異世界での料理
食事をくろうと思ったが、ここに来て早速問題が発生した、現在の調理器具は以下のとおり
・蓋に穴の開いた鍋 ・ネコババフライパン
まず蓋の穴を塞がなければ米が炊けない、次に油を買い忘れた、これでは卵が焼けない、こういう現代的ではない調理場に入ると色々と問題が起きてしまったのだ、
「しまったあああ、鍋と牛脂も買っておけばよかった!!!」
そう喚いたとしても一切現状は変わらない、取り敢えず鍋の蓋の穴をその辺に生えていた大きめの葉っぱを詰め込んで穴を塞いで米を炊いた、しかし鍋などで米を炊くと火加減が面倒くさい、しかも米炊き終わっても問題だらけである、、
しばらくして米が炊き終わった、ご飯を一口食べてみると、まあ美味しくない、現代日本とは違い品種改良もしていない米だし、まあ分かってはいたのだがそのまま食べるものではいというほど美味しくなかった
問題は油だ、油がないと何もできないのだが、、、今から買いに行くのも面倒くさい、どうしたものか
「あら!、銑次さんじゃありませんか!、お料理ですか?」
籠をもって元気そうに料理場の外から話しかけて来たのは冒険者組合の受付娘であった、普段とは違いバンダナエプロンというまるでお嫁さんみたいな服装である
「ああ料理中だ、ただ油を買い忘れてしまって困ってるんだよね、ははは」
俺がそう言うと受付娘は俺の方へ小走りで来ると、籠の中から便に入った牛脂を一つ分けてくれた
「おひとつ差し上げますよ、今度私にも何か作ってくださいね!」
「おお!、ありがとう、今度何か作るよ」
助け合いの世界、なんと素晴らしいのであろうか、確かに前の世界でも昔は近所同士で積極的に助けあっていた文化もある、何というか優しい知り合いができてよかったと思った
「さあて、じゃあちゃっちゃと作りますか!」
俺はフライパンに牛脂を引くとケチャップライスを作った、そして卵を焼けば、、、具なしオムライスの完成である、前の世界ではよく作っていた俺の好物である
俺は片付けを終えるとオムライスを持って宿に入った、宿の中にはいまだ熟睡しているエミリがいる、桶の中のスライムの水はもう完全に干からびていた、スライムは俺の方へ近づいてくるとまたマント状になって俺の背中に取り付いた、先ほどの水を全て含んだスライムは非常に重い。
さて、、、どうやってエミリを起すか、、、ベットを蹴飛ばすのは流石に二度目でナンセンス、では、、水をかけるか?、否、ここは新たな仲間、スラムを使うのが一番良いであろう、そう思い俺はスライムをエミリの足にくっつけた
「うにゃ!」
エミリは猫のような声を上げた後にこちらを睨みつけた、その目はまさしく鼠を狩る猫の目である
「普通に起こしてよ!」
「悪い、つい、それより飯ができたぞ」
俺がそう言うとエミリは寝起きだというのにもかかわらず即座に椅子に座ってテーブルの上にあるオムライスに手を付けた、ついでに俺はオムライスにはケチャップは塗らない派だ
「おいしいいい!、銑次やっぱり凄いよ!、ポーションも作れて料理も作れるんだ!」
別に料理が得意なわけではない、ただそのへんの草木も食べれないかと実験していたら身についただけであり料理が上手い人から比べれば全然上手ではない、しかしほめられることは吝かでもなく、少し頬が上がってしまった
「まあ、そう言われると作ったかいがある」
「ごちそうさま!!」
「はい、お粗末さま」
食事が終わると俺達は少し森のなかに行くことにした、今後は香水を作って販売したいためである、この世界は植物にはあまり関心がなく、植物由来のものもかなり少ない、まあ魔法があるため必要が無いからであろうが今から植物を駆使すれば金持ちになるのも夢ではない
