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こんなに好きなのに
親友を好きになった。
私も突然のことで驚いている。
私と彼女は小学生のときからいつも一緒だった。大人になった今でも、毎日一緒にいるほどだ。
何をするのも二人揃っていないと嫌だったし、何かあると全部包み隠さず話していた。
私たちは親友だ、そう思っていたのに。
考えてしまったのだ、二人が結ばれる未来を。
抱いてしまったのだ、彼女が私を愛してくれる希望を。
気づいたそのときに私はとても後悔した。
なぜなら、この恋は絶対に叶うことはないのだから。
長い間二人きりの部屋で、私は初めて泣いた。
大粒の涙が彼女の顔に落ちた。
私は慌ててそれを拭う。
唇をかみしめて、彼女をそっと抱き寄せる。
私の悲しみが彼女の布でできた顔にシミをつくってしまった。
綿がところどころはみ出ている腕をそっとなぞる。
ぬくもりはない。
「ねえ、すきだよ。」
そう声をかけても返事はない。
けして動き出すことのない彼女をもう一度、しっかりと抱きしめる。
彼女はとても柔らかく、それでいて堅かった。