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第19話(マッハサイド):スマホから伝わる色々な衝撃の事実

 その神殿の裏口っぽい場所に辿り着いたジェイノリーは、そこから中にお邪魔する事にした。

 何処からか人の声が聞こえて来ると言う事は、神殿に礼拝にやって来ている人間が居るらしい。

 ジェイノリーは別に宗教は信じていないのだが、今回ばかりはこの世界の神に少しだけ祈ってみる。

(どうか見つかりません様に……)

 そう思いながら、ジェイノリーは石造りの通路を歩いて見つけた手近な木製のドアを開けて中の様子を窺い見る。

 どうやらそこは倉庫みたいな場所だった。やはり裏口近辺であればこの様な場所があってもおかしくは無いのだろうと考えつつ、バタンとドアを閉めて奥の広いスペースの端に座り込む。


 それにしてもここは一体何処なのだろうか?

 謎の光に包まれ、あの教会の様な場所にワープした自分は王族を狙う輩と勘違いされて今まで追いかけ回されていた。

 何とか逃げ切ったと思いたいジェイノリーは、とりあえず位置情報を確認するべくスーツの内ポケットに入れているスマートフォンを取り出した。

「……え?」

 マップアプリを起動した瞬間、余り表情の変化を見せない彼の顔が驚愕のものになる。

 何故ならそのマップアプリは『位置情報がありません』とフランス語で表示されていたからだった。

「Merde……」

 フランス語で畜生、と呟いたジェイノリーだったが睡魔には勝てない。

 考えてみれば六本木に居た時は夜。あそこからホテルに向かう予定だったのに。

 眠って起きたら牢屋だった、なんて事にはなりません様にと願いながら、ジェイノリーは見知らぬ土地の見知らぬ神殿の倉庫の片隅で座りながら寝息を立て始めた。


 目が覚めた。

 ジェイノリーは寝過ごしたか!? とガバッと顔を上げてみるがそこは臭いや雰囲気から察するにまだあの倉庫の中だった様である。

「……良かった……」

 いや、良くない。

 この状況の中で、自分が今どうなっているのかを全く知らない以上は何も状況が変わっていない。

(俺、一体何時まで寝てたんだ?)

 倉庫の中には松明の明かりがあるだけなので、外が昼なのか夜なのかすら分からない。

 逃げていた時はまだ昼だったので、今の時間を確認しようとジェイノリーは腕時計を見ようとしたが暗くて良く見えない。

 ならば仕方が無いのでスマートフォンを取り出して時間を確認しようとしたのだが、2度目の驚愕の事実が明らかに。

「……は?」

 何で時間が止まっているんだ?

 スマートフォンの時間が、寝る前に見えた「15:22」から1分も進んでいない。

 

 一体どうなっているのかとスマートフォンの画面をまじまじと見つめるジェイノリーの目に、ある情報が飛び込んで来た。

(あれっ、アンテナは立っているぞ?)

 アンテナが立っているのであればやはりここは地球なのか?

 そんな疑問を覚えつつ、とりあえずあのクラブに居た時の知り合いに電話をかけてみる事にする。

(誰にかけるかな……ひとまず明に……)

 そうして通話ボタンを押して通話を開始したのだが、明は英語がほとんど喋れない事に気が付いてジェイノリーは電話を切ろうとした。

 でもその前に通話が開始されてしまう。繋がった様だ。

『は、ハロー……?』

 電話の向こうから戸惑いがちな明の声が聞こえて来る。


 とにかく、何とか意味だけでも伝わって欲しいとジェイノリーは英語で通話し始めたのだが、そこで驚きの事実が判明する。

「明か!?」

『じぇ、ジェイノリー!? おい、今何処に居るんだよ!?』

 明の流暢なフランス語が聞こえて来た。

(あれっ、明はフランス語話せたのか?)

 まさかの返答に戸惑いながらも、通じるならそれで良いとばかりにジェイノリーはフランス語の小声でまくし立てる。

「ザカタリスと言う国に居るんだ! 俺達、今とんでもない事になっているらしい。俺は何とかしてここから逃げ……うあっ!?」

 だがその会話の途中で、いきなり入り口の木のドアが蹴破られて誰かが中に飛び込んで来た。

 スマートフォンの通話ボタンを思わず押してしまって通話が終了した事に焦りつつも、そのドアを蹴破ってやって来た人物をジェイノリーは視界に収める。


「やっと見つけたぜぇ。カインの奴から逃がすなって言われてんだ、大人しく捕まんなっ!!」

 若干変わった形のロングソードをその腰の鞘からスラリと引き抜き、あの時の教会っぽい場所に居た騎士団員達の中で1人だけ格が違いそうな、屈強な体躯を持っている短髪の男がまるでカナリアを見つけた猫の様な目でジェイノリーにジリジリと向かって来る。

「……しつこい奴だ」

 現在40歳の自分よりも少し若そうな見た目の男に対し、ジェイノリーはボソッと一言呟く。

 だけどあの教会っぽい場所で宣言した通り、不本意なのでここで捕まる訳には行かないのだ。

「抵抗するってんなら俺だってそれなりのやり方があるんだぜぇ? おとなしく捕まっちまえば良いだろうによぉ」

 赤が全面に押し出されている鎧を着こんだその男に対しての答えは、黙って拳を構える事で表現するジェイノリー。

 それを見た男はポリポリと頬を掻き、何処か満足そうに頷く。

「ほー、そーかいそーかい。ならば力づくでやらせて貰うぜぇ!!」

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