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昼間の森といえどもやはり暗く、魔物なんか出てこられると非常に困る状況、俺達は植物採集のために森のなかに来ていた、今回欲しい植物は紅紅、クロメル、アヘン、各自使用用途が異なり、紅紅は香水製作と催涙薬、クロメルはポーション、アヘンは痛み止めと言った具合に加工したいのだ
「あったよ~」
相変わらずエミリの発見速度は早く、紅紅とクロメルはすぐに見つかったため大量に採取することができた、問題はアヘンが見つからない、以前森に来た時にはあったため無いということはないはずなのだが、欲しい時には見つからない、物欲センサーが働いているらしい
「アヘンって何に使うの?銑次」
エミリが訪ねてくる、まあやましい事に使うわけではないためすぐに答えた
「痛み止めだよ、これは乾燥させて砕いて摂取すれば痛みを緩和させる事ができるんだ、まあ劇薬だから乱用厳禁だけどね」
「凄いねそれ」
しばらく探すとようやく見つけた、これで宿に戻って作業をできる。籠いっぱいにアヘンを詰むその姿は前の世界であれば恐ろしい姿であろう、、、まあ悪用はしないけれども
「お!」
帰りの道中俺は思わず声を上げた、狼のような魔物が道に幾つも転がっていたのだ、皮膚は硬化していておそらくは毒植物から身を守るために進化した結果なのであろう、しかしこんなに死骸が転がっているとは、、、一体何があったのであろうか、外傷がないため毒死か、、、窒息死?、まさか!
狼の口元を触るとかすかに濡れていた、道中魔物に襲われなかったのは全てスライムが殺していたらしい、もはや俺の背中のマントはラスボス急に強かった
「スライム~、帰ったらめいいっぱいご褒美をあげよう」
俺がそう言うと背中のスライムはふるふると揺れた、全く頼もしい仲間である
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宿に戻るともうだいぶ日が暮れていた、俺は蒸留作業をしようと準備をすると、目の前が灰色に変わった、それは以前俺が時間を停止させたと起きと同じ光景だ、しかし俺の懐中時計は今だ割れてはいない、、、つまり
「女神様か、お久しぶりですね」
俺がそう言うと女神は俺の目の前に現れた、彼女は元からそこにいたかのようにそこにいた、顔は相変わらず癇癪たっぷりな笑顔、白いドレスは白いのにどす黒く見える
「ええ、元気そうにやっていますね、しかしお仕事の時間です」
「わかってる、そういう約束だからな、そんな事件が起きたんだ」
俺がそう言うと女神は鼻で笑った後に口を開いた
「私は運命の神ですよ?、事件は起こる前に詰むんです、貴方には遊女を殺害してもらいます、場所や姿はまた木の杭で、、、と思いましたが今回は針で情報を送ります、しかし、こちらも仕事ですので最低限の説明は私が行います」
そう言うと女神は調理台の上に腰を掛けた、そして腕を前に組んで説明を始める
「貴方が殺害する遊女、それは3日後に売られて5日後に殺されます、しかしその遊女、現在のままの運命を歩むと買った貴族が調子に乗って世界を破滅に導きます、ゆえに遊女を殺害、そうすれば遊女を育てていた機関も潰れて世界壊滅の未来は摘み取れます」
彼女はやらしい笑顔で俺の元まで歩いてきた、目の前まで来ると悪寒が背筋を凍らせた、息ができない、目が乾く、そこには恐怖しか無かった
「はは、そう怖がらなくても、そうそう、その遊女ですが売られなければ期限より5分延長は構いません、まあ殺し方は好きにしてください、ただし仕事放棄はやめたほうが良いですよ、あの可愛い青い髪の娘、一人にする訳にはいかないでしょう」
「元々約束は守るつもりだ、それにお前の言うとうりアイツを一人にするのは少々心が痛むからな」
首元がチクリと痛むと世界の色が元に戻った、それと同時に仕事の場所、人物像、人物の情報が頭のなかに入っているのが分かった、そして俺はこれから、この世界にきて初めて神様から受けた仕事をこなすのであった。