部分のカーテンを左手で持ってクランベルの左手に巻きつける。

 指先だけ皮のグローブで覆われたその指を、怪我しない為に巻きつけたカーテンごと引っ張ってやればクランベルの隠し武器がジェイノリーによって奪い取られた。

 ワイヤーグローブが左手だけだったのが功を奏した。

 もしこれで右手もワイヤーグローブがあったらますます勝てる確率は低くなってしまうだろう。

 更に奪い取るだけで無く、カーテンから手を離してそのワイヤーグローブを奪い取った勢いで遠くに投げ捨てたジェイノリーは、その勢いでムエタイ仕込みの左、右と肘をクランベルの顔面へ。

「ぐぶぅお!」

 怯んだクランベルに対してジャンプしながら開脚し、右足でクランベルを蹴り飛ばす。

 だが歴戦の戦士であるクランベルも持ち直して再び向かって来て、ジェイノリーに対してローキック、ミドルキック、ハイキックと繰り出すがそれをジェイノリーはガードし、お返しに回し蹴りを繰り出すが上手くジェイノリーのキックをクランベルも回避。


「ふん、ふん、ふん!」

 クランベルは一気に畳み掛けるべくジェイノリーにパンチのラッシュを繰り出すが、キックボクシングやムエタイでありとあらゆるパンチを見て来ているジェイノリーにとってはどうと言う事は無い。

 素早く手でパーリング(受け流し)し、カウンター気味にクランベルのみぞおち目掛けて3発ストレートパンチ。

 続けて左と右のフックを全力でクランベルの顔面に叩き込んで、間髪入れずにテコンドー仕込みの飛び後ろ右回し蹴りもその顔面へとヒットさせる。

「ぐはっ!!」

 よろけたクランベルのみぞおち目掛けて今度は右ミドルキックを叩き込み、最後に彼の頭を両手で鷲掴みにしながらジャンプし、そばに置いてあった高級そうなガラステーブルに顔面から叩きつけた。

「ぐがっ……!!」

 クランベルを顔面からテイクダウンして撃破したジェイノリーは、彼が起き上がって来ない内に……とまた別のカーテンレールからカーテンだけを引き千切ってクランベルの身体を縛り上げたのであった。


「あった……」

 お目当てのアイテムはそのカーテンの部屋の奥にある別のテーブルの上に置いてあった。

 医者であるジェイノリーにとっては馴染み深い物である。

(メス……?)

 医療器具のメス。考えられるのは自分かもう1人の医者……宝坂令次のアイテムだろう。

 こんな場所にこんな物がある事自体が不自然なので、これがアイテムだと間違い無いと確信してジェイノリーは回収した。

 そのままクランベルの横を通り抜けてジェイノリーは塔を下りようとする。

「……貴様、ドゼウスから逃げたと言うあの竜とは一体どう言う関係だ」

 近付いて来たジェイノリーに対して、縛り上げられても堂々とした態度でクランベルは尋ねてみる。

 それに対してジェイノリーはこう答えた。

「一緒に帰りたいと言う気持ちを持ってる奴だ」


 それだけを言い残して、縛られたままのクランベルをおいて足早にジェイノリーは塔を駆け下りる。

『あっ、ジェイノリー!!』

「アイテムは見つけたぞ。これだ」

 ジェイノリーがゴソゴソとポケットからメスを取り出してシュヴィリスに見せれば、ハーっと安堵の息をシュヴィリスも吐いた。

『保険は要らなかったんだね』

 ちなみに保険と言うのは「俺がもし戻って来ない気配が30分以上続いたら塔の周りをドラゴンの姿に戻って旋回してくれ。俺は最上階にもあると思う窓を突き破ってお前の背中に飛び乗るから」と言う何とも無茶苦茶なものだったので、実行する必要が無くなって良かったとジェイノリーもシュヴィリスも思っていた。

「ああ。さぁ、明を迎えに行こう」

 下まで下りるのは面倒なので、そばの部屋の窓を開けてまずシュヴィリスに飛び降りて貰い空中でドラゴンの姿に戻って貰う。

 そしてそのドラゴンの背中にジェイノリーが飛び乗って、朝日が昇り始めた大空へと飛び立って行くのだった。

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