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異世界での時限旅行~ただの植物好きが突如異世界に行ったら!~  作者: ちくわ七福神
1章 異世界での安全生活
4/10

異世界での銑次特製回復ポーション

 スレブラの森、以前いた街から西に数キロ、そこに広がる森には数々の魔者と植物がはびこる、枯れた木に巻き付く蔦、前の世界でもそういうのはあったがこれはすごい、蔦の何処にも葉がない、おそらくは葉緑体すら無いであろう、あれはもはや植物ではないと思われる、木に取り付いてその養分だけで生きていく、それ故蔦には根がなく、ただ蔦が木を食らいながら森を徘徊していると思われる、暇があればもっと詳しく見てみたい、そんな感じでこの森には数々の植物が沢山あった。


「しっかし、突然クロメル欲しいってどうしたのさいったい」


 エミリが少し眠たそうというかダルそうに訪ねてきた、まあ突然植物狩りなんて目的も見えぬままであれば暇なものであろう、しかし話に聞くより魔者は少ないものだ、と言うかこんな毒植物の宝庫に入れる動物って案外少ないであろう、


「お!、銑次!、これだよ、クロメルって!」


 エミリがクロメルを見つけたらしく俺のことを呼んだ、クロメルの葉は大きな扇子のような形であり匂いは線香のような臭がする、薬用効果があるのは葉のみらしく、葉を採取してかごの中に詰め込んだ、クロメルは一箇所に沢山有る植物であり、一度見つけると大量に入手することができた


「銑次、これだけあれば十分か?」

「ああそうだな、、、お!!、これも拾っていこう!」


 採集終盤に少々良い物を手に入れた、オクトリカブト、狩りに使える毒植物の金字塔だ、トリカブトとクロメルを採集して街に戻る、すでに日は落ちかけていた


「ああ、すごい楽しいね、ここの森は」

「銑次やっぱあんた変態だよ」



 宿に戻ると早速ポーション作りを始めた、昨日作ったお手製蒸留装置でまずは蒸留する、この時点でもはやお葬式みたいな匂いだ。


 蒸留を開始するとお葬式どころの匂いではなくなった、線香を鼻に突っ込まれているような感覚に落ちいり頭が痛くなる、しかしそろそろ蒸留第一段階は終了、100gで蒸留した結果香油がなんと3g!!、これはすごいことだ、結構多い、フローラルウォーターは100ml、この調子で後10回やれば全てのクロメルを蒸留できる、、


「はは、俺の夜明けは近いな!」


 できれば夜が明ける前に終わらせたいものだ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 夜が明けた、それと同時ぐらいに蒸留作業が終了する、フローラルウォーター1L、香油30gを生成した、効力はというと、見事にある。試しに眠くてミスって火傷した指にフローラルウォーターを塗ってみると火傷は無かったかのように消えた、香油は恐らく腕がもげてもくっつけて掛ければ再生するであろうレベルだ、


「いつからそれやってたの?」


 後ろから少し心配そうにエミリが近づいてきた、まあ一睡もせずに調理場にいる男なんて心配に見えるであろうことは察しがつく


「ポーションを作ったんだ、見定め頼むよ」


 そう言うと鍋に入った方のフローラルウォーターを渡した


「へえ、エイ」

《ズシャ!!!!》


 エミリが短剣で自分の指を切った、しかも相当深くこのままでは落ちてしまいそうだ


「何やってるの!?、指が無くなるよ!?」

「やばい、深くやり過ぎた!!!!!」


 本意ではなかったらしい、急いでポーションをぶっかけると、、、治った、これはもはや神の領域だ、こんな物が前の世界にあったのならば一体どれだけの人が助かったことか、、、


「せ、、、銑次あんたは神か!?」

「で、これは良い方のポーションといえるのか?」

 

 エミリは自分の指を食いつくように眺めて驚いた表情を隠しきれずに足を震わせている


「すごいってレベルじゃないよ!!、これは賢者様が作ったものより遥かにすごい一級品、と言うか他のがクズに見えるほどだよ、やしなって!!、薬師様!」


 まあ薬師に成るわけには行かないのだが、、、考えて欲しい、この世界で目立つ真似をすれば確実に命を狙われる、それだけは避けたいというものだ、それならばもっと友好に使ったほうが良い


「まあまて、俺が薬師になればどうだ?、俺の生成道具を狙った連中に命を狙われる、それはあまり良いことではない、それならば、、、もっと安全に行こうぜ」

「安全?」


 俺達は冒険者組合に急いだ、鍋を持って組合に入るその姿はさぞかし滑稽であったであろう、大きめの瓶も買っておけばよかった


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 冒険者組合、それは凄くそれっぽい感じ、まさにファンタジーのギルド!!ッて感じである、木造建てで木のテーブルに座るいかつい冒険者、可愛い受付嬢、上の階には上等な装備を着た上級冒険者、そして


