表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

告白は突然に


私は何度も手のひらをクリーニングしたばかりのスカートにこすりつけた。


落ち着け、落ち着けと小さく咳払いを繰り返す。


まずは話し合わなければ。


「ゆか。」


目の前に立っているゆかは私と目を合わせようとしない。


「ねえ、ゆかってば…。」


「うるさい!」


彼女の頬は真紅に染まった。


指先がすーっと冷えていくようだ。


「なんで最近うちを避けるん?うちのこと嫌いなん?」


「ち、ちが、」


「やっぱ、女の子に告白されるのなんか嫌やったんやろ?」




ゆかは背中を丸め、顔をこちらには見せてくれない。


鼻をすする音が二人きりの教室に響く。


「こんなふうになってまうんやったら、うち、すき、なんて、言うんじゃ、なかった…。」



「ゆか!」


二人の間の空間が消失する。


私はぎゅっとゆかの身体を抱きよせた。


「え…?」


彼女の身体がこわばっているのがわかる。


私は、ゆかの頬をそっと両手で包んだ。


涙でぐちゃぐちゃになった顔がこちらを見つめた。


「私ね、ゆかに告白されるずーっと前から、あなたのことがすきだったの。」


ゆかの頬の温度があがる。


彼女は濡れた目を私からそらした。


「逃げないで。」


手に力をこめる。


彼女の目はふたたびこちらを向いた。


「両想いなんだって思うと、どきどきして、なんだか恥ずかしくなったの。だからつい避けちゃった。それがゆかをこんなに傷つけてしまった。」


口がからからに乾く。


喉がひっついてうまく声がでない。


だけど、伝えなければ。





「私と、付き合ってください。」







先ほどまでの苦しそうな顔はどこに行ってしまったのだろうか。


彼女はほっとしたような笑顔を浮かべていた。




「あんた、そんなん、ずるいわぁ…。」








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