「おめえらみたいな餓鬼が来る場所じゃねえそ、アァ!?」


 小物が絡んでくるところまでそれっぽい感じ、しかし、エミリも俺も小物を払うだけの力はない、大きな剣を持った男、周りもニヤニヤして助けてはくれない、、、このままでは大変なことになりかねない


「まあいい、テメエらぶっ殺して金だけもらおうかな!!」

《シャ!》


 俺は紅紅くれないべにの香油を瓶ごと男の目に向かって投げつけ、赤い液体は男の目元で散乱した


「ぎやあああああああああ、目が、目が、うわああああああああああ」


 周囲の者たちが一斉に笑い出した、まあカツアゲまがいのことをして見事失敗した男の姿はさぞかし滑稽でろう、俺も見ていて少々男が可哀想に見えてくるほどであった


 しかしこんな事で貴重な香油を全て消費してしまったことは少し後悔した、恐らくあれは夏の間しか咲いていないのであろうから、近々もう一度取りに行かなければならない


「。。。やっぱもったいなかったな、、、ああああああ」


 俺がそう言うとエミリが目に涙を浮かべながら俺に話しかけて来た、無論その涙は笑い涙である


「ははは、今のは良かったよ、いや本当に、ははははは」


 まあエミリの笑顔が見れたということで勿体無いと思う心を鎮めるのが最近の主人公、なのであろうか、、、


「また作り直しだけど、、まあいいか」



 俺はそう言うと受付の元までいき、可愛らしい受け付けの娘に話しかけた、受付の娘は亜麻色の髪の毛で長さは腰よりも更に長いぐらいである、そして満面の笑みであった


「いらっしゃいませ!、組合の登録ですか?、先ほどの躊躇のない攻撃お見事でした、思わず笑ってしまいましたよ、思い出すだけで、はは」


「そんな笑ってはあの男の人ここに来れなくなっちゃいますよ、あと冒険者登録もしたいんだけど、もう一つ頼みたいことがあってね、組合長って今いるかな?」


 そう言うと受け付けの娘は少々困った顔をした後に後ろの男の受付に確認をとって俺の方へ戻ってきた


「今たまたまいらっしゃいますので、お話することはかのうですが、ご用件は何でしょうか?」

「少々組合に売りたいものがありまして」


 そう言うと組合の娘は組合長の元まで案内してくれた、組合長の部屋に入ると、魔女のような格好の女性が大きな椅子に座っていた、紫色のローブに黒くて長い髪の毛、そして机の上には大きなとんがり帽子、まさに魔法使いッて感じである


「やあ、商売の話だっけ?、なにか良い物を持ってきたのですか?」

「ポーションです、しかもかなりの上物」


 そう言うと俺は鍋に入ったポーションを取り出し差し出した、組合長の表情は真剣で、その後短剣指を切った、エミリのように切り落とすとまでは行かないがかなり深めに切り込んでいる


《パシャ》


「ほぉ、、、すごい上物、と言うか凄いですよこれ、何処で仕入れたんですか?」


 指の傷は無かったかのように治る、組合長の表情は薄っすらと笑い、目は鋭く、そして言葉は重い、俺は少し恐れを抱きながら彼女の問に答えた


「それは俺が制作したものです、しかし、こんな物を表に出せば俺が殺されかねません、なのでこのポーションを組合特製として扱っていいので、買ってはいただけないだろうか、値段はそれ全部で銀貨2,000枚、いかがですか?」


 組合長は少し笑った後の心よく俺の提案を聞き入れてくれた


「ははは、いいだろう、その値段でそれが手に入るのであればこちらも嬉しい限りだ、月に一回、2千銀貨でそれを購入する、これでいいな?」

「有難うございます、俺の名前は銑次と言います、良ければ組合長のお名前をお聞かせ願いたい」

「私はブラドル・ミリーだ、今後もそのポーションを是非売ってくれ」

「喜んで」



 こうして交渉が終了した、無論一月2000銀貨で生活していくのは厳しいが下手に金持ちになれば命にかかわる、多少のリスクを背負ってでも金は地道に稼ぐのが正解だろう


「どうだった!!、なにか良いことあった?」


 エミリが椅子に座って葡萄酒を飲んでいる、そう言えばこの世界にきてから水を一度も見かけていない、中世ヨーロッパなんかでは水は汚いから酔わない程度まで薄まった葡萄酒なんかを飲んでいたとか聞いたことがある、もしやそれが理由であろうか


「ああ、月に銀貨二千枚が手に入るぞ、これでまあ適当な採集でもやってれば生活には困らないだろ」

「やったあああああああああああ」


 席につくと俺達は祝としてビールを頼んだ、こちらの酒はちゃんと酔う


「明日からは依頼頑張ろうね!」

「まあ、ぼちぼち頑張ろうか」


 こうして俺の異世界生活とエミリの新生活が始まった、ようやく安定した生活ができると思うと少し胸をなでおろすような状況だ


「なんか、こういう世界も良いのかもしれないな」

「どうしたの?銑次」

「はは、何でもない」




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